おめえ、明日の朝起きて私の顔になってても同じこと言えるか?
容姿に対しての無責任な第三者の言葉は時に醜女の心を深く傷つける。
面と向かってブスと言われることにも余りありがたくない芸能人に似ていると言われることにも慣れているのでまぁ傷つきはするがこっちは20数年醜女をやってきたプロの醜女だ、私にとってそれは脅威ではない
最も恐ろしいのは根拠無きポジティブな言葉だ
おそらく優しさ由来の言葉なのだろうがそう言った言葉を投げかけてくるのは美人が多い。
そこで飛び出すのが掲題の言葉である
おめえ、明日の朝起きて私の顔になってても同じこと言えるか?
「サクサクノオコメちゃんは可愛いよ」とにっこり笑う友人達のその顔は大抵美しい、屈託のない無垢な笑顔に私はいつも思うのだ
お綺麗な顔に生まれてきてようござんしたなぁ!!せめてそのパーツ1個だけでも私にくれや!!あ、やっぱごめん顔はバランスが大事だから首から上だけすげ替えてもろて、お願い貴女の顔をくれ
と
しかし醜女も醜女なりに考えてみた
ひねくれた頭をキュッと軌道修正して斜に構えられた思考回路を無理やり真っ直ぐにして見えてきたものがある
やつらは美人だ、それも生まれ持った素材の良さがある。
ようわからんけれどポジティブなのはおそらくその顔の良さで持ってして周りから愛されてきたからであろう。
そう、そもそもの前提が違うのだ、思考回路がディ〇ニープリンセスなのである
花も小鳥も空もあなたを祝福しているわ、だからそんな事言わないで??というような無垢な瞳で持ってして放たれるポジティブ
まずプリンセス様よ話を聞いてくれ
訂正したい、私は別に卑下などしていない
ただありのままの事実として「私は醜女」ですと言っているだけなのだ
しかしプリンセスは聞く耳など持たない、あまつさえ私の手をきゅっと握り「あなたは素敵よ、自信を持って!そうだわ!私のこのお花をあなたにあげる!」と醜女には到底似合わない素敵な花を頭に飾ってきたりする。
落ち着いてよプリンセス、そんなもん頭に着けたらこっちは浮かれぽんちのラッキーピエロだ。
醜女は往々にして客観視の視点に優れているので分不相応な装身具は早々に諦めている。
だのにそれを与えてくる。
え、冷静に怖くない??私は怖い
悪意なく私を浮かれぽんちピエロにしてくるプリンセスの存在怖い
眩しい、怖い、いっそ悪意であれ
私は悪意の集合体のような内外ともに純度100%の醜女なので明日の朝、あの心身共に美しい友人が私の顔になったらどんな服装で街を練り歩くのかが気になって仕方がない
朝鏡を見たらどんな表情をしてどんな気持ちになるのか
そして醜女として世界を生きた後もまた同じように私に「サクサクノオコメちゃんは可愛いよ」と言ってくれるのか
言って欲しいような言って欲しくないような
そんなことを考えながら醜女の夜は更けていく
でも、私はそんな私が大好きで、来世も醜女であろうと私に生まれたい
というのがセオリーであろうがそんなん知るか来世もこの顔だったら世紀末覇者になってやる覚悟しておけ世界
あぁ、どうか来世は無垢な瞳で人を傷つける側に産まれたい。
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