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虹色のニット

服の好みというのは、年齢を重ねるにつれて変わるものなのだろうか。

私が小学校低学年くらいの頃、着る服は母親が選んでくれていた。母親が選ぶ服は、今思えばなかなか個性的だった。

くまのプーさんが30体くらい描かれたピンク色のフリースや、ピンクや緑やブルーなどの原色でボーダーが施された虹色のニットなどを着させてもらっていた。

今になって思えば、これぞ子ども服!という感じで可愛らしいのだろう。でも、当時の私はおませなガールだった。そのためか、母親の選ぶ服が全然好きじゃなかった。

プーさんが30体描かれた服なんて、周りの友達は誰もが着ていなかった。友だちに限らず、街ゆく誰も虹を纏って歩いてはいなかった。お母さん、どこで私の服を買っていたんだろう?何はともあれ当時の私は、母に着せられる服たちはどう見ても子どもっぽいと感じていたし、もっと「みんなが着ているような可愛い服」を着たかった。もっとシックでしとやかな女子小学生でありたかったんだ、私は。

あれから十ウン年が経ち、23歳になった私だが、やっぱり洋服が好きでこだわりのある方だ。発育とともにプーさんや虹色を着られなくなった頃からずっと、自分の服は自分で選んできた。

そんな私が今欲しいと思っている服があり、どんな服かと言うと、なんともカラフルなボーダーのニットだ。

...最初は直感的に「可愛い!」と思って、でもどこかで見覚えがあるぞと記憶を遡ってみたところ、母親に着させられていた虹色のハデハデニットだった。

さすがに少し笑ってしまった。これは、私の好みが母親と好みに似てきたということなのだろうか?もしくは、子どもの頃は「大人っぽく」なりたかったけれども、一応大人になった今は「子どもらしい」ものを求めているのだろうか?

なんて、すこし格好つけて書いてみたけれど、今でも大人っぽくなりたい気持ちは変わらないので、黒いシックなワンピースを着てみたりもする。

きっと私はまだまだ子どもで、これからも多分ずっと子ども。

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