愛された横綱・稀勢の里 本当にありがとう
稀勢の里、本当におつかれさまでした。不器用で繊細だけど、とにかく相撲に一生懸命なのが、取り組みを見ているだけで伝わってくる力士でした。
茨城出身だということと、小さい頃からなんとなくテレビで相撲中継がついている…という家庭だったので、同郷の稀勢の里のことはずっと応援していて。
6年前、大阪に赴任したとき、先輩たちから大相撲観戦に誘われて、生で観てその迫力に圧倒された。
特に大阪場所は力士との距離が近くて。
花道へ入っていく、支度部屋に戻っていく稀勢の里を、ほんの数十センチの距離で見ることができる。激しく当たり、汗をだらだらにかいた取り組み直後は、その熱気が伝わってくるぐらいだった。
(このnoteの写真は全部自分が撮ったもの。↓はiPhoneで撮ったんだけど近さが伝わりますか…!触れそうな近さです)
お相撲おもしろいなぁ、また生で観戦したいなって感じるようになって。
それから2年後、新聞のスポーツ面をつくる紙面編集者をやることになって。
お相撲のページを担当するときには、何を紙面に載せるのか、届いた記事を読みながら考えるんだけど、「さじき席」と呼ばれる力士のひと言がほんっとうに面白かった。
関取で最年長の安美錦は年齢をちゃかしたようなコメント。自分の好物の話をする力士とか、金星にひたすら「うれしい」って興奮してる若手とか。いろんな力士がいるんだなぁとますます興味を持った。
それからは毎場所のように見にいくようになって、去年は名古屋も福岡も含め、初場所から全部の場所を制覇したぐらい。
実は、稀勢の里が照ノ富士と対戦して優勝した2年前の取り組みは、大阪の紙面の1ページ目(1面)を担当する最後の日だった。
先輩たちからは「こんな日の1面がつくれるなんて幸せものだな」と言われたけど、5時半ごろまで胃が痛くて胃が痛くて、「勝たなくていいから、どうか無理しないでほしい」と願っていたのを覚えている。
あれから2年。横綱在位は短かったけど、それまでに本当にたくさんの魅力的なお相撲をみせてくれた。稀勢の里が観たくて場所に通うようになったけど、高安や嘉風、安美錦、栃ノ心、鶴竜、逸ノ城……ほかにも応援したくなる大好きな力士がいっぱいできた。
願わくば、もう一度生き生きとお相撲をとるところを観たかったなぁ。白鵬の連勝を止めたり、「ここで!?」っていうところで勝って観衆を沸かせたりする姿を。
この2年間は、なんだかいつも表情が曇っていて、特に今場所の3日間は、みているこっちの胸が痛くなるぐらいだった。
会見で「期待にそえられなくて」と言ったけど、そんなことないです。
まずは重圧から開放されてゆっくり休んで、次の道をまた全力で進んでほしい。これからも応援しています。
この記事の末尾の言葉、すっごくいいので引用します。
「横綱は負けられない。もっと強くなって、今まで見たことない景色をたくさん見てみたい」。昇進時にそう誓ってから2年。思い描いた境地にはたどり着けなかった。しかし、もがき苦しむ姿すら愛された稀有(けう)な横綱だったと思う。
まさにそうだったなぁ、って思う。
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