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「20年だと、20回しか作れないんですよ」 ゆうやけベリーの取材で教えてもらった日々の大切さ【記事を書きました】

2024年1月下旬、福島市観光ノートの取材で、福島市が誇るいちごの最新品種「ゆうやけベリー」を育てる、片平果樹園の片平聡さんを訪ねました。
ゆうやけベリーは2023年に出荷が始まったばかりで、今年で2シーズン目。甘みと香りが強く、橙色がかった大粒の実が特長で、福島県や福島市が今、力を入れている品種です。
片平さんは、このゆうやけベリーの試験栽培にいち早く携わった一人です。

ホテルのバイキングで食べたいちごが人生を変えた

曾祖父の代からの農家だった片平さんは、高校卒業後は埼玉の大学へ進学。当時は農業をやりたいとはまったく思っていませんでした。
大学卒業後は都内でシステムエンジニアとして働き、30歳を機に、農家を継ごうと決意して福島市に戻ってきたのが2010年、震災の前年だったそうです。
「農家なんかやってられるか、と出ていったのにね」と片平さんは笑います。

片平さんが初めて「農家っていいかも」と思ったのは、大学生の頃、ゼミの合宿先だった栃木のホテルで、バイキングに並んでいたいちごを食べたときでした。
「バイキングに、普通にこんなにおいしいいちごを置いておくのか……」
家で作っていたいちごとはまったく違う、衝撃的な美味しさだったと言います。
そのいちごを食べた瞬間に「このくらい美味しいいちごが作れるんだったら農家をやりたいな」と、初めてそう思ったのだそうです。

「うちの果物を食べて『あ、農業やりたいな』って思ってくれる人がいるかもしれないし、どこかでゆうやけベリーに出合って『こんなに美味しいいちごがあるんだ!』と、そう思ってもらえるようないちごや果物を作っていきたいですね」

詳しくは、以下のリンクからぜひ記事をご覧ください。
片平さんのゆうやけベリーが買える店・食べられる店も紹介しています。

「あと20年だとすると、20回しか作れないということなんです」

取材時に一番心に残ったのが、あと20年くらいで農業をやめようと考えている片平さんから言われた、この言葉でした。
あと20年と伺って、まだ先の話だなと、最初そう思ってしまったんです。でも、1年に一度しか収穫できない作物を育てるということは、20年といっても「たった20回のチャンス」しかないんですよね。

農業に携わる方はそういうスパンで物事を考えているんだな、私たちもそういう気持ちで一日一日を大切に過ごさないといけないなと。

20回、改めて考えると少ないと感じませんか。

一生のうちになにかを経験できる回数はそう多くはない。
だとすると、その1回、一つひとつが、かけがえのない経験なんですよね。
そんなことを考えた取材でした。

片平さん、ありがとうございました。

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