『ガールズラジオデイズ』ファーストシーズンの終わり

現実侵食系コンテンツ『ガールズラジオデイズ』(以下『ガルラジ』)の話をします。二回目です。なお『ガルラジ』は2019年3月1日の放送をもってファーストシーズンが終了しました。いかにも続編がありそうな呼称ですが、次回放送は未定です。

俺は認めない。何も終わっちゃいない。2019年はガルラジ!(公式標語)

作品の概要は前回の記事で。これをきっかけに”間に合った”リスナーが一人でもいればとても嬉しいし、アーカイブはニコニコ動画YouTube公式アプリから全て無料で視聴できるので今からでも間に合わせてほしいマジで頼む。
チーム徳光第3回の放送。『ガルラジ』が到達した境地のひとつ。ラジオトークにおけるアドリブとは一体……? という気分になり、訳が分からない。


今回は大まかに、前回取りこぼした要素、投稿したあとから発生した状況などの情報を整理します。『ガルラジ』に興味を持つ人が一人でも増えることを願って、俺は貴様の視界に現れ続ける……。


1,ファーストシーズン?

実在する5つのサービスエリア――愛知県岡崎、静岡県富士川、山梨県双葉、石川県徳光、三重県御在所――から制作配信されている、という設定で制作配信されている『ガルラジ』。5チームのラジオ番組は放送開始当時から人気次第の番組終了が示唆され、またかなり早い段階で、全六回でいったん終了することが明言されていました。最初は放送回数までは言ってなかった気もする……記憶違いかな……。

ともかくこのリミットはリスナーに提示されていた情報であり、物語内の登場人物も自分たちが参加した企画「ガールズラジオ」のシステムとして認識していました。ファーストシーズンという呼称(これも当初は使われていなかったような……)はこのリミット、各5チームに与えられた全六回・約二ヶ月半の放送を意味しています。

たったの六回。これはテレビアニメの1クールにも満たない回数で、実際、どのチームにも物語上解決していない謎やフックが残されています。これで続きが来なかったら僕の心は折れてしまう。そういった事態を避けるために、コンテンツを少しでも盛り上げるためにできることをしようという気持ちで筆を執りました。

ここに『ガルラジ』独特の論理の飛躍があります。


2,自然発生した怪文書

怪文書。それはごく一部の『ガルラジ』リスナーが自発的に書き上げた文章の総称。ラジオなので別作業中に雑に聞くこともできるのに、なんか深入りしすぎた考察がいっぱいあってしかもどれも面白い。おかしいのは僕だけじゃないし、一番おかしいのも僕じゃない。リンクは有志ユナスタさんによる収集記事です。

アニメや漫画、小説、ゲーム、映画といった物語性の強いコンテンツには、考察や感想といったファンジン的行為がつきものです。もちろんこれは観客の感情を揺さぶるだけのクオリティを持ったコンテンツだからこそ生まれるもので、『ガルラジ』もまたその前提条件を満たしたからこそ、この数が書き上げられたということではあります。

しかし『ガルラジ』には他にも、怪文書が生まれるしかなかった理由がありました。その話をすることで、すなわち『ガルラジ』の特異性を語ることになるでしょう。


 2-1,終わりは見えていた

表記のブレはさておき『ガルラジ』の短命は前述の通り予告されていた。人気次第の打ち切りに関しては、バロメーターがリスナー側に表示されなかった時点で、すべて台本通り、ただの演出に過ぎなかった可能性はある。もちろんそう断言するだけの材料も提示されなかった。

好きなコンテンツが人気次第で終了すると明言され、しかも継続安泰と言えるほど盛り上がっているようにも見えない(2019/3/3現在でも、公式ツイッターのフォロワー数は7000人に満たない)とき、人に紹介することでファン層を拡大したいとリスナーが考えたのはまず自然な発想だった。これはつまり、終わりを予感させられることでリスナーは行動を煽られていた、ということでもある。どちらでもいい。

打ち切り展開に入った漫画、続きそうな終わり方なのに続編が作られない映画、原作はあるのに続編二期絶望のアニメ、番組からの大切なお知らせ、○○をいつも楽しんでくださる皆様へ……大好きなコンテンツの終息に気付かされたときの無力感は、きっとお前も抱いたことがあるはずだ。『ガルラジ』先行きの不透明さが一部のリスナーの行動を急き立てた、という一面は間違いなくあった。


 2-2,深すぎる奥行き

現実と虚構の入り混じった設定、台本とアドリブの混成、ラジオならではのお便りという介入要素、演者とキャラクターという意識の境界線の曖昧さ。

『ガルラジ』はこれらの要素から物語自体に強い実在感を、そしてラジオ番組を介してキャラクターの生活・人間関係・人生が見えてくるという構成により見えないけど存在するはずの部分を作ることで、深い奥行きを生み出していた。なんと手の込んだ構造。そういうのが好きな人はたくさんいる。語りたくもなる。

 2-3,供給情報の制限

前項の反面として『ガルラジ』公式から供給される情報はあまりに少なかった

物語の主軸が30分×六回のラジオ番組でしかないことに加えて、キャラクターのビジュアルは各自一枚ずつの立ち絵と数枚の公式絵、各回のハイライト的なSD絵(かわいい)のみ。前日譚的な小説、サイドストーリー的な漫画作品、公式アプリから見れるキャラクターたちのつぶやきもあるが、いわゆるメインストリームであるアニメ/ゲーム作品とは情報量に大きな差がある。

作品の魅力を人に伝えたいと思っても、画面のキャプチャやあらすじを提示することが難しい。となれば、各自の筆で語るしかない。

余談だが、この情報量の少なさとラジオならではの「別のことをしながらでも聞き流しておけば追いつける」という消化しやすさが、個人的には肌に合ったのだと思う。


 2-4,質感旅行

やや話は逸れるが、実在感に起因した質感旅行という現象にも触れる。内容はユナスタさんの記事に詳しい。

質感旅行。端的に言えば、物語の舞台となった実際の場所に物理肉体で移動するという、アニメや漫画、映画作品で言うところの聖地巡礼に近い行為だ。ただし、それらの作品と『ガルラジ』との間には映像が存在しないという大きな相違点がある。

よって『ガルラジ』の舞台は画面の中の背景ではなく登場人物が交わす話題としてのみ現れる。ユナスタさんの記事にある通り、そこには画面作りという演出が介在しない。

つまり舞台を訪問したリスナーは「登場人物が立っていた場所をカメラと同じ位置(聖地としてのパブリックイメージ)から見る」のではなく「登場人物が存在したものと同じ風景の中に立つ(リスナー各自がその視界をイメージする)」という姿勢を取ることになる。

あえて聖地巡礼の文脈に当てはめれば、登場人物が生きる画面外の世界を探訪する感覚がより近いだろうか。作中の話題・登場人物の境遇を想像しやすくするこの行為はやはり聖地巡礼とは少し違い、聴取時に湧くイメージの質感を高めるための移動=質感旅行と呼ぶことが適切に思える。

書いておいてなんですが、筆者自身はまだどのサービスエリアにも訪れたことがありません。行きます。

 2-5,愛し方が難しい

なぜ怪文書は生みだされたのか。なぜリスナーは質感旅行に駆り立てられてしまったのか。ここまでその要因を物語の内部・周辺構造に求めてきたが、実際には外枠にもかなり大きな要素がある。

『ガルラジ』というコンテンツは愛する手段が乏しい。通俗的に言えば、課金手段が存在しないのだ。

好きになったコンテンツがある。自分自身があるいはファン同士で楽しむために感想を書こう、絵を描こう(多くの『ガルラジ』リスナーは視覚情報に飢えていると思う)。再生数をどんどん回そう。コメントを残そう。お便りを送ろう。SNSで盛り上げよう――といった自発的なファンジン的行為は、『ガルラジ』でもできる。ただし、お金を払うことはできない。

前述の通り『ガルラジ』は全てのアーカイブを無料で聴取することができ、アプリ限定のおまけコンテンツでも会員登録や課金といった条件は求められない。ニコ生でやっていた特番のタイムシフト視聴すら無料で、しいて言うなら文化放送地上波での広報番組を聴取エリア外から聞くにはradikoの登録費用が必要になる、くらいしかない。CDその他のグッズも現時点では発表されていない。

人間という生き物は「何にお金を払う人物だと他人に思われたいか」という自己演出の欲求から決して逃れられないという。

その理屈が真実だとすればこれは致命的な不具合で、だからこそリスナーは怪文書や質感旅行という極端な行為に走ってしまったのだと筆者は考える。少なくとも俺自身はそうなのだと思う。

追記:animelo mixで有料配信されているキャラボイスのことを完全に忘れていました。ごめんなさい。



以上のように『ガルラジ』はリスナーを狂騒させ、それにもかかわらず続編の制作配信を確約しないまま終わってしまいました。つらい!!!!


3,予告されている今後の展開

暗い話ばかりしていても仕方がないので、最後は2019/3/3現在発表されている今後の展開について書くことにします。

やっとグッズが出る。しかし買いに行けるのか? 分からない……。

続編は未定と散々書きましたが、キャスト陣によるアフタートークやニコ生特番では続編希望の声を発信しまくっていたので、流石に何かしらあるだろうとは思います。しかしこのイベントまで続編の発表がされないとすれば……つらい……。

また、公式サイトで当初から告知されている各サービスエリアでの物理展開もそろそろ……という話も出ました。詳細は不明。

以上です。引き続き『ガルラジ』をよろしくお願いします。2019年はガルラジ!


補足:制作サイドによる怪文書じゃない文書


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