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光への道は遠く 『あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー』

2023年11月10日(金)19時開演
@下北沢 小劇場B1
¥4,500(半券割引利用)

昭和大事件連続上演はこれでコンプリート。この企画自体に興味はあったけど、推し役者の佐野くんご出演ということもあり楽しみにしていた。
4つの事件のうち一番最近のもので、唯一リアルタイムで知っている事件。当時はかなり話題になったんで、あまりニュースに興味のなかったアタシでさえ「トリカブト」の名を覚えたよね。
でもまあ、怖いなあって思ったことしか記憶にないんだけど。
念の為と事前にネットで事件について調べたけど、えっこんな事件だったんだ?!と驚いた。なんだ自分、ほとんど覚えてないじゃん。ウィキで読んだだけでも、犯人の人物像が・・・何というか、とんでもなく偏執的でコワ・・・ってなった。

1986年5月、沖縄旅行中の新妻が旅先で客死する。当初、不運な病死と思われたその出来事の背後には新妻の夫・上谷豊による恐るべき陰謀が隠されていた。事件を追うライターの坂口は真相を突き止めようと奔走する。そんな夫の陰謀を暴いたのは、沖縄で新妻の解剖を担当した大学病院の医師だった。トリカブト殺人事件を犯人の周囲の人々の視点で描く。

公式サイトより

上谷豊(公認会計士/疑惑の男) 是近敦之
大野曜吉(大学教授/医師) 児島功一
坂口卓也(ノンフィクションライター) 佐野功
藤井美和(ホステス/リサの友人) 堤千穂
野村(新聞記者、代理人B、他) 虎玉大介
高山(保険外交員、代理人A、他)上田尋
工藤友之(リサの弟)麻生竜司

いやー、これはおもしろかった。
実際にあった犯罪を元にしてはいるけど、作品としてはフィクションですと前置きあり。事件について、何も知らなくても楽しめたはず。
客入れや劇中にSEで当時流行った曲が流れて(全部わかる・・・)となった。レベッカとか、めちゃくちゃあの頃の匂いがする。

「出会って4ヶ月で結婚→妻死亡、リサ(妻)には多額の生命保険がかけられていた」
どっからどう見ても怪しい。実際にリサの友人らは最初から上谷がやったと思っている。なのにリサの弟と両親は、頑なに上谷を無実と信じていたという。かなりの金銭的援助があったというけど、それだけじゃないんだろう。義弟にはとても感じの良い人間だったのかなあ。人間は多面的というけど、想像つかん。

リサの友人が、元カレのライターに上谷を調べて欲しいと頼み、事件の成り行きをなぞっていくという仕立て。
このライターが狂言回しで、マイ推しの佐野くん。よい仕事でした。
元カノであるみーちゃんに粉かけて、サラッと躱されるかわいいやりとりが何度かあり、息詰まる物語の中のささやかなホッとする時間であった。(個人的な希望というか好みとしては、卓也はツン多めのツンデレだったらカンペキだったのにな。今回デレデレデレのツン無しだったからw オタクは好みがうるさいので、まあスルーしたってください。というか佐野さまがタクヤといえばペナキリ・・・!となったのはアタシだけではないはず)


このシリーズ通してずっと言ってるけど、本当に出演者みんなよい。
そしてこの作品は佐野くんしか知らなかったけど、犯人役の是近敦之さんとトリックを看破する大学教授役の児島功一さんがとてもよかった。このおふたりが対峙するシーン、すんごい見応え! 謎の色気があるのだよおふたりとも・・・特に教授役の児島さん、めちゃくちゃ好きだ・・・!ってなった。なぜだ。顔とかじゃなく、あの佇まいというか・・・。

どこまで事実に沿ってるか不明だけど、上谷の探究心?情熱がすごすぎて、こう言うのも変だけど感心してしまう。
法廷や接見室での態度や発言は、化学的なことへの興味しかないように見えた。
トリカブトやマウスを大量に買って、プロ仕様の機材も買って何日も研究して。フグ毒との掛け合わせを思いついた(発見した?)のも、混ぜる比率も研究して。偏執狂か熱心な研究者か、紙一重なのかもな~。ちゃんとした企業とか研究室で仕事できたら良かったのに。
(追記:接見室のシーンではふたりが向かい合わせに座っていたけど、私の席は上谷の真後ろでまったく表情が見えなかったのが残念だった)

そう思いながら見ていたら、最後に教授が上谷にかけた言葉がまさにそういうことだった。
リサと結婚したのは、最初から実験対象を得るためだったんだろうか。彼女の家族に篤い援助をしたのはどういう思いだったんだろう。考えてもわかることじゃないけど。
実際の事件では無期懲役の判決だったが、刑務所内で病死するまで無実を主張していたらしい。本も2冊出してるんだけど一体どこをどう説明すれば無罪ということになるのか、読んでみたい気もする。
作品のタイトルはトリカブトの花言葉だそう。

みーちゃんの衣装など、当時のファッションを思い出してなつかしい。けどあの時代、あのサイズのペットボトルは存在しないので、そこはめっちゃ違和感!

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