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はじめて自分でCDを買ってから、価値観が変わった話。

早いものでもう9月もう後半ですね。とうとう今年は何一つ夏フェスに行かないまま、夏が終わってしまいそうで悲しい限りです。本当なら先週末はSUPERSONICに3日間通しで行っていたはずで、 ここで個人的なライブレポートでも書こうかなと思っていました。2年連続のThe 1975LiambeabadoobeeDominic FikeSquidEasy Lifeと観たいアーティストが今年も多かったので、落胆もかなりものです。この今まで経験したことのない夏の間、個人的には6月のサザンに始まり、サマソニやフジロック、東京事変の配信ライブを観ましたが、やはりその場で聞く生の音楽にかなうわけがなく・・・来年はこんな思いはもうゴメンですね。早くワクチン完成してくれ!

前置きはここまで、本日は「#はじめて買ったCD」というnote公式のお題にあやかります。(だいぶ今更感が半端ないですが・・・)私が音楽の世界に本格的にのめり込むきっかけとなったあるバンドのアルバムを買ってから、ものの見方が変わったというお話。


「無いなら自分で買っちゃおう!」から、自分の世界が広がった。

まずはじめに紹介しましょう。私が人生ではじめて買ったCDは、イギリスのロックバンドOasisの5枚目のスタジオアルバム『Heathern Chemistry』です。


ここで軽く私とOasisの出会いについて簡単に。私は中学2年生の時、父と「20世紀少年」の映画を観に行ったことがきっかけで、音楽に興味を持つように。テーマ曲のT.Rexを始め劇中で流れる様々な音楽のかっこよさに魅力を感じ、その日から音楽好きな父にたくさんのアーティストを教えてもらっては毎日聴いていました。その中で一番最初にドツボにはまったのがOasisでした。一番どハマりしていた頃は、夕食の時間帯特にみるものがなければ毎回にようにOasisのライブを鑑賞し、洋楽にあまり興味のない母親ですら数音きけばOasisだと認識できるようになっていました。挙げ句の果てには洗面台でLiam Gallagherの真似をしながら歯磨きをするという暴挙に出ました。

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この姿勢しながら歯磨きとか、今思えば普通にやばいですね。笑 ファッキンイかれてるぞ、当時中2の俺よ・・・

それはさておき、なぜ『Heathen Chemistry』を自分のお金で買うに至ったかという理由ですが、単純に家になかったからです。その当時自宅にあったOasisのアルバムは最初の3枚目と『Don't Believe The Truth』、『Dig Out Your Soul』、そしてベスト盤の『Stop The Clocks』。『Standing The Shoulder Of Giants』と『Heathen Chemistry』の2枚は父は持っていなかったのです。聞くと他のアルバムと比べると微妙だというのが理由らしい。確かに『Stop The Clocks』にはその2枚からは選曲が少なかったし、インターネットで調べてみてもポジティブな意見は多くなかった。最初自分はそれを真に受けてなんとなく聴かないまま過ごしてましたが、ある時ふと思いました。

「それって本当に微妙なアルバムなのかな?」

そこから思い立って自分で買って聴いてみようとお小遣い片手にはじめて近所のブックオフに足を運びました。その時たまたま『Heathen Chemistry』が置いてあったので即購入。これが僕のはじめてのCD購入体験でした。

家に帰るなり早速再生。流れ出すオープニングナンバー「The Hindu Times」のイントロ・・・・ん、普通にかっこいいな??? いい曲もあるし悪くないやんけ!

結論から言うと、自分はこのアルバムかなり好きです。

少しこのアルバムがリリースされるまでのOasisの流れを簡単に整理すると、1997年の3枚目のアルバム『Be Here Now』がとてつもない賛否両論の嵐を受けて以降、Oasisの音楽評論家からの風あたりは厳しいものでした。Creation Recordsの倒産、BoneheadとGuigsyの脱退と度重なる危機的状況を乗り越えながら制作された『Standing On The Shoulder Of Giants』は、エレクトロニカやサイケデリックミュージックの要素を取り入れた、若干実験要素の高い意欲作でしたが、その評価は芳しくありませんでした。(Noelがあまり出来栄えを気に入ってないと言ったこともある)その後新体制でのツアーを重ね、新メンバーの2名が定着してきたタイミングで世に出てきたのがこの『Heathen Chemistry』でした。


まるで肩の力が抜けたような解放感溢れるイントロで始まる「The Hindu Times」からの「Force Of Nature」の自然な流れ、『バタフライエフェクト』の主題歌にもなった屈指の名曲「Stop Crying Your Heart Out」、シンプルながらLiamの純粋な愛の言葉が綴られた「Songbird」、Noel節炸裂&サビ大合唱必須な「Little By Little」・・・確かに1stや2ndに比べると及ばないかもしれませんが、それでも様々な色の楽曲が揃った良作だと思いました。このアルバムを境にLiamをはじめGemやAndyといった、Noel以外のメンバーが書いた曲の収録比率が高くなったことも大きな要因です。加えて全体的にどこか穏やかなサウンドで、この雰囲気は他のオアシスのアルバムにはないもの。一連の騒動が落ち着き、ようやくOasisが腰を据えて活動できるようになったことを象徴するかのような、そんな一枚なのではないでしょうか。今思えば、『Heathen Chemisty』をちゃんと聴いたことで、Oasisの違った一面を見つけることができてなんだか嬉しくなる、そんなかけがえのない音楽体験ができたような気がしてなりません。

そして『Heathen Chemistry』聴いてから、自分のなかでなにかがわかる音がしました。


「みんな違って、みんないい。」

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「名盤」

音楽が好きな人なら誰でもこの言葉に当たることでしょう。皆さんにとって、名盤ってどんなアルバムだと思いますか?

「後世のアーティストへの影響が強い」

「今までにない斬新な音楽性」

「歴史的背景を含んだ強いメッセージ性が込められている」

いろいろな見方があると思います。音楽聴き始めの頃は色んな音楽雑誌が出してきた「名盤特集」なるものを見て、そういった評価を参考にしながら音楽の開拓をしていた人もきっと多いはず。無論私もそのひとりです。迷ったらとりあえず主要な音楽雑誌やウェブメディアが「最高傑作」だとか、「歴史に残る名作」と呼ばれるものから手を取って、たくさん聴いていました。確かに今まで自分が手にとって聴いてみた名盤として挙げられているアルバムは、どれも素晴らしいものばかりでした。思い返してみれば、この時、無意識のうちに「名盤」と言われているのであれば間違いないし、微妙だとか駄作だとかと言われているものもまあそうなんだろう、という考えが身についてしまっていたのです。

しかし『Heathen Chemistry』を聴いたあの日、自分のなかの音楽に対するスタンスが少し変わりました。世の中でどれだけ多くの人が絶賛した名盤であっても、必ずしもそれが万人にとって最高なものかと言われたら、そうではない。むしろ影に隠れていたり、多くの人からは否定的に見られるものもある人にとっては忘れられない「名盤」になりうるのだと思うようになりました。今思えば音楽を聴き始めの頃の自分はかなり窮屈な考えで、なんだかもったいない音楽の聴き方をしていたなと思います。様々な人の意見を参考するのも良いですが、そればかりにとらわれずにやはり自分の手で、耳で確かめるのが一番であると確信した瞬間でもありました。

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それと同時にこれまで以上にもっとたくさんの世界を知りたくなりました。特定の情報源だけではたどり着かない、自分にとって良い音楽もあるかもしれない。『Heathen Chemistry』を聴いてからそう気づき、さらに幅広いジャンルに手を出すようになりました。ポップパンク、ヘヴィメタル、ラウドロック、ハードコア、ヒップホップ・・・年を重ねるごとに色々な音楽を知って、少ない知識ながらもそれについて語り合えるようになったり、新しい音楽を求める友人にオススメできるようになったりと、楽しみが増していくのが実感できました。一時期Twitterで「#私を構成する9枚」ってタグでの投稿が音楽好き界隈で流行っていましたが、僕ああいうのすごく好きなんですよね。一口に音楽好きといっても、皆それぞれ一番好きなジャンル、アーティストはバラバラだし、いつから音楽を聴くようになったかも違う。そんなバックグラウンドでそれぞれが選んだ9枚はどれも個性的でとても輝いて見えるんです。皆それぞれがアルバムに抱く思いや考えを知るのも楽しいし、自分が今まで触れたことのないアーティストのアルバムが出てくると、「何これ?気になる!」となってまた新しい世界を知ることができるのが最高に楽しいんですよね。

この文章を書きながらつくづく感じたのは、純粋に音楽を楽しむ気持ちは死ぬまで忘れたくないなってことです。5月にThe 1975の記事を書いた時もまさにそういう思いが強くありました。音楽を知れば知るほど、当然自分がそこまで好みではないものだったり、自分が良いと思ったアーティストや作品に対するアンチな意見を見かけたりする機会が多くなります。でも、趣味として音楽を嗜む自分たちが、そんな瞬間に当たった時に一番大事なのは、むやみに突っかかったりるのではなく「ああ、そういうのもあるんだな〜」「こういう意見もあるんだ!」と広い心をもって受けられるようになることではないでしょうか。もし少し聴いて好きじゃなかったら、別に聴かずに自分好みの音楽を新たに探しに行けば良いんです。自分とは正反対の意見を言う人がいても、深く考えすぎないようにしなければ良いんです。

そして何より「みんな違って、みんないい。」んです。とても当たり前のように聞こえますが、これこそ自分が音楽を心の底から楽しむためにいつも大切にしているマインドです。世の中にはとてつもない数の音楽があり、それぞれが輝きを放っています。また、音楽好きといっても好きなジャンルはもちろんのこと、音楽に興味をもった経緯だったり、好きの程度も人によって違ってきます。だからこそ音楽という趣味はたまらなく面白いのです。このような考えに自分を導いてくれたのが、心の底から大好きなバンドのアルバムだったのが今も嬉しくてなりません。

音楽は世界で一番ワクワクが止まらない世界だと信じています。今この瞬間も、世界のどこかで人々をあっと驚かせるものが生まれているかも知れない。そのワクワクをどこまでも追いかけて、楽しんでいきたいですね。

以上、長い独り言でした。さて、今日はどんな音楽を聴こうかな。

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