古語訳「赤い靴」

紅《くれなゐ》の鵜皮履《うひり》の女童《をんなわらは》、唐人《たうじん》に具《ぐ》せられて失《う》せにけり。狩野《かぬ》川の湊《みなと》より舟に乗《じょう》じ、唐人に具せられて失せにけり。今は水色の眼《まなこ》になりて唐人の国に居《ゐ》るらむ。紅の鵜皮履見れば案じぬ。唐人に見合《みあ》へば偲《しの》びぬ。

【 原文 】
赤い靴 はいてた 女の子
異人さんに つれられて 行っちゃった
横浜の 埠頭《はとば》から 船に乗って
異人さんに つれられて 行っちゃった
今では 青い目に なっちゃって
異人さんの お国に いるんだろう
赤い靴 見るたび 考える
異人さんに 逢《あ》うたび 考える


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