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工藤吉生の短歌【9】2013年7-9月〈20首〉

【第九期】2013年7-9月。65首発表。
年に一回の歌会「東北歌会」参加。
「ハッピーマウンテン6号」に連作などで参加〈14~20〉。
散歩しながら作歌するようになる。



〈1〉
マニュアルに沿って洗った手ばかりが十本揃い朝礼となる

〈2〉
連絡です工藤吉生さん明日までに必ず検便出して下さい

〈3〉
礼をする角度ビシッと決まってる上司にビシッとした礼くらう

〈4〉
こっそりと駄洒落を落とすチーフいてそれを拾って笑うオレあり

〈5〉
関東や関西イベント盛り上がりひとり東北に歌書読むオレは


〈6〉
うねうねと動く海面そのどこに落ちても服がびしょびしょになる


〈7〉
運動会決行合図用花火 朝の布団じゃ防ぎきれない


〈8〉
看板に「箸の禁じ手」眺めれば悪逆尽くす心中の箸



〈9〉
アシの名をヨシと付け替えるようにしてつむじを地面にも見せてやる


〈10〉
桜の木見上げて写真を撮るひとの片方曲げた足がよかった


〈11〉
精子以前、子のない頃の父の食う牛丼以前、牛や稲穂や


〈12〉
君の眉の角度如何でオレの言う主張はどうにでも曲がります


〈13〉
夏風邪をひいたといえば「腹出して寝てるせいだ」と当てる者あり

〈14〉
3個入りプリンを一人で食べきった 強い気持ちが叶えた夢だ

〈15〉
欲望が背中で床を這ってきてこちらのオレをがっかりさせる

〈16〉
CGで作った顔は病的だしかし上手にサッカーをする

〈17〉
つぶやいている場合だが重要なことをしている場合ではない

〈18〉
つかのまのドサクサがありあのひとと乾杯のカチンを交わせない

〈19〉
夕焼けの赤紫っぽい方を日付の変わるころにとりだす

〈20〉
寝るほどに疲れるようだ 起き上がりぼんやりとしてもう一度寝る


短歌は以上です。ご覧いただきありがとうございます。
投げ銭を受け付けています。100円です。払っても新しくなにか読めるわけではありませんが、工藤がとてもよろこびます。

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