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おひとり様マンション購入&リノベ記〈1〉ふと家を買おうと思った

長年勤めてきたマスコミを辞めてIT企業へ移ったのは、コロナ禍晩期の秋のことだ。転勤続きの前職と違い、合理的な会社らしく働く場所は自由のフルリモート勤務。アラフォーになって初めて、自分の住まいを自分の意思で選べる立場になり、私は人生の半分を過ごしてきた東京へ再び移住することにした。

マスコミ時代は四国からはじまり、そのあとは関西(主に大阪)と東京を行ったり来たりしていた。東京で住むのは決まって同じ地域。利便性が高く、都心なのにどこか牧歌的でお江戸情緒が感じられるエリアだ。洗練された都会感は皆無だが、すっぴんサンダルでも歩けて、個性的な個人商店が幅を利かせている居心地のいい街だ。今回も、あれこれと他の地域も見てみたが、結局勝手知ったる古巣に戻ることにした。転職したてで、デイリーの生活になるべく負荷をかけたくないという分別も働いた。

自慢じゃないが、社会人になってから(主に会社都合で)10回以上引越しを経験しているので、賃貸マンションの借り方、決め方は熟知している。今回も地元密着の親切な不動産屋さんに助けてもらい、手頃な1LDKをさっくりと借りた。最上階の角部屋で、ビル群の隙間から空が見えた。北西向きのバルコニーは思いの外寒くて最初の冬は難儀したが、サーキュレーターで快適に過ごす技を見つけてからは最高の城であり、オフィスになった。

かくして、さしたる不満もなく1年余りを過ごし、更新日を数ヶ月後に控えた6月。

なんの前触れもなく、私はふと思った。

そろそろ、マンション買ってもいいな。

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