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『老舗ミニシアター 第二章へ着々』 no.2

シネマテークに続く『ナゴヤキネマ・ノイ』のCFが始まって一週間が過ぎた。
サイトをチェックすると、目標の達成率150%、1500万円を超えている。
アップデートのコメントでは、2日ほどで目標金額を達成したとあった。
こんなにたくさんの人たちが応援している。
その理由はそれぞれが違っても、誰しも根底に同じ想いがあるのだとも思う。

共同代表の方たちは、この成り行きを予想できただろうか?
もしかしたら、集まらないかもしれないと不安だったかもしれない。
喜びと同時に、責任の重さを感じているような気もする。

シネマテークの閉館を知ったのも、新聞の記事だった。
5月12日の朝日新聞の朝刊。
あの日のことを今も覚えている。
どうしよう…と席立てられるような気持ちで、その後の上映スケジュールをチェックし、仕事のスケジュールと照らし合わせた。
後2ヶ月しかない…
アナログ時計の秒針が刻まれていくような感覚だった。

7月29日の朝刊で閉館の記事を読んだ。
何度も、読んだ。
その後、彼らスタッフはどう日々を過ごしたのだろう。
彼らの仕事は無くなってしまったのだ。
片付け作業はあったと思うけれど、その後は…
5ヶ月の月日は、私が感じているよりも、ずっと長かったかもしれない。
今までと違う日常を受け入れることは容易くないと思う。
朝起きた時から、眠る時まで、もしかしたら夢の中にもこれまでの日常は入り込んでいたかもしれない。

昨日、K・ライカート監督作の『ファースト・カウ』が近日上映されることを知った。
他の映画館が上映してくれるのは嬉しい。
嬉しいのだけれど、少し複雑な気持ちにもなった。
彼女の作品を初めて観たのは、シネマテークだった。
二年前の秋『ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ』4作品が同時上映された。
最初に観たのは『ウェンディ&ルーシー』だった。
勧めてくれたのはスタッフの女性で、私がチケットカウンターの前で「どれを見ようかな…」と、何気なく呟いた言葉に、彼女はすぐに反応してくれた。
「これ、これがいいよ!」
その時の彼女はスタッフというより、一人の映画好きのお姉さんに思えた。
その後『リバー・オブ・グラス』も観た。
比較するのはタブーだけれど『ウェンディ&ルーシー』が、私も好きだった。

また、あの場所で映画が観られる日が来る。
ミニシアターの新設を決断してくれたことに、私は感謝以外の何もない。
先のことはわからなくても、今は動き出してくれたことで十分だと感じている。

『ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ』
ポスターのデザインが素晴らしかった!

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