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2021年、ままならない日々を、自分をいたわって生きる

「新年は魔法ではない。」SNSでこの言葉を見かけたとき、私は半分ムッとし、半分納得していた。

お正月にはたしかに不思議な力があると思う。街にはどこか神聖な空気が流れ、年末に抱えていたもやもやはリセットされる。新しい一年をどう過ごそうか、あれこれ抱負を立てる。今年は本を何冊読もう、ストレッチを頑張って体をやわらかくしよう、新しい言語を勉強してみようか…。新年という区切りは、自分を奮い立たせて、新しいことに挑戦するよい契機になる。

でも、たしかに、魔法ではないんだ。去年までに抱えていた困難は、新年でも続いていく。月日は過ぎていくのに、相変わらず人生の方向性は見つけられない。そもそも、世の中には、ままならないことが多すぎる。結婚や、仕事や、人間関係や、一人の力では解決できないことがすでにたくさんあるのに、コロナ禍でそれが一層強まっている。昨年、私は夢だった海外勤務の機会を得たものの、コロナウイルスの感染拡大を受けて、早期帰国することになった。つらい思いをしているのは自分だけではない、もっと大変な人はいくらでもいる、と思っても、気持ちの折り合いをつけるのには時間がかかった。

帰国してからの私は、「何かをしなければ」という思いに突き動かされて、様々なことに挑戦しようとした。近所を散歩して新しい喫茶店を開拓したり、ダンスを習ってみたり、面白そうなイベントを探しては参加してみたり。新しい場所、新しい人に出会うことを貪欲に求めていった。いつしかそれはノルマのように感じられて、何もしていない日があると、変化していない自分に対してフラストレーションを抱くようになっていた。

今年は、それをすっぱり辞めようと思う。自分がやってみたいことには挑戦していきたいけれど、常に行動的であることを自分に期待しない。日々を思うとおりに生きられないことについて、自分を責めない。ままならないことだらけの世の中を生きているだけで、私たちは偉いし、消耗しているのだから休んでいい。自分をいたわって今年を過ごすことが、2021年、私の宣言だ。

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