Kawara Senbee

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》7

     七、  春、新芽の如くねきねきと諸々の思い生まれ出ずるを、いささか退きて他人事の如く眺め居れば、そもまた一興ならむ。  2019/04/18 18:14   叶えてはまた新しき夢を見て望み果てぬは良きか悪きか  2019/04/18 18:22   桜枝の青葉の繁り溌剌と   花散る記憶無きが如くに  いじられし後輩「だうせ僕なんか文芸部のペットですよ・・・」  いじりし先輩「否、さほどかはゆきものにやあらず」  本歌ありとせばかかる応酬にありたるか。

    • 摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》6

           六、  かく年経るあいなかも幾度かこの島々をわたり歩き、その先々にていくつか胸ふたがるる景色に至れることこれあり。  何考えるともなくしばし当て淡く行きつれば、何得るとなく疲弊して帰り着くもいかでか愚かなるにやあらむ。  2019/03/28 21:29   日本海に来てみたけれど   我が定め   無論反転されるでもなく  西の海に日の落ちて春の宵未だ寒し。  絶対的無力を嘆ず。  2019/04/02 22:12   陽のなくば極低温の暗黒のつちくれ

      • 摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》5

             五、  電網世界の幼年期よりの住人なればこそ、我幾たびかそしあるねっとわーくに要らぬほむらのあちこち立つを見ゆ。  夜郎自大とはまさにかかるものにて、げに組しにくし。  2019/02/28 17:52   花や鳥   風や月など詠みおれば   人の怨みも買うまいものを  2019/02/28 18:03   花枯れし|伽藍<ぐゎ   天平の仏の笑みに   ひとり滂沱す  2019/02/28 21:40   あやなせるれんげのそのにはねをたてやすめる

        • 摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》4

               四、  今より七十余年ばかり昔、吾が住まい傍に流るる川の十里ばかり遡りたる山あひに、母方の祖父ら居ましき。  後添いの祖母険しき人にて、母ら異母の子女、女中にも比す労苦受けたるにやと。慮るほか術無し。  もとより母は語らず、時に遠き山背に目を向けしまま郭公の声聞きおれり。  2019/01/06 12:04   その昔母を運んだ   林鉄の線路も今は田畑に消えて  2019/01/06 23:14   妻や子をかえりみもせぬ奴といて   幸せになれると君は

        摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》7

          摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》3

               三、  この冬いと寒くあれば暖をとるもストーブの火力及ばず寝覚めの床の吐く息なを白し。  火力とは言いじゃうむしろ非力なり。  2018/12/29 22:07   凍てる朝も霜降る小屋の外に出て   生きてある奇跡白い火燃やす  2018/12/30 00:33   海は波   街場は時に背を押され   よれつまろびつ生きるほか無し  されどまた生きるとは、なほ飽かざる性なるか。  大いなる智慧の欠けたれば自ずと小智慧ばかり駆け回りて、己が愚鈍にいい聞

          摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》3

          摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》2

               二、  嘯くに飽き足らず、さらなる法螺の生ずるを待つも日は待たず。  心中茫漠たるままいささか開き直りて詠む。 2018/12/20 01:17   君の事はもう忘れたのだ   僕はただ   雪降る音を聞いていたのだ  虚無へと詩想は転向。  2018/12/22 21:54   冬至りて   風に萎れし病葉の   胸かき抱き昇天を待つ  さらには一旦同族の軛を離れ、さる上流階級に属する種族の境地に遊びたり。  2018/12/23 23:40  

          摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》2

          摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》

           年ふりて傍目落ち着きたる様なれど、そはただ体力の衰微によるものにて、実はさして人となりの成熟に伴うものにてはあらず。  情感志操は未だ年端もいかぬ餓鬼郎党のまま、その溌溂に老いたる血肉の付き従わず、ただただ懊悩するばかりなれば、敢えてその懊悩を古の言の葉の律に綴り合わせ、嘆息の代わりとするも一興なりとて、二とせばかり詠み浸る。  その数、二百を超ゆ。只管暇に任せて思うまま詠みしものゆえ整理もおぼつかず、只そのままを示しおるなり。      一、  まず。愛しき愚犬の去勢

          摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》