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赤松利市 犬(徳間文庫)を読んで

今回も味覚や嗅覚で表現し、ネタバレ回避の抽象的感覚派読書感想文を書いてまいります。

読んだ作品は赤松利市さんの「犬」です。

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この作品のおおまかなあらすじは、63歳のトランスジェンダーの桜が、同じくトランスジェンダーで23歳で美人の沙希と一緒にニューハーフバーを営んでいた。
そこに桜の昔の恋人安藤がやって来る。桜が老後の資金として溜めた1千万円を求める安藤と、そんな危機を察知し阻止しようと1千万円を上手く持ち去った沙希に巻き込まれていく桜の物語。

途中で男性同士のサドマゾ的な描写が多くなるため、非日常を求めて酷い描写を読みたい方に特にオススメの作品になるかと思います。

ただ露悪的な描写が続くだけではなく物語としてスピード感もあり、激しく展開していくため、エンタメ小説として純粋に楽しむこともできます。私自身も特に残酷な描写を味わいたいという気分ではなかったのですが、最後まで楽しく読めております。

この作品は喩えるならば、頻繁に沖縄料理の描写が出て来るということもあり、砂糖と濃いめの醤油で煮込まれた、山盛りのてびちのような作品だと思います。
味付けは濃いめであまじょっぱいのですが、プルプルでホロホロな食感が癖になり、山盛りでも手を止めずに堪能してしまう一皿になります。
ただ見た目やプルプル感が逆に厳しいという人もいるように、食べる人は多少選ぶかもしれません。
ただ、その分一皿完食した時の満足感は、他の料理に比べて高いのだと思います。

これで今回の読書感想文を終えます。癖のある味わいや多少長めの物語を堪能したい時に、ぜひ手に取ってみてください。


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