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脱●●社会を目指して

約3600万本。


これは、全国にある「電柱」の数です。


日本では戦後の高度成長期に急増する電力需要に応えようと、低コストで短期間に整備できる電柱が多用されてきました。

街中に当たり前のようにある電柱に普段、気に掛けることはほとんどないでしょう。
ですが、まさかの緊急事態が発生した時、たとえば、災害が発生した時にこの電柱が大きな問題となることがあるのです。

大きな地震の発生や台風の接近に伴い起きる災害時、電柱が倒壊すると道路が通行できず、避難や救助を妨げてしまいます。また広い範囲で停電が発生する危険性もあります。

地震に加えて気象災害が頻発する日本では平均して年間2.7個の台風が接近、11.4個が上陸します。(気象庁 平年値より)

昨年は台風の上陸はありませんでしたが、2019年には関東をはじめ東日本を中心に広範囲に影響が及んだ台風15号、19号による被害は記憶に新しいです。日本において電柱の倒壊による停電や火災、道路の寸断は避けては通れない問題です。

ロンドンやパリなど世界の主要都市は「無電柱化」を終えたのに比べ、日本では毎年新たに約7万本の電柱が立てられています。

そんな中、国土交通省から今後5年間の「無電柱化」に向けた推進計画案が公表されました。これによると、災害時、救助や物資輸送の要となる緊急輸送道路を重点に、全国約4千キロで電線を地中に埋め、電線をなくす「無電柱化」に着手するとのこと。さらに、景観を守るため、伝統的な街並みが残るエリアでも工事を促進します。


国が目指す「脱電柱社会」は災害に強いだけでなく、美しい景観を残し自然環境を守る、地球にとって明るい未来への第一歩となる社会でもあると思います。

こちらのnoteでは、様々な分野で進み始めている災害や環境問題への対策を気象予報士としての目線で紹介しています。

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