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推しの一冊

誰にでも、人生に深く影響を与え、繰り返し何度も読み返している本があるだろう。

私の推しはこの本だ。


私は、英語版でボロボロになるまで読んだ。大好きなページが、上のタイトルの写真だ。

私が、読んだ2000年当時、日本語版があることは、知らなかったし、あってもアマゾンもまだ普及していなかった。英語で読むしか無かった。

実はこの本は、自分の為に買ったのでは無い。当時、15歳だった長男の家庭教師が、彼に勧めた本だった。

長男は中学を卒業せず、家業を手伝っていた。大検を受けたい、という彼のために雇った家庭教師のおばさんが、「とりあえず、これを読んで」と勧めたのが、この本だった。

長男は、無事に大検に合格した。しかし、大学にも行かず、やがて一人、日本へと旅立った。

誰もいなくなった、長男の部屋のクロゼットから出てきたのが、この本だ。読まれた形跡は全く無かった。

実はこの本について、私はその数年前にブックレビューを読んでいた。興味を持ちながら、家事、育児、仕事に追われ、すっかり忘れていた。

その本に、運命的な出会いを感じた。ページをめくり、まず、目次に惹かれた。読み始めると、長男の部屋の掃除をするのも忘れ、本の中に吸い込まれた。

当時、ハワイで暮らしていた私は、第四子を出産し、夫と共に、自然食の弁当屋を切り盛りし、ティーンエイジャー二人の子供の問題や、夫婦の危機にも直面していた。

自分が本当は、何がしたいか、なんて考える余裕は無かった。

この本は、そんな私を、精神の危機から救い出してくれた。

著者が勧める「モーニングページ」を書き始めると、少しずつ、蓋をしていた心の扉が開かれるのを感じた。

もう一つ、大切なことは、週に一回の「アーティストデート」。自分と週1で、一時間デートする。心の奥底で泣いている、アーティストである自分を、デートに誘う。美術館、公園、ビーチ、骨董品店、図書館、など、どこでも良いから、自分のインナーチャイルドが喜ぶ所に連れて行く。

乳幼児を育てている母親なら、分かると思うが、週に一度、一時間の自分の時間を作るのは難しい。

私は、ベビーシッターを雇い、弁当屋の従業員を雇い、アーティストデートを実践した。

私は、真剣だった。


日本語版をあの岡田斗司夫も絶賛している。

この方だって、絶賛している。


この本は、自分の中に眠っている可能性や才能を呼び起こす、ちょっと危険な本だ。

それまで、静かにしていた、自分の本質が、自己主張を始めるから。


今、また、私のインナーチャイルドが、暴動を起こしそうになっている。

私は、一体、何処に向かっているのだろうか?

この本を再々々読書する時が来た。

それにしても
長男の家庭教師は
一体彼をどのようにして
大検合格に導いたのだろうか?
何故、この本を勧めたのだろうか?

家庭教師のおばさんに
今、会うことが出来たら
この本が、
どんなに私を変え、
飛躍させたか
伝えたい。

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