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酔って語る”お気に入りのジャズ曲”話の良さ

お気に入りの服、お気に入りの食器、お気に入りの場所...
自分をしあわせにしてくれる”お気に入り”

「コレ、LushLife、僕のお気に入りな曲なんだってー」

最近、ふとこんな語りを想い出しました。
ジャズ・クラブで働いていたころ、お店の常連の方が酔いながら語って下さった話
「LushLifeっていいでしょ!飲んだくれ人生、酔いどれ人生って最高でしょ、という歌。酔っぱらうっていいよねー。そんなこんなで自分の店の名前にしたわけなんだけど、最高じゃない?最高じゃないか!(笑)」
この話を聞いて以来、LushLifeを聴くと頭のかたすみに「あの曲だ」と思うようになり、それまでとは聴き方が変わりました。

別のお客さんの”お気に入りのジャズの曲”話は
「僕は、Straight, No Chaserっていう曲が好きなんだよねー。英語わかんないんだけど”まっすぐ突っ走れ”ていうタイトルがいいじゃない~」
"Straight, No Chaser"って、お酒についての言葉で「ウイスキー(など)をストレートで。チェイサーはなし」というようなことを言っているらしく、この時、その方は勘違いしていらしゃったようなのですが、正しい意味はこの場合関係なく、彼が"Straight, No Chaser"について酔って語るのは話す方も聴く方もちょっとしあわせになれた、ということ。
 これを思い出したことで、酔って語る”お気に入りのジャズ曲”話にはちっちゃいしあわせがあるなー、と気づいたわけです。

 この、酔って語る”お気に入りのジャズ曲”話に、もうひとつ好きな所があります、それは、大雑把に”この曲が好き”というところ。"LushLife"や"Straight, No Chaser"を沢山のジャズプレーヤーが演奏します、今のポップス語で言うと、いろんなジャズメンは"LushLife"や"Straight, No Chaser"のカヴァーをよくします。リスナーも「ナット・キング・コールのLushLifeがいい!」「コルトレーンのLushLifeが最高」など、しらふの時は「誰々の〇〇(という曲)」という対象を絞ったちょっとむずかしい話になりがちです。でもジャズ・クラブで酔っている時はちがい、飲んでいる時にライブが始まりその中でLushLifeとか自分のお気に入りの曲が歌われるとその人は”しあわせ”になれる(ことが多い)のです、酔っている時はナット・キング・コールやコルトレーンでなくても大丈夫、ストライクゾーンが広くなり「やっぱりLushLifeはいいな~」となる。この大雑把感もかなか良くて、本人がハッピーなのはもちろん、周りの人もちょっとしあわせにできる。
 酔って語れる「お気に入りの(ジャズ)曲」があるって、しあわせなんじゃないかと。

そして、ジャズは酔ってお気入りの曲を語るのにピッタリ

”酔って話せるお気に入りの曲”は、もちろんジャズじゃなくてもいいんですが、いっぱいカヴァーされるLushLifeみたいな曲を”スタンダードソング”といい、ジャズはスタンダードソングを体験できる機会が多くリスナー同士が「あの曲ね」と認識できるのがロック、ポップスより多いです、酔ってお気入りの曲を語った時、相手も「あの曲ね」と思えるわけです。

ジャズ・クラブ、ジャズ・バーに誰かと行く機会がもしあったら、お酒をいっしょにのんで「お気に入りの曲って何か?」聞いてみると、ちょっとしあわせになれて、自分にも「知っているジャズの曲」ができるかもしれません。

今回、例にだした曲が「知っているジャズの曲」に入るかもしれないので紹介します。

【Lush Life】

【Straight No Chaser】



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