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アメリカのアイドル判事RBGの死去を経てー日本にも「アイドル判事」は現れるか?

コロナウィルス感染症の拡大も少し落ち着き、だんだんと活気が戻ってきたニューヨーク。レストランはテラス席のみ営業を再開し、寒くなる前に外の食事を楽しもうとする客で賑わっている。10月からは室内での飲食も解禁される。私も久しぶりにブルックリンのビアガーデンで友達数人と再会したのだが、その場はギンズバーグ最高判事が死去した話で持ちきりだった。

ポップアイコン化した最高判事、RBG

ルース・ギンズバーグ最高裁判事(以下RBG)は、アメリカで歴代2人目の女性判事で、あらゆる弱者やマイノリティ、男女平等の実現ために戦い、たくさんの功績を収めた。そのためリベラル派や女性、若者たちから絶大な支持を集める人物だった。アメリカではアイドル的な存在で、講演会は常に満席。彼女のファッションスタイルやエクササイズ方法までもが、ネットでよく話題になっていた。

RBGが亡くなった後、アメリカ中の子どもたちが彼女の格好を真似たり、モチーフのTシャツを着て敬意を示していたのが、すごく印象的だった。特に驚いたのは、私がたまに立ち寄る近所の子ども服屋さん。滞在時間は正味20分だったが、その間にお客さん2名がRBGのプリントシャツを5枚お買い上げ。その後もショーウィンドウに飾ってあったこのTシャツを見て入ってくるお客さんが跡を立たず、飛ぶように売れていた。

多数のセレブも彼女への追悼メッセージを発信しており、RBGはアイドル判事として地位を築いていたのがわかる。

日本でも、女性判事をアイドル化する時代は来るのか?

ふと、最近読んだ日経アジアの記事を思い出した。

日経アジアの"Japan, women and me"を書いた著者は、こう語っている。

"Do Japanese women see becoming a minister in a future government as something they might aspire to? I doubt it. Among the list of vice ministers, only three out of 25 were women. So do young women see an opportunity here? I hope so, but probably not."
「日本人女性で、政治家になりたいと思っている人は何人くらいいるだろうか?おそらく、あまり多くはないはず。菅新内閣の中で、女性官僚は25人中3人(その後2人に)。そこにチャンスを見出す女性はいるだろうか?いて欲しいが、おそらくいないだろう。」
"A man recently told me to get off my soapbox. Japanese women, he claimed, don't want to be in the limelight and many women are happy as they are. Maybe. I am not suggesting we force women into positions where they will struggle. Nor am I advocating making women do things they don't want to do. I am simply saying that Japan needs to push for greater diversity so that the interests of women and men are represented fairly."
「ある男性に、日本人女性全員を代表したような発言はするなと言われた。日本の女性は脚光を浴びるのが好きではないし、多くの女性は今のままで幸せだと。 もちろん、政治家になりたくない女性がいるのは当たり前だし、表に立つのが好きではない女性がいるのも当たり前。私は、女性が苦労する立場に追いやろうとしているのでもなければ、女性にやりたくないことをさせようとしているわけでもない。 ただ、日本の女性と男性が平等に社会的利益を得ることができるようにするには、日本の社会がより多様性を推進する必要がある、と言っているだけ。」

菅新内閣の女性閣僚は2人。今年までに社会の指導的地位に占める女性の割合を30%程度にするとした目標は先送りされ、2030年代の目標となった。日本人少女の何人が、将来の夢を聞かれて、政治家や判事と答えるだろうか?少なくとも私は小さい頃、夢はお姫様かフィギュアスケーター(キラキラな衣装に憧れていた)と答えていた記憶がある。国際情勢や人類学に興味を持つようになったのは、父の転勤で海外に出るようになってからだ。

この記事を書いているのは日本通なオーストラリア人女性なので、意見が欧米化し過ぎていると言われてしまうのはしょうがない。私も欧米かぶれ感を出してしまっているが、日本が好きで、日本にもっと良い国になって欲しいからこそ、外からしか見えない日本の状況に助言したくなってしまう。この記事にもあるように、男女の経済的平等が推進されれば、日本のGDPは550億円ほど上がることが期待できる。

私の勤務先I&COは、スタッフの半数以上が女性で、平均年齢も30代。日本の会社としてはかなり珍しいと思う。こうして新しい会社が積極的に変わっていけば、日本の社会全体も変わっていくかもしれない。RBGの言葉を借りると、「女性は、重要な意思決定が下されるすべての場所に属す権利がある。女性は例外であってはならない。」菅新内閣に関連する海外メディアの記事には"ojichan"という言葉が目立つが、新内閣の女性2人、橋本聖子東京オリパラ大臣と、上川陽子法務大臣にも注目したい。

ちなみに、彼女たちも含め、日本の女性大臣の92パーセントはショートヘアらしい・・・(!)


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