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三匹の娘ブタ 4 「神のみぞ知る」

三匹の娘ブタ(コブタ)とは、学生時代ころころと太っていたミクジとヒトミとセイコの仲良し三人組の思い出にフィクションをおりまぜたお話です。


ある年のお正月、ミクジとヒトミは、とある神社で巫女さんのバイトをした。

ミクジにとって、巫女さんの衣装を着るのは、子供の頃近所の神社で奉納舞をして以来の事。
ミクジは、かなりのハイテンションでバイトに臨んだ。

その年は、年の瀬から雪が降り出し、豪雪の中の年明けだった。
真っ白の雪を被った神社は、普段とは違って又美しい。

お守りなどを売るバイトでしたので、あちこちに置かれたテントの前に、お守りを並べて販売する。

買ってくれた人に、
〇〇円です。
とは言わずに、
「〇〇円のお初穂です。」
って言ってくださいね。
ヘェ〜っ
ありがとうございます、とも言わないでくださいね。
ヘェ〜

商売じゃないってことなのね…

午前0時の鐘と共に参拝者が押し寄せる。
その熱気も、この雪の夜、参道の横のテントに座る彼女たちの元にはどどかない。

手先も足先も凍りつく。
手に握ったカイロの暖かさも感じないほどだ。

足元に小さなストーブが置いてあり、少しづつそこに足元を寄せるが、暖をとれるほどではない。

場所的にも次から次に、買う人が来る場所ではなかったので、かなり暇。

寒いね、寒いね、と言いながら、おしゃべりに花を咲かす事しか、することがない。

ねえねえ。巫女さんって、処女しかなれないんだってさー
でも、言わなきゃバレなくない?
バイトなら関係なくない?
そもそも聞かれないしさ


その時、なんか煙たい。
焦げ臭い。
見ると足元のストーブの火が、ミクジの赤い袴の裾をチリチリと燃やしている。
ぎゃー祟りだあ〜

バレたか⁈

神様はお見通しだよ。

その年も、数人の巫女さんのバイトが、袴の裾をストーブで焦がしたらしい。

彼女たちが処女でなかったかどうかは、神のみぞ知る。




三匹の娘ブタ(コブタ) 第四弾でした❗️
今回セイコちゃんはお休みです。

また、フィクション多めです😅

三匹の娘ブタシリーズは、こちらのマガジンに収録されています。



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