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『諜報員』 パラドックス定数

2024年3月9日(土)18時
@東京芸術劇場シアターイースト
¥4,000

毎回とても楽しみにしているパラ定さんの公演。
今回は新作でソ連のスパイ・ゾルゲの話だという。前回の『四兄弟』も、ロシアの指導者たちを兄弟に擬(なぞら)えた寓話的なものだったし、野木さんが外部に書いた『ズベズダ』も確かロシアが舞台だったはず。野木さん、ロシアに嵌ってるのかな。

例によって予習した方がいいかなと思いつつ、すっかり忘れていて観劇日が来てしまう。今回もまた丸腰だわ。先に観ていた友人に「難解だった」と聞いて震える。『四兄弟』ではあまり咀嚼できなかったので、今回もか・・・と覚悟した。が。
いや、今回はめっちゃ面白かった!! 

リヒャルト・ゾルゲ。
父はドイツ人。母はロシア人。
ドイツのジャーナリストとして日本へ入国。
その正体は、ソビエト連邦の諜報員。

任務は日本の国内施策、外交政策を探ること。
独自の情報網。信頼すべき協力者。
彼らと共に数年に渡り活動。
しかし遂に、特別高等警察に逮捕される。

彼が諜報員だったなんて。
知らなかった。
信じていたのに。
裏切られた。

協力者たちは、口々にこう叫んだ。
彼らは皆、決まってそう言う。
騙されてはいけない。
保身の為に叫ばれる言葉など、すべて嘘だ。

協力者たちを、探れ。
二つの祖国を持つ外国人諜報員。
その周りで、彼らは何を見ていたのか。
日本はどれだけ、丸裸にされたのか。

こんにちは。
Guten tag.
Добрый день.
パラドックス定数の、リヒャルト・ゾルゲ事件。

劇団公式サイトより

お互い面識のない4人の男が、ある場所に連れて来られる。場所がわからないよう頭から袋を被せられて。そしてひとりずつ別室に呼ばれ取り調べを受ける。ゾルゲが逮捕された、ついては彼について知っていることを話せと。
彼らを連れてきたのは警察で、4人のうちひとりは警察のスパイだった。
捉えた者、捉えられた者、6人それぞれの思惑がある・・・。

ゾルゲや事件そのものに関する物語ではなく、その協力者とそのまた協力者くらいの人たちの物語で、歴史的事件についてほぼ何も知らなくても問題なく楽しめた。人のココロ、考え方について。思想とか立場とか。主義者。人間ドラマ!

捉えられた4人(うち一人は警察だけど)はそれぞれに「守りたいもの」がある。紺野は「この国」を、早川は「人の命」、芝山は「自由」、立原は「秩序」。私利私欲しかない今のエラい方たちに聞かせてやりたいよ。

最初は捕まった人たちの目線で物語を観ていた。尋問する側、権力側に対して「敵」というような感覚で。
けれど警察の側も人たちにもいろんな思いがあって。特高の鼻を明かしたい六鹿も警察の矜持とかがあったろう。まあでも若尾がアメリカのスパイだったというのは「おっ?!」っていうオチだったけど、無責任な日本を見限ったという彼の思いも頷けるというか。80年以上前に警察官に見限られた日本は、さらにどーしようもない国になっているのやも。

太平洋戦争が起こる少し前の話だけど、いま(2024年)の日本の現状はまさにこんな感じだ・・・。政治家、権力側が好き勝手して悪行三昧なのに追求も捌かれもせず、国民は諦念ムード。怖い。しれっと開戦、参戦とか絶対やめてよ。

紺野幹郎 小野ゆたか
早川恭一 植村宏司
芝山英晶 西原誠吾
立原寅生 井内勇希
六鹿晃 横道毅
若尾義彦 神農直隆

アフタートーク目当てで9日に観劇したのだが、なんというか野木さんは天才すぎて常人にはわからない「超感覚」で書いてるぽい。受け答えの全てがふわっとしていて、なんというか不思議ちゃんみたいな。そういえば『骨と十字架』のアフタートークでもこんな感じだったようなw
トークがあまりにもふわっとしてたので、我慢できずアフタートークをおかわりしたくて13日も当日券で行ってきたのでしたwww
次の記事でその時のトークの内容と、ミーハーオタクの雑感なども書こうかな~と思っとります!


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