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久幸と凌司のお話

話中の万禮一家は、 メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで 設定その他は会員様御本人と話し合っております。
７１１号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡
万禮様の偶さか日記も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。

711号室

主な登場人物

本編

今日のランさんトゥさんが受けた
オルエハスネム巫口無き者と声無き者の声を聴く術の仕事は
なかなか怖かった。
相続された空き家が
どう考えても空き家に思えないからって、
不法占拠対策の役人を連れて
声無き人対策にオルエハスネム巫術師を
頼ってきたのだそう。
現場の外観はどう見ても廃墟。
贔屓目に見ても空き家。
でも、玄関扉を開けると中は
清潔に掃除されて
綺麗に飾り付けられて
人形が何十体も
椅子やベッドやソファに座っていた。

修繕全般ができない人みたいで、
ところどころ
床が抜けていたり
壁に穴が開いていたり
開閉口の蝶番が壊れていたり
椅子や机の脚が折れて傾いていたり
ガラスが割れたりしているのに、
床にも家具にも窓辺にも
埃もチリも無くて、
割れてないガラスはピカピカで、
食卓には糊のきいたクロスが掛かって、
ピカピカのカトラリーと
グラスやカップが整列していて、
それ等に向いて、
髪も服も完璧に整えられた
人形が行儀良く椅子に腰掛けていて
人形博物館みたいだった。

邸内を見回した瞬間に
ブワッと全身に鳥肌が立ったけど、
見えない人が居る事を感知したのか
異様な光景に恐怖を覚えたのか
全然分からないまま
ずっと震えながら
みんなと一緒に手分けして
実行犯の痕跡を探った。

結局、
泰市ちゃんが見つけた
隠形の小さな魔物の人の仕業だった。
ヒューマンの人形遊びを見て気に入って
真似したんだそう。

輸入業をしている依頼人は
人形の販売店を作ろうと閃いたって。
その店で魔物の人にディスプレーを任せるから
代わりにこの家は返してほしいって。
壊れてない店を好きに飾って良いと聞いて
魔物の人は大喜びで家を譲ってくれた。
めでたしめでたし！
ニンゲンと変わらない感覚の人で良かったわね。
魔物の中でも隠形の人は
大概悪戯好きらしくって、
私も７１１号室の外で数回悪戯された。
靴の試着中に
履いてきた靴に牛乳が入れられてたり、
買った乾物の袋に生きた小魚が入れられたり。
お店の人に言われて彼等の存在を知った。

うん、どんな種族でも決めつけちゃ駄目ね。
っていうか、もしかして
悪戯されたと私達は感じてるけど
彼等には悪戯が目的ではないって事も
有り得そうに思った。
何時か彼等と話せる機会があったら
訊いてみたいな。

マリエラセス暦３９０５年６月５日黒曜日２７時０５分
（この星の一日は２６時間）

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