ポーカーをする男たち

 白熱球の上部の傘から下に向けられた光が照らす四人の男はテーブルを囲んでいて、部屋中をいぶしている逃げ場のない白い煙が彼らの心中を表しているように、その四人はそうしているより仕方がないといったふうな様子の部屋には、確かに、そうするより仕方のないといったふうな家具――テーブルとイスと本棚くらいしかなかった。
 三人が吸うタバコの銘柄はそれぞれ違っても、それはもはやどうでもいいといったふうに混ざりあったあたりの白さと、閉めきられたカーテンのために、今が朝なのか昼なのかさえも分からずに、窓自体も内側から白くくすんでいて、結局、内からも外からも内情はよく分からない、としても不思議はなかった。
 もともとは麻雀をするようなテーブルで、といっても私は麻雀をしないから、そのテーブルが本当にそうなのか断言はできないが、ワイングラスを置いても、音がしないような柔らかさが、その表面には感じられる。
 一度、ボヤ騒ぎがあったといわれるこの部屋も、気のせいと思われるほどの彼らが興じているポーカーに監視の目がいきわたっていても、私たちが疑われることは、どうしようもなかった。
 冬枯れた木々の間を歩くでもなく彼らを眺めていると、片肘をついたひとりの男の身の乗り出し方には若干の誇張がみられた。
 その体勢ではおそらく彼は自分の右側、つまり背景の奥へとひっくり返ってしまいそうなのだ。
 給使のポーラはいったい何をしているのだろう。もしや一刻でも早くここから離れたいがために行方をくらましたのだろうか。
 つい一週間前に、一緒にクリスマスを祝ったばかりで、私ならともかく、ついにはそれをもおろそかにしたいがために、今になって逃げだしたとあっては、それは誰のためにもならないことは、その時からすでに分かっていたことではないか。
 その誰かのことでポーラがいなくなったとすれば、私に代わって誰がここで待っていてくれるのか、――いや、ここはやはり私が待っているべきとしておくほうが自然でも、先日、降り積もった雪が解けはじめてから、私がここで待っているのは、やはりおかしかった。
 この街の住人である私は、その四人の男たちをどうにかすべく方法を考えるにあたり、あの金色の光が現われたときまで煙たい鍵穴を覗いていた、ということになっていて、それはあらかじめ決定事項でもあったように思われた。


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