深夜の激安現金スーパーに吹き寄せられる蒼氓の影

画像1 そろそろ終電かという時間なのに、駅前にはいくつもの人影がたたずんでいる。自販機前にしゃがみ込む若者たちは、あからさまに酔っ払っていて、楽しげに、そして物憂げになにごとか語り合っていた。俺はその脇を足早に通り過ぎ、激安現金スーパーを目指す。ここで食材を買わないと、休日の午前中に出かける苦行が待っている。ガラガラの商品棚を通り過ぎ、冷凍の魚とほうれん草、チープな鶏肉ソーセージ、卵をかごにツッコミ、店内でも液晶画面をみながらよろめき歩く何者かをかわして会計を済ませる。ソーセージとほうれん草、卵があれば万全さ。
画像2 休日の夜、冷凍イワシを炒めながら、蒼い光に激安現金スーパーの人々を思い出す。やたらに安酒と乾き物の品揃えがよい商品棚の間を、小銭を必死に数えながら、あるいは液晶の光に顔を照らされながら、そろそろ歩く人々の姿。それは人影というより、風になびく草むら、水の流れに漂う泡のようだった。俺は気を取り直し、料理へもどる。冷凍イワシを玉ねぎと炒め、冷凍ほうれん草を入れたところでカレー粉をどっさり。そして全体が馴染めば、カレー炒めの出来上がり。青と碧と蒼、ほの暗い水底を過ぎる魚影。それを俺は飯に乗せ、ワシワシかきこむ。

¡Muchas gracias por todo! みんな! ほんとにありがとう!