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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》3

     三、

 この冬いと寒くあれば暖をとるもストーブの火力及ばず寝覚めの床の吐く息なを白し。
 火力とは言いじゃうむしろ非力なり。

 2018/12/29 22:07

  凍てる朝も霜降る小屋の外に出て
  生きてある奇跡白い火燃やす

 2018/12/30 00:33

  海は波
  街場は時に背を押され
  よれつまろびつ生きるほか無し

 されどまた生きるとは、なほ飽かざるさがなるか。
 大いなる智慧の欠けたれば自ずと小智慧ばかり駆け回りて、己が愚鈍にいい聞かさんとぞ長歌を賛ず。

 2018/12/30 00:56

  秋の日のあかね輝く
  湖の岸辺に立ちて
  吾が妹の何思いつる
  偲びてもそはただ淡し

 2018/12/30 00:58

  昔日の胸に踊りし
  夢はまた苦しかりけり
  哀しみをなお持て余す
  人に添う言葉を持たず

 2018/12/30 01:00

  今ふたり日暮れを迎え
  星影の出ずるを待たん
  かの星は幸いなりや
  この星は幸いなりや

 2018/12/30 01:01

  夕餉の火あかあかと燃え
  頬染めつ芋に箸して
  立つ湯気の昇れる先に
  ほのかなる光あれかし

 2018/12/30 23:01

  無垢にては終われぬ人世
  なればこそ
  涙の跡ぞ愛しかりけり

 かくてこの年は暮れり。
 無邪気にも純真のあやうき価値を未だ信じ居る凡老のままなり。

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