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お腹を締めるドローイン 効果的な方法とダメな方法

呼吸エクササイズ「ドローイン」を知っていますか?体幹トレーニングのもっとも基礎的な方法のひとつですが、近年ダイエットに効果的といわれ、一般女性の間でも注目されている方法です。また腰痛持ちの方にも改善方法として広まってきました。このドローイン。ビギナーの方には誤ったやり方で行われているケースがあるようです。


1.もっとも正しく効果的なドローインの方法


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さっそくドローインを行ってみましょう。この方法を一日三回行うだけで、ウエスト引き締めや腰痛予防に効果があります。
基本姿勢としては、仰向けに寝て、ヒザを立てます。左右の下腹部の柔らかい所に指や手をあてるとお腹の動きが分かりやすいです。

1−1.準備運動

ドローインは呼吸を行うエクササイズです。ですので「吸って吐いて」を確かめる準備運動から行いましょう。


■自然な呼吸
まずは自然な呼吸を行います。ラクな呼吸で今のご自分の呼吸の感覚をつかみましょう。30秒。

■逆腹式呼吸

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息を吸う時にお腹の周囲が縮む呼吸です。
スーーーッとゆっくり吸いながらお腹を凹ませていきます。
難しいと感じる方は、自然呼吸からハッとかホッと息を吐きます。そこから息を吸うとともにお腹を凹ませていくとうまくいきやすいです。

■自然な呼吸
再度、全身をラクにして自然な呼吸を行います。最初のときと呼吸やお腹の動きの違いはありますか? 確かめてみましょう。

■腹式呼吸

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今度は息をゆっくり深く吸いながらお腹を膨らませていきます。膨らみきったら息を吐きながらお腹を凹ませていきます。


1−2.ドローイン

腹式呼吸を繰り返したのちにそのままドローインを行います。


■ドローイン(強制呼気)

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腹式呼吸の流れのまま、息を細く長く吐きながら、お腹を凹ませていきます。
お腹から空気が出きった!というところでお腹をキープします。
息は浅い胸呼吸で繰り返します。最初は10秒キープから。
徐々に時間を延ばし30秒を目指してください。
おへそ周辺やろっ骨下に手をあてることで面が意識できます
息を細く長く吐き出す時には、おへそ周辺の一点だけを中に引き込むのではなく、お腹の前面を面のまま、ゆっくりじんわりと息を吐きながら少し凹ませ、お腹の圧を高めていきます。


■自然な呼吸

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脱力してドローインは終わりです。最後にもう一度自然な呼吸を行って、やる前との変化を感じてみてください。
この呼吸法をマスターすると、椅子に座っている時や立っている時も行うことができます。
その時は逆腹式呼吸とセットで行ってください。


1−3.ドローインはいつどれだけやるか

ダイエット目的や腰痛予防の方、アスリートの方いずれも、一日最低一度は準備運動からの一連の動きを行ってください。
一日中やっている必要はまったくありません。むしろドローインの呼吸法がクセになると、インナーユニットの固定化を生じさせてしまいます。気がついたときに行う程度でOKです。


2.ドローインは深層筋を有効活用するために行う


「ドローイン」はお腹を凹ませてキープする呼吸エクササイズである、と思われているケースが多いようです。これは正しいのですが、正確に意図が伝わっていないケースもあります。
なぜお腹への意識を高める必要があり、深層筋を有効に活用しなければならないのかを説明します。

2−1.お腹の深層筋=インナーユニットについて

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体幹(胴体)の深層部にある4つの筋肉が重要です。それは腹横筋(ふくおうきん)・横隔膜(おうかくまく) ・多裂筋(たれつきん) ・骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)です。
これらを総称して「インナーユニット」と呼びます。深層部にあって目立たない動きをしているために、なかなか自覚できませんが、呼吸や姿勢、内臓の安定化に大きく関わる大事な筋肉です。
このインナーユニットが、日常生活や労働、スポーツを続けることでうまく機能しなくなることがあります。そのために腰痛や肩こり、スポーツ傷害などの原因となります。

2−2.腹横筋をさわってみよう

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インナーユニットは、体の深層部にあるので本来は触ることができません。しかし腹横筋だけは触って確認できる位置と方法があります。
骨盤の骨の出っ張りから指1〜2本内下側の柔らかい部分(写真の位置)に指を1〜2本あてます。
息を細く長く吐きながらお腹を膨らませます(逆腹式呼吸)。お腹の内側から徐々に膨らんでくるのを感じてください。吐ききる頃にグ〜ッと盛り上がってくる筋肉があります。これが腹横筋です。
次に、やや指で押しながら、コホンコホンと空せきをしてください。お腹の中からポコッポコッと盛り上がるのが腹横筋です。ドローインの際もここに指をあてて腹横筋を感じながら行うと感覚をつかみやすいです。


3.ドローインを行うメリット


ドローインを行うことで以下のようなメリットが考えられます。つまりどなたでも行った方が良い呼吸エクササイズなのです。
・ぽっこりお腹解消になる ・腰痛予防になる ・正しい姿勢がキープされる ・呼吸が深くなる ・腕があげやすくなり、肩こりが減る ・尿もれ解消になる ・動作に対する反応の速さを引き出す


4.正しいドローインを行うコツ


ここでは、より正しくドローインを行うためにぜひご理解いただきたいポイントをお伝えします。

4−1.陥りがちな誤ったドローインとは

まずはありがちな失敗例からお伝えします。

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・お腹を引き込みすぎている →腹横筋ではなく腹直筋(ふくちょくきん)を使っています。

・お腹を凹ませた時に、ろっ骨の下部が広がる →思いっきり引き込んでいる時にろっ骨下部が広がることが多いです。吸う時も吐く時もろっ骨下部に手を当てて広がらないように意識しながらじんわり呼吸をしましょう。

・腰が反っている →体を反ることで呼吸しようとしており、腰痛発症につながります。床に仰向けになり、お腹に圧をかけながら腰を床に押しつけるようにしてください。
これらの失敗を防ぐ大事なポイントをお伝えします。

4−2.ビギナーはお腹を凹ませることを意識しすぎない
お腹を意識的に凹ませようとすると、腹直筋でお腹を引き込んでいるケースがあります。
こうなってしまうと、インナーユニットの活性化が目的にも関わらず、インナーユニットが少しも働かず効果が得られないこととなってしまいます。
また腰が反った姿勢は、腰痛を引き起こしたり悪化させる可能性があります。
ビギナーの方は、冒頭でご紹介したとおりの方法で、全身の力を抜いて、呼吸だけを意識して、ゆっくりじんわりとお腹の中の圧力が高まっていくようにドローインを行ってください。
3割程度の力でお腹に圧力をかけて、キープするのがもっとも理想的なドローインです。
ドローインの時にお尻は締める?
お尻を締めようとするとお尻や太腿の筋肉がキュッと締まってしまうだけで、むしろインナーユニットの動きが悪くなってしまう可能性があります。

4−3.骨盤底筋群の動きも大事!

ドローインを行う時には、骨盤底筋群も意識するようにしてください。近年、骨盤底筋群の重要性が認識されるようになってきました。呼吸を行う時には、横隔膜、腹横筋と協調して骨盤底筋群が働いています。
息を細く長く吐き出してお腹を凹ませる時には、骨盤底筋群(おまたの上にあります)も一緒に持ち上がるイメージで行ってください。頭の上からティッシュを引き上げるイメージで、おまたの面を上げる感覚で行うとうまくいきやすいです。

5.おわりに

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筋肉の発達には、伸ばす時の筋肉活用(伸張性収縮)と、縮ませる時の筋肉活用(短縮性収縮)の両方が必要です。
バーベルで二の腕を鍛える時も、持ち上げる(引き寄せる)時にだけ力を入れるだけではなく、降ろす時にも力を入れてゆっくり戻すことが最も効果的なエクササイズ方法です。ドローインは、インナーユニットに対して同じことを行います。
ご紹介した方法では、最初に逆腹式呼吸を行い、息を吸う時にお腹を凹ませます。これは短縮性収縮を行っています。
続いて腹式呼吸をし、お腹を膨らませて伸張性収縮を行います。ドローインを行うと息を吐きながらお腹を凹ませます。
この両方のエクササイズで、腹横筋に両方の収縮を行っているのです。
これは普段なかなか行わない呼吸ですから、意図的な呼吸によって両方の収縮を行なわせるのです。
このようにしてインナーユニットを効果的に活性化できるのがドローインという素晴らしい方法です。

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