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ネガポジコースター

え?今日おみくじで凶引いちゃった?
凶という日を大事にしようぜ。
水宮です。


小さな頃から言葉遊びが好きだった。日本には空耳アワーとか、…同音異義語というものがある。

きょう。という音も、
今日、京、教、強、狂、興、凶、共、恭、鏡……と、常用漢字だけですぐ出てくる。
上にパッと出てきた『きょう』音の言葉の意味も、眺めてみるとなかなかに意味深な並びだ。


扉写真はご存知の方も多いであろう。陰陽のシンボルマーク。
白がポジティブ。黒がネガティブ。
白が陽、黒が陰。白が男性性、黒が女性性。白が光、黒が闇。
ハイ、双方怒らないんだよ〜不貞腐れんなよ〜俺なんてどうせ〜とか誰それ可哀想〜って感情論ではないのよん♪どなたも安心してどうぞ。


白と黒の勾玉は、完全に白黒に分かれていない。目のように見える点の部分に、相手の特性を宿している。
ポジティブ一点張りの人も転落することは現実に普通にあり、
どんなネガティヴな人でも大団円の幸福を手にすることも現実によくある。
スーパーヒーローも女性から生まれている。非道い悪漢もまた。
非道い悪女には当然父親がおり、絶世の美女にも同様に父親がいる。


太陽神、天照大神が隠れてしまえば暗黒の夜ばかりの世界になってしまう。
しかし彼女は他の神々の舞や、暗闇の中の陽気な騒ぎに気を引かれ、つい天の岩戸に手をかけた。引き戻された彼女に最初に突き出されたのは鏡だ。自分以外の神が現れたと騙されて出て見ると、鏡。映っているのは、己の輝く姿。
暗闇の中で絶望し、己の中に再び光を見出す。古事記の最も有名なお話でしたね。



私が子どもの頃は普通に停電があり、困る親を尻目に子どもたちは大はしゃぎ。
溶けてしまうから仕方ないと出された徳用アイスに、ロウソクの炎のきらめきを見つめながらたっぷりありつける。まるで魔法のパーティみたい❗️
暗いと、火って、光、って、こんなにキレイなんだ。あれ?芯のあたりが青い口のように、歌ってるみたいに見える。芯の所はどうして黒いの?あかるい光の中心なのに?


一年前、かつてとても縁の深かった人の葬儀に行った。
胸が詰まったよう。帰りの夜道。
だがふと、夜空を見上げると、全天は輝く星。亡くなったひとが天そのものになり、変わらぬ笑顔で見ていてくれるようだった。


ひどく落ち込んだら物理的に対応することもある。
単に窓を開ける。外へ出る。もう暗いなら単に電気を点ける。(暗いじゃないの電気点けなさい、目悪くなるよ)
水を飲み、深呼吸して、湯水を浴びる。
あれ?なんだかおなかがすきましたよ?
作る。食べて片して歯を磨くと、
あれ?なんだか眠たいですよ?
じゃ、寝る。


バカみたいに聞こえるかも知れないし、そこにはネガもポジもない。ただの営為だ。
しかし過去に5回、精神科にぶっ込まれて入院した時のことを思い出す。
ほんとに幼児くらい、きちんと食べさせられ、きちんと早く眠らされた。ごたくはいいから言う通りにしろって言われてるみたい、とむくれる患者さんもいた。
ただそれは確かに、劇的に効くのだと、自発的にするようにして実感した。



陰陽は混ざり合い、分かちがたく溶けあい、くるくる反転を続ける。マークは四角でも三角でもない。円だ。上も下も左右もない。


今はやらないが、タロットカード占いができる。あのカード(他の言語では「カルタ」)は起源の特定が難しいらしく、キリスト教以前のものも色々入っている。
キリスト教ならつまり、イスラム教も仏教もそうだが善悪がはっきりしている。正義と悪、善行と罪が分けられている。
が、それ以前の地球各地の文化は、もう少し大人だ。しかも謎めいて、あどけない所もある。


タロット大アルカナ(絵のカード)の10番目に、「運命の輪(wheel of fortune)」というのがある。
陰陽マークととても似た性質を持つカードだ。
正位置だと転換点、幸運の到来、チャンス、変化、出会い、解決、結束、定められた運命。
逆位置は、情勢の急激な悪化、別れ、すれ違い、降格、アクシデントの到来、解放。



どっちもありなのだ。

中国の故事に『塞翁が馬』というのがあるのもよく知られているが、大意は同じ。
塞おじいさんはいちいち騒ぎ立てず静観して、ケースバイケースでできることしてるだけだよ、いいも悪いもどう転ぶかは分からないでしょう?と落ち着いてるってお話ね。


ネガポジはどんなものにもある。どうとでも転ぶ。
凶が出たら、注意点をよく読んで気をつけるだろう。大半の「凶」は不注意への警告の筈だ。
だが人は厄災さえ楽しむことが出来る。火事見物、殴り合いの見せ物、怪談に恐怖映画、悪評と酷い噂のメディア。


こんなのんきな私でも、富士急ハイランドのZOKKONに乗れと言われたら全力で逃げる。
自分にとっての幸不幸くらい、もう分かるんだから五十路だし。

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