「普段ジャズを聴かない人は
　ジャズをどういうタイミングで聴くのがいいんだろう？」
ふと考えてしまいました。

ジャズが熱かった時代、熱かった場所には何かありそう、と思い、
答えをさがしに、ジャズ喫茶（バー）へ行くことに。
選んだのは、このツイートで「体験してみたい」と思い、神田のジャズ喫茶（バー）Root Down

ジャズ喫茶

行ってみるとつぶやきのとおり、かなり暗い店内に「覆い被さってくるような音圧」のジャズがなっており、ジャズ音を体験するにはすばらしい空間でした。（最近アルコールをあまり飲まないのでトマトジュースをオーダーしたのですが、それもおいしかったですし、いっしょにだしていただいた「煎りピスタチオ」も香ばしくてたくさんいただいてしまいました。）

「気持ちいいな～」と浸っているところに「昔HOTだった文化をいま体験してるな～」感になってきたので「そうそう、郷に入れば郷に従えだな」ということで昔よく言われていた（最近は聞かないですが）”ジャズ喫茶の作法”通りに楽しんでみることに。

ジャズ喫茶の作法とは、ジャズ喫茶に行ったらこうふるまうべし、という言い伝えで、今から37年前のジャズ批評No.37ではジャズ評論家の寺島靖国さんがこうおっしゃっています。

ジャズ喫茶はお話しする所ではありませんよ。ジャズという高まいな芸術をかん賞する所なんですよ。アベックで来るなどという不謹慎は許しませんよ。リクエストは所定の用紙の所定の位置に書いて下さいよ。タイトルが間違っていたらかけませんよ。一人一枚ですよ。ワングループ一枚ですよ。このレコードのA面はよくないから、B面しかかけませんよ。本はなるべく読まないで欲しいけど、どうしてもというなら、単行本にして下さいよ。新聞はガサガサいうからかん弁して下さいよ。原稿書きはもってのほかですよ。ゲタは騒音の発生源だからダメですよ。サングラス、ハラマキ、ステテコは入場お断りですよ　　ジャズ批評No.37「ジャズ喫茶店混とん物語」より

整理するとこんな感じでしょうか

・お話しはしないようにしましょう
・余計な音はたてないように
・リクエストはハードルが高い行為ですよ

きゅうくつな作法ですね。
でも今こんな所はないので逆におもしろそう、と作法を意識するように。

ジャズとスマホコンテンツ

音静かにやれること…、で思いついたのがスマホ。ちょうど目と手は暇な状況でしたのでスマホをたちあげ普段からアクセスしているNote、Instagramのタイムラインををながめてみる。
時間がない時は読めないコラムをゆっくり読んでいくとなかなかいい感じ。早く読むのが得意じゃなくていつもは勝手にあせっていたりするのですがその時は全然急ぐ必要もなくいい感じで読んでいけます。「時間がある時に」と思って後回しにしていたコンテンツも読めますし、写真やイラスト、短いマンガを楽しむのも普段よりいい感じ。例えば、スープ作家、有賀薫先生の記事もいつもよりもわくわく感10%増しで楽しむことができました。

まわりには「覆い被さってくるような音圧」ジャズがなっているのでたしかにジャズを聴いている（ジャズ空間を楽しんでいる）のですが、スマホの中のコンテンツも楽しめる、どちらがメインというわけじゃなく、いっしょに楽しめるという不思議な感じ。スマートフォンのディスプレイサイズも音といっしょに楽しむのにちょうどよかったかも。もしもノートPCだったりすると視野の中の割合がジャズ空間に対して大きくなりすぎるような気が（やっていないので想像ですが）。
作法どおりリクエストはしませんでしたので、曲名もアーティストもわからなかったのですが全然問題ありませんでした。

「ジャズはスマホコンテンツを楽しむタイミングで聴くといい」

今回の体験でみつけた楽しみ方です。
ポイントは　”ジャズはできるだけ大きな音で”　です。
「チーチッチチーチッチ」というシンバルのビート、「ボンボンボンボン」というベースラインなどが読んだり考えたりするのにリズムを作ってくれるので音は大きいほうがいい、と思います。僕がいる間はボーカルものはかからなかったのですがジャズは英語の歌が多く、日本語が入ってこないのもテキストや画像コンテンツを楽しむのにジャズのいい点かもしれません。

特に、普段ジャズを聴かない方、
「ちょっとゆっくりスマホでInstagramの写真やフォローしている人のコラムでも読んでみよう」
と思った時はジャズを大きな音でかけてみてください。
意外とどちらにも集中できて「ジャズっていいね～」って言えるかも。

「ジャズを聴くといいですよ」と言ったりしながら、ジャズを聴かない人が「ジャズを聴くときはジャズだけに集中」なんてことはできない（というか実際に無理）ので「こんな感じでジャズを聴くのがいいですよ」にしないといけないなぁ～と思って考えてみました。

おまけ

ジャズ喫茶（バー）Root Downで、帰り間際にかかっていたアルバムについて教えてもらいました。僕が聴いていたのは「カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ」でした。できれば大きな音で是非。

ArtBlakey & The Jazz Messengers　At the Cafe Bohemia,　Spotifyで聴く