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工藤吉生の短歌まとめ・第二十五期【2017年7-9月】20首

▼この時期の主な出来事
NHK短歌テキスト「ジセダイタンカ」掲載。小説投稿サイト「トークメーカー」での歌会「匿名歌会」に参加。詩歌SNSサイト・poecriの「poecrival2」掲載。




〈1〉
お一人様ですねとひとさし指が立ちひとりしかいないオレがうなづく

〈2〉
オレのだと思ったパスタが近づいて隣の席に置かれる真昼

〈3〉
人生のうすい汚点にディズニーではぐれて何も乗らなかった日

〈4〉
浅い川 底がいくらか見えていて寝苦しい夜ゆううつな朝

〈5〉
「ウケる」って一度言われたそのことが思い出になり胸あたためる

〈6〉
最近は自分の頭皮を夢に見るうすうすと朝しらじらと朝

〈7〉
水曜日はウェドネスデイと覚えてもよいと小声でテアチェルは言う

〈8〉
標識に赤い斜線をかけられた男が禁止行為をやめない

〈9〉
まっすぐな意志でこの子は汽関車を桃色ひとつで塗りきったのだ

〈10〉
大中小 シャボンの玉はなさけないオレに響くよ 小小中小

〈11〉
化粧品売り場を君と歩くとき何も知らないオレだと思う

〈12〉
ゴミ箱をあふれるごみのてっぺんで曲がるストローまっすぐのまま

〈13〉
もうちょっと近いものかと思ったが他人は遠い 歯を削られる

〈14〉
オレなんて茂吉の像と比べたらまだまだ背が低いしやわらかい

〈15〉
見かけより歯ごたえのあるパンだけどオレもそうだぜパワーでかじる

〈16〉
ポスターに描かれた空き巣がどう見ても泉谷しげるだ春夏秋冬

〈17〉
自転車をこいでる足の右側のあたりに二秒間の蝶々

〈18〉
朝ドラが小声でしゃべる待合室さてとりあえず肉体を置く

〈19〉
東京から京都に首都を移そうとカメラ目線で言った紳助

〈20〉
甘口の麻婆豆腐を昼に食い夜に食うただ一度の人生



〈1-2〉短歌研究「短歌研究詠草」
〈3〉小説 野性時代「野性歌壇」
〈4-6〉〈15-16〉未来「彗星集」
〈7〉NHK短歌テキスト 佳作
〈8〉読売新聞「読売歌壇」
〈9-10〉短歌研究「短歌研究新人賞」佳作
〈11〉〈18〉日本経済新聞「歌壇」
〈12-13〉ポエクリ「poecrival2」
〈14〉NHK短歌テキスト「ジセダイタンカ」
〈17〉公募ガイド「短歌の時間」
〈19〉ネットプリント毎月歌壇
〈20〉うたつかい

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