Morihiro Matsushiro

男女の奇妙で複雑な性愛と、料理や食事を絡めたショートストーリーを投稿しています。その他に写真も投稿、発表しています。
固定されたノート

拷問人の息子 El hijo del torturadorシリーズ あらすじ Sinopsis

拷問人の息子世界の概説

 メキシコ革命時代をモデルとした、カルトと奇跡と銃と地球からもたらされた技術の入り乱れるクトゥルー神話小説。

 拷問人の息子の舞台となる、この世ならざるどこかに広がる異世界。
 帝国……。
 正式にはエル・サクロ・インペリオ=デル・アマリージョ。つまり神聖なる黄色の帝国とは、名づけざられしもの(アケル ケ ノ デベ セル ノンブラド)または黄衣の王(レイ・デ・アマリージ

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Si estás vivo Dispara 帝国における各種小火器

小説の本編ではメルセデスとヘルトルーデスが拳銃や小銃の腕前を披露しましたが、帝国世界では様々な火器(アルマ デ・フエゴ)が広く使用されており、それはありふれた日常の風景と言ってもよいほどです。ところが、そのような状況にもかかわらず、帝国世界では火器も弾薬もほとんど自製できないため、銃そのものはもちろん、名称や用語についても地球の言葉を借用しています。ただし、帝国世界における火器の位置づけや用途につ

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La ciudad natal es la ilusión 幻想のふるさと

モニタへ表示されたダイアログを確認した瞬間、俺は椅子を立って出かける支度を始めた。

『ブロックされています』

 朝食後、習慣のようにながめるソーシャルネット、タイムラインに表示されたアカウントへ深い考えもなく挨拶を送った結果が、これだった。いや、よく考えればいささか以上に軽率な行為だったかもしれないが、やはり過剰反応のように思えてならない。なにせ、締切を大幅に超過し、催促のメールや電話にも無反

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帝国世界における奇跡術と葉巻 El imperio del tabaco

帝国の奇跡術はあらゆる傷病を癒やし、すべての水や食料を浄化するばかりか、品質や量はともかく水や食料そのものも「無から創出」し、さらには天候を制御したり乾いた大地に泉を湧かしたり、はたまた手紙などを転送する通信の役割をも担っており、文字通りの意味で人びとの生活に欠かせない存在です。つまり、帝国とは奇跡術という土台の上にそびえ立つ世界とも言えます。
 その奇跡術において極めて重要な存在だったのが葉巻で

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El hijo del torturador y su hermana 拷問人の息子と、その姉妹

姉妹作となる『ヒヅメ坂の子供達』について

 館山緑さんの小説『ヒヅメ坂の子供達』あとがきで言及されているように、このシリーズは某社から告知されていたクトゥルー神話小説の共著企画がベースで、ふたつの作品はいわば兄弟姉妹のような関係にあります。ただし、やはりあとがきで言及されているように、本作も『ヒヅメ坂の子供達』と同様にベースとなった企画からかなり変わっており、特にキャラクターはヒメネス枢機卿を除

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1979年の渡し船 Ferry del año 1979

年末も押し詰まって金融機関の営業日を確認すると、せわしない気分を超えた諦めが漂い始めた。あれほど騒がしかったクリスマスさえ、すっかり正月が上書きしている。さっき銀行の窓口が閉まったばかりだと思っていたのに、外をみるとすっかり暗くなっていた。暖房の設定を少し強めながら、夕食の算段を組み立てる。
 ソーシャルメディアにさみしい心を抱えた娘たちが現れるまで、まだしばらく余裕がある。いや、しばらくなんても

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