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コンサルタントの価値は「第三者」であるということ

「コンサルティング」というのは、端的に言えば、
クライアントのビジネスの課題を明確にして改善案を提案したり、経営について助言したりすることでお金をもらう仕事だ。

なんとなくかっこいい響きで、収入もそれなりに高い傾向があり、ある程度は個人のスキル・知識・経験も求められるので、比較的人気が高い職種のひとつである。

確かに、有名な大手・外資系の戦略コンサルティングファームなどには「優秀」な人材が多く集まっており、そこで経験を積んでから事業を立ち上げて成功している人も少なくない。

一方で、「コンサルティング」に明確な定義があるわけではなく
「コンサルタント」を名乗るのに特別な資格が必要なわけでもない

そのため、今の世の中には「○○コンサルタント」という肩書きが乱立している。
「その内容で『コンサル』名乗るのは違うでしょ... 」と思うような会社も、結構ある。

高学歴の学生がコンサル業界を目指す理由

東大京大の21卒学生の就職人気企業ランキングを見てみよう。

ここ数年、人気上位企業のほとんどをコンサルティング業界が占めている。
いくつかの会社が同じような調査を行っているが、大まかな傾向はだいたい同じである。

世間的に「高学歴」とされる彼らは、なぜコンサル業界を目指すのだろうか?

あえて語弊を恐れずに言うなら、それは「やりたいことがない」からだ。

・やりたいことはないが、一応どこかに就職しておきたい
・実務的な専門知識やスキルがあるわけでもない
・とりあえず将来「役に立ちそうな」経験をしたい。
・会社のある経営陣・幹部・役員クラスを相手に仕事をする経験をしてみたい。
ずっと同じ会社にいるつもりはない
・何かやりたいことができたときに、その業界に転職したり、起業したりできる人でいたい。
・いろんな業界のいろんな会社のビジネスに関わることで、経験を積みながら、視野を広げて「自分探し」をしたい。
・多少忙しくても構わないから、収入もできれば高い方がいい。
・「立派な大学を出たのにそんなところに就職するのね」などと言われたくない。

とまあ、ざっとこんな理由を仮定してみれば、
業務内容は曖昧だが、それなりにハイスペックな人が集まっていて、イメージもかっこいいコンサル業界に落ち着くのは、ごく自然なことである。

割と悪意のある書き方をしているが、そうした選択をする学生を馬鹿にするようなつもりは全くない。
その選択が「間違っている」とは思わないし、むしろ共感できる。
「会社」というところで働いた経験がない学生からすれば、イメージできる「仕事」などたかが知れているし、「やりたいこと」なんてなくて当たり前だ。

「やりたいこと」なんて無くてもやっていけるように、世界はできている。


コンサルタントの価値とは何か

さて、そんな自分はというと、社会人3年目になり、いろいろあって今ではコンサルティング業もしているわけだが、
ときどき、コンサルタントの価値(バリュー)というものについて考えることがある。

大抵のコンサルティングは、業務委託という形で契約することになる。
成功報酬型のコンサルティングも世の中にはいくつかあるようだが、
基本的には、契約で定めた業務内容をベースに、月額XX円という契約を結んで、業務改善や戦略立案の支援をする。

コンサルタントの価値は、社内にない知識・スキル・経験等を有していることだろうか?
他社の事例や実績を参考にできることだろうか?

社内のメンバーを登用するのではなく、社外から必要な人材を新たに採用するのでもなく、結局そのビジネスをするのは自分達なのに、
わざわざ決して安くはない報酬を払ってコンサルタントに頼るわけである。

コンサルタントの価値は、現実として、ある程度その「個人」の価値に依存するところが大きいため、それが何なのかは一概には言えないが、
確実に共通して当てはまるのは、結局のところ「第三者」であるということに尽きるのではないだろうか。

「第三者」であるということは、同時にコンサルタントの最大の欠陥でもある。
社員や役員、株主といった「当事者」ではなく、責任もリスクを負っていないからだ。

しかし、コンサルタントとして仕事をする以上は、どこまでいっても「第三者」であることに変わりはないのである。

「第三者」だからこそ、客観的な視点を持つことができるし、
たとえば「当事者」では忖度してしまって言いにくいことも、「第三者」なら言えるのである。

自分は所詮「第三者」です。
やるのはあなたたちです。

そんなことを言うのは、コンサルタントとしてあまりにも無責任だという人もいるだろう。
確かに、クライアントの課題解決のために「責任感」をもって仕事をすることは大切だが、
どれだけ「責任感」をもったところで、「責任」をもてない「第三者」であることは事実だし、そこに大げさな当事者意識を持ち込むのはお行儀の悪いことである。
どうしてもそうしたいなら、そもそも自分でやるべきなのだ。

「第三者」だからこそ提供できるものは何なのか。
それを考えることから、コンサルタントの仕事は始まるのではないだろうか。

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