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フィンランド留学記#2 ついた日のこと

フィンランドに到着した日のことを、今もよく覚えている。2015年8月29日、朝最寄り駅まで見送りに来てくれた、母が涙ぐんでるのを見て泣いてしまった。成田空港からヘルシンキ空港へ9時間、そこからオウル空港へさらに1時間の旅。ヘルシンキからオウルへ行く方法は、電車やバスなど、飛行機より安い方法もあったけれど、母が「最初の不安なときくらい、迷わないように飛行機で行ったらいいよ」と言ってくれた。

オウル空港からは、バスに乗ってシティセンターへ。そこでkummi studentという面倒見係をしてくれる生徒と待ち合わせることになっていた。チリ人の留学生とkummi と集合したとき、二人の英語についていけなくていきなり落ち込んだ。話していることはなんとなくわかっても、英語が全く口をついて出てこない。

落ち込みながら、kummiに案内してもらいホステルに向かった。この時まだ、私は住むところが決まっていなくて、日本にいる間に1週間分だけFORENOMというホステルを予約し、その先は何も決まっていなかった。

ホステルに向かう途中で、近くにあるコンビニに立ち寄った。明日の朝ごはんにしようと、チョコパンらしき茶色いパンを買ってみた。kummiに「このパンおいしい?」と聞くと、「私はおいしいと思うけど…わからない」と答えられた。

部屋につき、たった1人になって、これから始まる留学生活を思うと不安な気持ちでいっぱいになった。さっき買ったパンをかじってみたら、酸っぱくて驚いた。フィンランド人には好きな人が多いライ麦パンだったのだけど、そんなことは知るわけもなく、チョコパンだと思ったものが酸っぱかったことに、とても心細い気持ちになった。2つもベッドがあるホステルの部屋は広すぎて、押しつぶされそうだった。

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