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経験より熱量

新規事業を作りたい

私が以前勤めていた不動産デベロッパーの関西セクションのトップから「新規事業を作りたいからそのサポートをして欲しい。」と依頼があった。
大手企業ではよくある話で、「何か新しいことを。」と経営陣が望んでいるが、いざ現場に降りてくると、「本業が忙しくて、、、」とか「やったことないから意思決定できない、、」とかよく耳にする。

我々もそんな相談をうけるのだか、企画までは良くても、いざ実行しようとなると色々な理由で実行できないと言われて、悔しい思いをすることも正直多い。

今回は研修的な意味合いでなく、本気で新規事業の種を作りたいということで、アイデアもゼロから、そして体制も未定であったため、
やるなら年齢やキャリア関係なく、やる気のある人だけを集めて、少人数でプロジェクトチームを組みたいということをこちらからお願いした。

そして、
・参加メンバーの上司にもちゃんと協力を得ること
・本社直轄の新規事業専門の部署の協力を得ること
・プロジェクト期間(1年間)の最後には直接社長への事業プレゼンの機会をセッティングすること
ということを決めて、参加メンバーを募集した。

メンバー決定

特に年次を決めていたわけではないが、2年目から6年目の若手で様々な部署から4名集まり(+1名は中堅で事務局兼任)プロジェクトがスタートした。

初めは、メンバーの興味関心や普段感じる社会課題などをあげて、KJ法で整理したり、弊社の知り合いのデザイナーや建築家の人に講演してもらったり、興味ある場所を実際見に行ったり。アイデアの種を探す。

KJ法でとにかくアイデアを出す
社外の方の講演会

なかなかアイデアは固まらないが、普段考えないことを考える、会わない人と話す、行ったことないところに行くとメンバーに微妙な変化が現れ始めていた。
ヒアリング先で面白い情報を聞いてテンションがあがったり、定例会で指摘すると悔しそうにしていたり、チームで話しても全然話が進まず、不安になったり。

いずれにせよ顔つきが変わり、夢中になり始めていた。

アイデアもどんどん毎月のように変わるが、とにかく1次情報を取りに行くことにこだわり、その度に調べたり、人に聞いたり、メンバーたちは本業をしながら動き回る毎日だった。

視察先でアイデアブレスト

応援者を増やす

するとまた変化が起こり出す。
今回はもちろん本業の不動産領域における新規事業の取組。
この会社は不動産の上場会社で、ある程度規模もあるので色々なセクションが存在するし、人や情報のリソースは社内にかなりある。

社内動き回ると
「この部署の先輩からこんな情報が」
「検討してるアイデアに詳しい中途入社の人がいたのでヒアリングして来ました」
「以前検討していた新規事業の資料をもらいました」
などの会話が多くなってきて、社内に賛同者や応援者が増えてきた。
なんなら「その事業やりたかったんだがなかなかきっかけがなくて実行できなかったんだ。」といった話まで出てくる。

若手でまだあんまり経験値が少ない子達が必死に教えてください!と社内駆け回っていたら、先輩からしたらそりゃ応援したくなる。
まだまだアイデアは荒いかもしれないが、風向きが変わってきたことを実感していた。

しかし、なかなか事業承認をもらえるレベルまで到達できるかというとそんな甘い話でもなく、チーム内で時間をかけて議論するが、前に進まない。
焦りや苛立ちがあるのも確かだった。

社長プレゼン

とはいえ、社長プレゼンの日は迫ってくる。
プロセスは良けれど、提案の内容次第では、このプロジェクトチームも1年で解散するかもしれないという緊張感。しかし事業とはそういうもので、会社が人やお金のリソースを割くかどうか判断されるのである意味わかりやすい。アイデア良くてもGOを出してもらえるかが今回の鍵であり目標。

プレゼンの日ギリギリまで資料を作り込み、関西から向かう新幹線の中でもプレゼンの練習を繰り返し、いよいよ社長プレゼンの当日を迎える。
最終は2案に絞りそれぞれ分かれて発表。比較的フランクな社風だが、彼らからすると普段なかなか話す機会のない社長。
しかしこの案については、社内で最も調べて、最も思い入れのあるのは自分達だから自信を持っていこうと鼓舞して挑んだ。

自分が発表するわけでもないのだが、私もとても緊張していたし、
古巣の後輩ということもあり、親心的な感覚で見守っていた。
するとある一人が何度も練習したであろうプレゼンを終えた後に、
「最後に一つ。この領域はまだまだ課題があります。それはとことん調べてきた我々が一番分かっている。だからこの事業を推進させて欲しい。」
と台本にはない自分の言葉で話していた。
それは何より、真剣に取組み、熱中していた証拠だった。

結果は、
一つは即実行することになり、一つは面白い領域だからその体制を作る前提で継続検討してほしいとのことで、大健闘だった。
(乞うご期待)

プロジェクトメンバーで打ち上げ

経験より熱量

このプロジェクトは今年も事業化するまで継続することが決定した。

この結果に私自身とても興奮した。
まだ走り出してもいないので、成功するかどうか正直わからないが、若手のみで普段の業務をしながら、新しい事業の承認をもらうところまで行くというのは、大企業においては、かなり珍しいのではないかと思う。
改めて古巣の会社は良い会社だなと離れた身からも感じた。

このプロジェクトを通して、一つ言えるのは、
ベンチャー企業がそうであるように、年齢や経験よりも熱量が新しい何かを生み出すということ。
そして
経営者として感じたのは、マネジメントとはルールを決めることや指示することではなくて、どんな目標を設定し、それに向かってどれだけ熱中する環境を作れるかなんだと私自身改めて勉強になった。

クルのバリューの一つも「熱中する」
これからも社内外の方々と熱中する仕事をしていきたいと思う。

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