見出し画像

【観た/2022年52本目】映画「サバカン SABAKAN」観ました。

【感想】
脚本は反則だらけ、演出も穴だらけ、台詞回しは予定調和の連続。
それでも心を穿つ確かな物語。
「夏、少年、旅。」
これぞジュブナイルの新しき名作!

まず、脚本だったりストーリーだったり。
これは果たして褒めてよいのかちょっとわからないです。
設定はありきたり。
夏で少年で旅して、大人が優しくて。
うーん、聴いたことある、見たことある。
台詞回しも予定調和的というか、だいたい次どんなセリフか予測がつく。
正直、島に渡る設定とか、山の件は無理がありすぎ。
年上お姉さんへの淡い憧憬とか、
土地柄からくる微妙な時代背景とか、
このあたりのシーンはバッサリいらなく感じました。

ところがです。
これらのちょっといただけない、いいかえれば反則的というか、小狡い感じの脚本を
演出とキャストの演技がぐっと超えてくるのです。
子役二人の無邪気さ、その徹底ぶり。
父母に竹原ピストル、尾野真千子を据えるこれ以上のない正解です。
シングルマザー役の貫地谷しおりの母性を感じる演技は、なんと尾野真千子に引けを取らない。
岩松了の眼差し。
草なぎ剛の全体を締める、ソリッド感のある佇まい。
どれも的確で、役への愛情が伝わってくる、深みを感じる演技。

ラストシーン近く、竹原ピストルに「あれ」をやらすのは伝家の宝刀過ぎてこれまた反則なんですが、
サービス精神の極みとして受け止めるとします。

さてさてなんですが。
おそらく本作はジュブナイル映画の基本に忠実。
ただ、過去の名作、たとえば「スタンド・バイ・ミー」などに比べても、
その情景でけして引けをとらず。
ラストのラスト、少年二人の結末にもぐっと来ました。

正直に言えば
途中2か所、そして最後、合計3回涙がこぼれました。

子供だったあの頃。
確かにあった夏。

思い出すには十分な、存分にずるい作品。

もちろんおすすめです!

【価点・つけるとしたら】
☆4.1 です。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?