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大学生がゼロから商品開発をした話

はじめまして、FumiLay代表の水野です。

最近学生起業家が増えていますが、「実際どうなの?」と感じている方も多いはず。今回は、僕のプロダクト開発を通して、学生ながら起業/プロダクト開発のリアルをお伝えいたします。

自己紹介

僕は大学3年生の時に枕ブランドFumiLayを立ち上げ、全くのゼロ状態から商品開発~生産・販売まで行ってきました。
何を作ったかというとモノは電車やバスの窓ガラスにくっつく携帯枕を作って販売しました。
こんなのです↓

(窓にくっつく、まどまくら)

裏面が特殊な吸着シートを用いていて、ぴたっとくっつく仕組みです。わりと珍しい商品でウケたのか展示会に出したりクラウドファンディングをしたり百貨店で店舗販売をしたりで、現在は累計で70個くらい販売出来ました。

ブランド立ち上げのきっかけ

大学に入る前からなんとなく、商品企画とかものづくりとかやりて〜と思っていました。
しかし、金もないし人脈もないし技術もないし知識もない。なにもないのでまずは技術を身につけること、そして環境を作ることからやってみようと思いました。

そんなときに知ったのがDMM.make AKIBAという施設です。ここはスタートアップがアイデアを形にするために、専門の機材が揃えられたモノづくり施設でした。

そこで求人を見つけたので、バイトなら雇ってもらえるかもと思い、応募したら運良く雇ってもらえました。

アルバイトとして仕事をしながら、モノづくりをするための技術やCAD設計や3Dプリンタなんかのデジタルファブリケーションに初めて触れて、なんとなく作りたいものは作れる技術を身につけていきました。

そんな中DMM.make AKIBAで出会う人たちはとてもイケイケな方が多かったです。自らのアイデアを形にして新しく価値を生み出す。そんな人たちを尊敬し、自分もこんな人間になりたいな~と思っていました。

基本的に僕は人から影響を受けやすい性質なので、毎日起業家の方たちに会っていると自然と自分も何かやるかという気になりました。もし同じようなタイプの方は自分の目指しているような人達がいる環境に属すると格段にモチベーションが上がると思います。

プロダクトのアイディアを決めた

いざ何を作ろうかなと考えたとき僕は自分の悩みベースでプロダクトを考えました。その当時はバイトや学校へ行って、そして隙間時間はCADやイラレを勉強してと、とにかく睡眠時間が足りませんでした。深夜1時に寝て5時に起きる生活をしていて、日中は眠くてしかたがありませんでした。しかし、夜の睡眠時間を増やすのは中々に難しく、電車や休憩時間での仮眠がとても貴重な睡眠時間でした。

そこで感じていたのが電車はとにかく寝づらい。端の席なら横に寄りかかれるけど、真ん中の席だと隣の人に寄りかからないように気を付けなければならなかったり、変な姿勢になり首を痛めたり。。
貴重な睡眠時間なのにここで寝られなかったら、日中辛いです。しかし寝づらい!
そして早朝5時の電車には、僕と同じように苦しそうに寝ているサラリーマンが溢れていました。

僕はそこに確かにニーズを感じました。とにかく僕は電車で寝ることが何よりも重要だったので、まずは自分が欲しかったものを作ろうと思いました。そこで考案したのが、「窓にくっつく、まどまくら」です。

とりあえず、まずは作ってみる

本来はここで市場性やPMF検証などが必要なのですが、僕はそんな定石は無視してとりあえず試作を作り始めました。ファーストプロダクトなんてそんなもんでいいと思います。初めはやりたいようにはじめて、成功したり失敗したりすればいいと思います。自分は上手くいくことよりも目標をもって、行動をすることが何よりも大切だと思います。

一番初めのプロトタイプは3Dプリンタで出力した土台にウレタンはめてカバー貼っただけのよくわからないものをつくりました。

(プロトタイプ1号)

そしていろいろと試したり、人に見せてフィードバックをもらったり、新しく技術を学びながら試作の改良を重ねてきました。整形外科の先生や睡眠医療の医者の方にお会いし、座って寝る際に最も良い姿勢をキープ出来る設計仕様や寝心地の模索もしていきました。試作を始めたのは大学2年生の6月で、そこそこ形になったのが3年生の1月くらいなので1年7カ月くらい時間をかけました(気楽にちんたらやっていたのもありますが…)

(そこそこ形になったもの)

とりあえず起業してみた

ブランドの立ち上げは試作開始から1年経った3年生の7月に開業届を出しました。

屋号は"不眠"を"ゼロ"にという意味で「FumiLay」(フミレイ)と名付けました。まだ売る段階ではなかったけれど、人に会う機会が増えて名刺が必要だったためとりあえず開業しました。

開業届を出すにはお金もとくにかからないし、出すだけなので一日で出来ます。いきなり法人化するよりもハードルの低い一歩として開業届を出すのはありだと思います。

とりあえず売ってみた

結構モノが形になり、自分も毎日使うほど気に入っていたので、特許を申請した後、数十個だけ作ってテスト販売することにしました。2018年5月にはデザインフェスタで出展してみました。

1個売れればいいかな~と思っていたら、なんと用意していた在庫が完売しました。初めて売れたときは人生で一番売れしかったし、自分のやっていたことは間違えてなかったという自信が得られました。

しかし売ってみたことで新たに課題が見つかりました

・ニーズを満たしきれていなかったこと
・利益を出す価格帯にできなかったこと

展示即売会なので直接ユーザーさんに見てもらい率直な意見を頂けます。来場者数が6万人近くいるので、1日でもブースに1000以上の人が見てくれます。そこで実際に手に取ってもらい、大きすぎるとか使うのが恥ずかしいや寝過ごしそうなどごもっともなフィードバックを貰うことが出来ました。

またびびって販売価格を低めに設定したため、売れても全く利益にはなりませんでした。今までどちらかというと商品を生み出したいという想いが強かったため、ここで初めてお金にするという意識に変化していきます。

そのためにはニーズの反映と生産コストのバランスが必要になります。
自分が欲しいものを作るプロダクト思考からだんだんとマーケットイン思考に変化してきました。

クラウドファンディングへの挑戦、メディアの反響

デザフェスでの課題を活かし、まずは顧客ニーズを反映させるために商品の見直しを行いました。

例えば、寝過ごしそう!という意見が多かったので、枕の中にスマホを入れるようにしました。

始めはBluetoohバイブを連動して設定した時刻に振動する方法も試しましたが、コストが倍以上になるため止めました。顧客はそこまで高いものを求めていなかったし、目的は起きれればよいので機能はシンプルに。

また、このときには以前よりも積極的に人に見せて、貪欲にフィードバックを頂いてました。とにかく内にこもって一人でやっていてもにはプロダクトは上手くいかないので、出来るだけ人に会って意見を貰い、プロダクトを客観的に見るようにしました。

その後、より多くの人にまどまくらのファンになってもらおうと、クラウドファンディングに挑戦することに決めました。縁があってANAが運営しているWonderFLYでクラウドファンディングを開始しました。やっぱり基本自信がないので一人でいいから支援してくれ~と思っていましたが始めて見ると今までお世話になった方をはじめ、多くの方がご支援くださいました。

わずか6日で目標金額(100,000円)を達成し、最終的には達成率186%、37人の方にサポートして頂きました。そしてありがたいことに取材のオファーをいくつか頂くことが出来ました。(電車の窓にくっつけてもバレない!? “通勤睡眠”を快適にする「枕」を大学生が開発ーFNNプライム

(NHK総合 ひるまえほっと)

目標金額達成しただけでは終わらない、一番キツイのは生産

無事クラウドファンディングは達成度186%と大成功。そして応援してくださったサポーター様に感謝を込めてまどまくらの生産をします。
しかしここで問題だったのが生産コストかかりすぎる問題です。
工場には枕の金型を作ってもらうのに通常30万~200万くらいといわれ、1回の生産で1000個からじゃないとやってもらえません。とてもじゃないですがそんなにお金もありませんし、今の段階ではリスクもかけられませんでした。

そのため、工場に頼まなくても安く高品質に作ってもらう方法として、自分はクラウドソーシングを用いました。ここでは専門的なスキルを持っている方にクラウド上で個人に依頼が出来ます。

試しに依頼してみましたがクッションカバーは工場の1/3くらいのコストで作って頂き、納期も驚くほど早く品質も素晴らしかったです。
ウレタンの発泡はどうしても見つからなかったので、自分で生産しました。車のヘッドレストを作るやり方を用いて、簡易金型を作り枕の発泡を自分で行いました。自分でやるかといって不良を出すわけにはいかないので、トライ&エラーを繰り返し、どうにか不良を出さない生産方法にたどり着きました。

睡眠のビジネス化に取り組む

当初の目標は「商品化をする」ということでした。
これはある程度達成出来たかと思います。

ただ、今まで作ってきた枕は僕が「どこでも寝たい」という想いからできました。この想いは今でも変わらず、今後は"睡眠環境"というものを拡張していくプロダクトやサービスを生み出し、マネタイズが出来るようにビジネスを作っていこうと思います。

現在はチームで、新しく商品を企画したり、睡眠セミナーを大手企業様と業務提携したり、新しい動きを徐々に進めております。今年度中には新しい発表ができるよう頑張っているので、ぜひお楽しみに!!

まとめ

金なしコネなしスキルなしの大学生でしたが、環境を変えてみて行動してみたら自分の目標を達成するまで劇的に成長出来ました。

モノづくりはどんなに頑張っても利益率は低いしコストはかかりますしリスクは大きいです。
それでも自分の生み出したものが価値になるのは何に増しても得がたい喜びです!

まだまだ未熟者ですがこれからも頑張ります。
応援して頂けましたら幸いです!



お問い合わせなどお気軽にご連絡下さい

水野 勇望
WEB https://fumilay.com/
Twitter @Fumilay_jp
Facebook mizunoisami.1



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