見出し画像

-映画紹介-「ミセン-未生-」 道というものは歩くためではなく前に進むためにある!

《乱れ撃ちシネnote vol.161》

ミセン-未生-」全20話 キム・ウォンソク監督 2014年韓国

鑑賞日:2023年12月16日 u-next

【Introduction】
このところ韓国ドラマびたりなので一息いれるために国産ドラマをと思って選んだ作品。
23.12.01(✥) -☆-「いりびと~異邦人~」第一話 萩原健太郎監督 2021年 日本 Netflix
WOWOW制作の連続TVドラマ。
出産を控える菜穂(高畑充希)は有吉美術館の副館長。
母の勧めで、東京を離れ京都で一人で養生することになった。
たかむら画廊を経営する夫の一樹(風間俊介)は東京と京都を行き来しながら菜穂を支えるが少しずつ2人の間ですれ違いが生じていく。
たった一人でうつうつと暮らしていた菜穂はたまたま立ち寄った画廊で、ある一枚の絵画と出会う。
まだ世に出ていない無名の画家が描いた作品だがその絵のエネルギーに圧倒された。
その頃、東京である事件が起こり、一樹は菜穂との夫婦の信頼を壊しかねない大きな決断を迫られるのであった・・・。

という画壇を舞台にしたミステリー。
役者も演出も物語もピンとこないので全5話の第一話で途中下車。

大笑いしながら観た「刑務所のルールブック」。

「刑務所のルールブック」で注目した主人公パク・ヘス主演なので選んだのがこの映画。
23.12.01(01) -☆☆-『夜叉~容赦なき工作戦~』 ナ・ヒョン監督 2022年 韓国 Netflix
各国のスパイたちが活動しているとされる中国・瀋陽。
韓国国家情報院の国外での極秘任務にあたるブラックチームのリーダー・ガンイン(ソル・ギョング)は任務のためには手段を選ばないことから“夜叉”の異名で知られていた。
あるとき、彼らの瀋陽に関する報告が全て偽造されていることに気付いた本部はソウル中央検察庁のハン・ジフン検事(パク・ヘス)を特別監察官として同地に送り込む。
夜叉とブラックチームの活動を調査するジフンは、やがてスパイたちの攻防に巻き込まれていく。

と言った中国を舞台にしたスパイ・アクションもの。
映像も演出もシャープだしパク・ヘスもいい味を出しているけれど、何か物足りなかった。

お次が、
23.12.02(✤) -☆-「誘拐の日」 パク・ユヨン監督 2023年 韓国 Amazon Prime Video
病を患った娘の莫大な手術費用に困っていたミョンジュン(ユン・ゲサン)は失踪していた妻から、誘拐して身代金を奪う計画を企てようと持ちかけられた。気乗りはしないが愛する娘のためにやむなく誘拐を決意したミョン・ジュン。
実行当日、戸惑いながらも目当ての富豪宅に着いた途端、車の前に少女ロヒ(チョン・ユナ)が飛び出してきた。
気絶したロヒはその衝撃で記憶を失う。
起き上がったロヒにミョンジュンはとっさに自分が父親だと名乗る。
何かおかしいと思いながら貧乏な暮らしに適応できずにこき使うロヒにミョンジュンはたじたじだ。
思いやりのある心遣いで優しく接するミョンジュンにロヒは心を許すようになる。
ある日ロヒの家から両親の遺体が発見され、突如、ミョンジュンは誘拐犯から殺人犯の容疑者にされてしまう。
ただの身代金目当ての誘拐ではなく大きな陰謀が隠された複雑な事件に巻き込まれてしまったことに気づいていく2人は・・・。

というサスペンスコメディ。
イントロから何の話なのこれは、といったあれよあれよの展開がいい。
これでもかこれでもかと投げかける演出に引き込まれた。
記憶を失ったロヒを演ずるチョン・ユナの生意気な女の子ぶりがめっぽう可愛い。

チョン・ユナとユン・ゲサン

なのに、ど~いう分けか物語に引き込まれなかったのはこちらのコンディションのせいだろう。
恐らく面白い作品だと思うのでいつか再挑戦したい。

お次は面白そうな物語なので選んだ作品。
23.12.08(02) -☆-「調査官ク・ギョイ」 キム・ウォンソク監督 2021年 韓国  Netflix
汚れ放題のアパートの部屋の片隅で日がな酒を飲みながら大声を出してネット・ゲームに興じる元警察官のク・ギョンイ(イ・ヨンエ)。
ある日かつての仲間NT生命のナ・ジェヒ(クァク・ソニョン)チーム長がク・ギョンイに持ってきたのは、
35歳のキム・ミンギュ(キム・ガンヒョン)が散歩中に消え、
崖で足を踏み外して死亡したと推定された統営失踪事件。
保険金はなんと12億ウォン(約1億1650万円)。
単純な保険詐欺事件だと思われたが、行方不明の保険加入者を調査していくと、彼が働いていた工場で人が次々と死んでいたことを知ったク・ギョンイは、「これは緻密に設計された殺人事件なのではないか?」と疑い始めた。
殺人者を追う彼女の奇想天外な探偵劇が始まった。

ネット・ゲームに興じるク・ギョンイの冒頭のシーンからめっちゃ面白そうな予感。
ク・ギョイのキャラがいいし演出もあざとく斬新で好きなんだけど並行して他の作品を観ているうちに物語が分からなくなってきたので二話で途中下車。
絶対楽しめそうな作品なので後日再挑戦したい。

先日読み終わった「定年後の韓国ドラマ」藤脇邦夫著 幻冬舎新書刊で、

「この作品の第一話を観て面白くなかったら韓国ドラマを観る必要がない」とまで言い切られた作品を観た。
23.12.10(2) -☆-「ジャイアント」 ユ・インシク監督 2010年 韓国  Unext
朴正煕政権下、1970年代の韓国、のちに“漢江の奇跡”と呼ばれる高度成長時代を迎えようとしていた頃。
釜山に暮らすある親子は偶然金塊密輸計画を知ることになる。
親子はそれを地元の軍保安部隊に届け出るが、野心家の保安部隊長は、密輸組織を逆手に取って国家の中央に入り込んでゆく。
もともと江南開発を手掛ける友人を頼ってソウルに移住を考えていた一家だったが、保安部隊長の謀略を知ってしまった父親は殺され、同じく現場に居合わせた長兄も命を追われる身となり、一家はソウルへの逃避行の間に、生き別れとなってしまう。
やがて再会を果たす兄妹。
次男のガンモは建設業界にもぐりこみ、長兄はKCIAの諜報員に、妹はスターになり、ソウル江南地域の開発で政財界を牛耳ろうとする父親と仇への復讐を始める…。

といった韓国がダイナミックに近代化にすすんだ歴史的にも重要な時期を挟んで語られる大河復讐ドラマ。
何回も途中下車しながら最終的には第8話でダウン。
あまりにも古臭くないか?
演出のタッチが古く、典型的な昔のTVドラマっぽいし、シナリオも面白くないし役者に魅力を感じない。
ということで途中下車。
往年の演歌の大ヒット曲を聞かされて「いいよね~この歌は」と言われても「演歌は苦手なんだもん」としか言いようがない。

「近年の韓国ドラマにおける一番の傾向は、原作としてWEBのマンガと小説を参考にせざるを得なくなっていることで、最近のヒット作「ミセン─未生─」(2014 tvN)はその潮流から生まれた作品の一つだが、この作品に韓国ドラマのこれからの方向性を見出すことができる」と、
藤脇邦夫著「人生を変えた韓国ドラマ 2016〜2021」 光文社新書( Kindle 版)に、

書かれていたのでそれは観なくてはということで観ました。
23.12.16(03) -☆☆☆☆-「ミセン~未生~」 キム・ウォンソク監督 2014年 韓国 Unext
幼い頃から一途にプロ棋士を目指していたチャン・グレ(イム・シワン)。
棋士として素晴らしい才能に恵まれてはいたものの父親が他界したためプロ棋士への道をあきらめた。
貧乏なので大学にも行けず、兵役を終えた26歳になっても昼夜バイトの掛け持ちをしながら母親と2人で暮らしていた。

【物語の概要】
ある日、グレは母のコネで韓国有数の大手総合商社にインターン(見習い)として入社できた。
学歴は中卒、会社経験ゼロでコピーの取り方すらわからないグレは有名大卒で何ヵ国語も話せるバリバリのエリートたち10人ほどと2週間の研修生活に加わった。
圧倒的にハンディのあるグレ。
同期の仲間からは、
「あいつは専務のコネ入社なんだ、いいよな~」
「どれだけ金積んだんだ?」
「出世は目に見えてるし羨ましい」と後ろ指をさされ誰一人友達も出来ない。昼食も社食でいつも一人。
時間がたつにつれてグレが貧乏で中卒だという噂が広まると今度は仲間たちからのいじめが始まったがじっと我慢するグレ。

2週間の研修期間の最後には仲間と2人でチームを組んで社長や会社上層部を前にプレゼンを行う。
そのプレゼンに通らなければ社員に採用されない。
誰もグレとはコンビになりたがらない。足を引っ張る奴とは組めないからだ。
たった一人取り残されたグレに同期で一番シーチョーな男がコンビを組もうと申し出た。

彼とコンビを組んだプレゼンでみごと合格したグレは入社できたが2年間の契約社員としての入社だった。
しかも配属されたのは営業部のメインから外れた社員2人の営業3課。

外国語も話せずコピー機の使い方も分からず何のスキルもないグレ。
無駄口を叩かず生真面目で頭も良く誠実なグレだが会社の戦力にはならないので雑用ばかり言いつけられていた。
そんなグレが徐々に輝き始めた。
それは彼が極めた囲碁の世界の価値観で会社の業務、人間関係、上司とのやりとりを分析し、毎日、日記にその日に会社で起きたことを記し囲碁の戦法に置き換えて解決策を考え抜いていたからだ。

囲碁で培ったずば抜けた洞察力がじわじわと仕事の役に立ち始めグレ(イム・シワン)と営業3課のオ課長(イ・ソンミン)、キム代理(キム・デミョン)の3人は絶妙なチームワークで数々の難題を解決して社内から脚光を浴びるようになった。

グレ
オ課長
キム代理

グレには3人の同期入社がいた。
幼い頃からの情操教育でエリート街道まっしぐらのチャン・ベッキ(カン・ハヌル)。

カン・ハヌル

グレとコンビを組んだシーチョー男で社内事情に地獄耳なハン・ソンニュル(ピヨン・ヨハン)。

ピヨン・ヨハン

既に研修期間に会社の書類棚に埋もれていた企画を練り直して一人で契約までこぎつけ莫大な利益を産んだ容姿端麗で頭脳明晰な紅一点アン・ヨンイ(カン・ソラ)。

カン・ソラ

彼ら4人がそれぞれ配属された課でどんな仕事をやらされたのか。
これでもかこれでもかと次々降りかかる上司からのパワハラ、セクハラ、いじめ、教育・・・。

単に一人の男の会社での成長記録ではなく、
巨大な商社にからむ陰謀や悪事や利権争いやいじめの数々を乗り越えて成長する4人の姿を通して“会社”という化け物の姿を描いた作品です。

セクハラな上司やら上層部に媚びる中間管理職やら下請けから賄賂を受け取る上司やら部下に責任を転嫁する上司やら魑魅魍魎が暗躍する網の目をくぐりながら大人に成長するグレの2年間を描いたみごとなドラマです。
サラリーマン経験のある人には「サラリーマンあるある物語」としてかなり楽しめます。

面白いドラマが成立する要素は3つ。
よく練られた脚本、独特の映像感覚の語り口調を持った演出、脚本や監督の描いたキャラクターを膨らまして可視化できる才能を持った優れた役者。
本作も見事に興味深いキャラクターが次々に登場する。
特にグレの上司オ・サンシクを演じるイ・ソンミンのキャラクターづくりはみごとだった。
「結構なお手前でした」としか言いようがない素敵な作品で12月4日に観始め12月16日に全20話を観終わりました。

【Trivia & Topics】
本作の概要。
2014年10月から12月にかけて韓国のtvNで放送されたTVドラマ。原作は同名のウェブ漫画。
日本ではMnet、BSジャパン、囲碁・将棋チャンネルで放送された。

✥エンディングのテーマ曲。
その回の物語に応じてエンディングの楽曲が違うのが面白いな~。

✥新入社員カン・ソラ。
同期新入社員カン・ソラを演じたのはアン・ヨンイ。
頭脳明晰、眉目秀麗、性格の優しいカン・ソラはこれ見よがしな派手さはないけれど色っぽくてスタイル抜群の素敵な女優だ。
『サニー 永遠の仲間たち』に出ていました。

✥上司の言い分について。
ぼくのサラリーマン生活はたった7年。
激動の時代に創業2年目の新進気鋭のレコード会社で過ごした時の思い出を一つ。

1970年。
自由に生きていいんだとビートルズに教えられ浮ついていた頃の入社。
入社そうそう始まったのが“ニューロック・キャンペーン”。
全社員がアル・クーパーが自由の女神に扮した重たいペンダントを首にかけていた。

アル・クーパー

朝から晩まで音楽を聴いていても仕事だから文句を言われない。
新興会社だから古いしきたりや因習がない。
情報を仕入れに来た評論家たちと「っじゃ、お茶でも」とカフェに行ってもらった領収書は必要経費。
毎晩深夜放送プロモ‐‐ションで都内を明け方まで駆けずり回ったが定時出社に厳格だったので9時出社はきつかったけれど残業代はどうなるの?など考えたこともなかった。
こんなに毎日が楽しい上に給料が貰えるなんてここは天国だと思ったほどだ。

そんなある日同期のS君と直属の上司に呼ばれた。
「あのな~、あんたたちその長髪を切らないの?」
「ネクタイもしないの?身だしなみをちゃんとしなさい!」
「ここは会社だぞ‼」
ぼくとS君はネクタイもせず肩までの長髪だった。
「とにかく私は長髪が嫌いだ。すぐに髪を切って来い」

翌日ネクタイは結んだが2人とも長髪はそのままだった。
ネクタイは定時を過ぎればほどけるけれど切った髪は戻らない。

数日後その上の上司に2人は呼び出された。
「髪は切らないんだね」
「いいよそのままでも。ただし自分がやっている仕事に自信があるのならばだけどね」

翌日髪を切った。
私は長髪が嫌いだという感情的な上司の言い分には従えなかったけれどこの上司の一言は胸に突き刺さったからだ。

暖かい言葉を期待していたこの会社の入社式の社長の訓示は「君たちは当分先輩たちの売上を食いつぶすんだ。会社が沈まないように漕ぎ手となっている先輩たちが稼いだ貴重な売り上げだ。一日もはやく君たちも会社の漕ぎ手となって下さい。会社というのは運命共同体なんです」だった。
創立四年目で業界ナンバー1に登りつめたこの会社で過ごした7年間は忘れられない。

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。

【reputation】
Filmarks:☆☆☆☆★(4.3)

u-next :☆☆☆☆



電子書籍「きっかけ屋アナーキー伝:昭和♥平成企画屋稼業♥ジャズもロックも本も映画も」を販売しています。
Kindle Unlimitedでもお読み頂けます👇


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?