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D2C/B2Cで愛される商品になるためのコミュニティブランド戦略

Podcastで毎週土曜日に配信しているあした使える"聴く"ネタ帳 | マーケターの真夜中ラジオ(以下、真夜中ラジオ)。

アラフォーマーケター2人が最近気になるトピックを毎週交互に取り上げ、それぞれのマーケ観でトピックを掘り下げています。最近話題の「ひとりマーケター」をはじめ、情報や知見が少ない中で打ち手を模索する皆さんのヒントになる視点をお届け中。

そしてこの公式noteでは、「真夜中ラジオ」の内容をぎゅっとコンパクトにしてお届けしていきます。

今回のテーマは「D2C/B2Cで愛される商品になるためのコミュニティブランド戦略」。

コミュニティマーケティングを2009年から13年間手がけ、さまざまな流行り・廃りを見てきた宮本が本テーマに注目した理由とは?

noteで削った内容や、リアルな二人の掛け合いを楽しまれたい方は、ぜひらラジオ本編をご視聴ください。

また、2023年12月のCMC_Meetupでも同様のテーマでプレゼンした資料があるのでご参照下さい



継続率、アップセル、クロスセル… マーケティングの宿命、LTVはどう作るのか

神保 さて、宮本さんの今週のピックアップテーマはこちら。『DtoC/BtoCで愛される商品になるためのコミュニティブランド戦略』です。どんな内容なんでしょうか?

宮本 まずは、サブスクとかでDtoCやBtoCのビジネスで解きたいマーケティング課題って何かなって考えたときに、大きくは2つかなと思ってます。

1つが「継続率やアップセル・クロスセルでLTVをどう作るのか」
もう1つが「新規獲得のためにCPCを良くしていくこと」

こうした2つの課題にもしっかりとコミュニティが効いてきますよという点を説明したいなと思ってます。

その説明をする上で マーケティングを考える上でポイントとなる3つの項目という回をやったときに、新しい商品を買ってもらうには絶対「手触り感のあるコンテキストが重要」という話をしました。

神保 言ってましたね。「手触り感のあるコンテキスト」というワードが手触り感があっていいなと思いました。

新しい商品を買ってもらうのに重要な「手触り感のあるコンテキスト」とは?

宮本 ありがとうございます。手触り感、大事ですよね。
それを聞いて「それなら使ってみたいな」と思う生活シーンの中でどういうふうに使われるのかという話。ついつい、僕らはマーケティングするときにプロダクトの話をしがちですが。

「こういう商品だから、こういうエリアのものを使ってるからすごくいいんです」「国産だからいいんです」みたいな話をしちゃうけど、別に生活上どうかという話ではないので。

国産だからという話は、たとえば「安心です」という言葉に変えると、手触り感とか、生活にどう繋がっているのかっていうのもわかってくるので、そういったワードを作っていくのはすごく大事だなと思ってます。

特に、BtoCの商品ってスーパーとかコンビニにある商品みたいに100円、200円の商品だったら別に失敗してもどうってことはないので、新しいの出たら「お試しで1回買ってみようかな」っていうのはあるんですけど。

でも、やっぱり送料がかかるDtoC、BtoCってどうしても1回当たりの費用が3,000円とか5,000円とか、1万円ぐらいとかになってくるので、そうすると「ちょっとお試しで何かわからないけど一旦買ってみよう」とはなりづらいですよね。

「これ買ったらいいことあるな」を思わせられるかどうか

宮本 買う前に手触り感、つまり「これ買ったらいいことあるかな」というふうに思えるかどうかというのが大事だと思うんですよね。「どんな手触り感のあるコンテキストがあるのか」みたいなところが、結構コミュニティだとわかる。

つまり、自分の商品を使っている人というのは、まさにそれを、手触り感を持って使っていて、たとえばサブスクだったら、ずっと継続して使ってくれてる人というのはまさに、その人の生活の中で欠かせないものになってるはずなんですよね。特にさっきの売り上げを上げるための2つのポイントの中で「継続率を上げる」となったときに、プロダクトじゃなくて商品が生活の一部になっているということがすごく大事だなと。

例えばクラフトビールだったら、クラフトビールって一番搾りとか飲むよりも高いけど、他のビールより味わって飲むとか「うん。これと合わせるんだったらいいよね」みたいな習慣ができてくると、普通のビールでは飽き足らなくなって、ずっとこのビールを飲みたくなると。

そういう習慣を作っていくと売れていくみたいな、生活にいかに寄り添って、ユーザーの楽しそうな生活を見せられるかがポイントですね。よなよなエールとかは、結構それを楽しんでいるユーザーとかを見られる機会とか、イベントでその人同士が交流する機会を作って、継続率を上げてるんじゃないかなっていうふうに思っています。

神保 あともう1つの売り上げのCPAとか、CVRを上げるという意味では、やはり商品を買いたいわけじゃなくて、その商品を買ってどんなに楽しいことがあるのかというところが知りたいので、それをどう伝えられるのかとなると、やはりユーザー投稿が一番効果的なんですよね。

宮本 これがCPA、CVRにも繋がってくるんですかね。

神保 最近だと、ユーザーに、ハッシュタグ投稿促すとかよくあるじゃないすか。「皆さん体験したやつをハッシュタグ投稿であげてください」というのがあって、上げてくれた人に、その動画とか画像の2次利用の許諾を取るんですよね。「こっちで使っていいですよ」と許諾を取ってその動画とか画像を広告に使うんですよ。

宮本 やはり最近のインフルエンサーとか結構影響力のあるインスタグラマーの人とかが作ってる動画って本当、広告代理店より動画作るのうまいですからね。

神保 そうでしょうね。

宮本 やはりユーザー目線がすごくあるので言えば、最近、すごくいいなと思ったパンの動画があって。一番最初のカットで食パンをまっぷたつにちぎると真ん中から切れていくじゃないですか。あの瞬間ってすごくパンの美味しさがわかる気がしません?

神保 確かにね。なんかわくわくするよね。妄想というか、なんかそれが伝わる感じはするよ。

宮本 ね。そう。柔らかくパンがふわっと裂けていってる感じみたいなのが、すごく美味しそうに見えて。「これは絶対に教えたくないぐらい美味しいんです」みたいなその人自身の感想が入ってて。ブランド側が書くと嘘っぽいけど、実際ユーザーがこういう投稿してくれたっていうのを、広告とかで出すと、やはりすごく効果は高いですね。

神保 なるほどね。でもそのパンをちぎってるシーンを見せるという表現で言うと、あんまり映像表現で見たことがない表現なので、多分自分が食べてるときのイメージを喚起すると思うんだよね。パンを食べるときのわくわく感をリマインドさせてくれて、そのコンテンツ全体へのリテンションがぱっと上がると思うんですよね。

宮本 そうですね。

神保 そういうちょっとマインドの切り替えというか、視聴態度をぴゃっと良好にするみたいな、トリガーになってるようなシーンだと思うんだよね。記事でもリード文が大事だけど、動画でも、最初の1秒とかがめっちゃ大事だと思っていて、そういう作用がありそうです。

宮本 そうですよね。特にユーザー目線だからいいなと。なんかこう、たとえば美味しいパンを見せようとして、企業側で考えると、工場で作ってる工程とか、焼きあがった瞬間とかを出しがちじゃないすか。それも美味しそうではあるんだけど、でもそれって生活の場としてはちょっと遠い。

神保 そうですよね。

宮本 やっぱり自分の家でやるとなると、焼きたてのパンを割いてる瞬間だったりとか、パンだけじゃなくて、後ろにサラダとか、オレンジジュースとかが一緒に写っているとすごく朝食感は出て「朝食にこういうパンが食べられる生活っていいな」って思うみたいなのを感じるだろうなと。

そこは本当に、企業側というよりもユーザー側の方が詳しいので、そこの体験、実際その商品を使った体験については、そういうのを見せられるってのはすごくいいなと思ってますね。

一番大事なのは始点と終点ーー「どこから話し始めて、どこまで話を持って行くか」

宮本 僕も今企業のX(旧Twitter)を運用していて、その企業の顧客とか見込み顧客に対して、関係するエンゲージメントを高めるために、1日1投稿とかやっているんだけど。一番大事なのって、どこから話し始めて、どこまで話を持っていくかっていう始点と終点なんですよね。

神保 はいはいはい。

宮本 それを、さっきのパンの話で言うと、パンの焼き上がりのシーンとかって言ったら、それコマーシャルとかで散々見てるシーンだし、視聴者からすればあっち側の、要は企業側の話なんだよね。そこを始点にされるとそっから終点も何となくもうイメージができるじゃん。

成城石井な作り方はやっぱり始点をまず日常目線に持っていかないといけないんでね。印象目線で何となく知ってる知識のギリギリ先ぐらいのところから話し始めて、当たり前の話は誰も聞かないけど「そうそう、最近こうだよね」っていう話から始めて、さらに「それってこうなってるんだ」みたいな、その先まで持っていくところをやるとアクションは安定的に取れるんですよね。

神保 そこだなと思ってて、さっきのパンの話もね。自分目線で考えると、「一番美味しいわくわくするシーン」って例えば最初にパンを割くシーンだったりするとそこを始点にして、どこまで見せてくれるんだろうみたいなわくわくに持ってく、みたいな。

宮本 そう。そこですよね。

神保 大事だなと思いますね。

宮本 だから、まさに今言った順番が大事で、そのパンとかも、実際はパン屋さんで売れ残ったロスパンとかを使っていて、最初はそのパンがちぎれるカットが出てくるんだけど、その後に実はこのパンってロスパンで、パン屋さんで売れ残ってしまうようなパンだけど「こんなに食べて美味しくて勿体ない」ってのが後に入るんですよ。

神保 ね。うん。

宮本 企業側でやると多分最初にロスパンであることを言いがちなんだけど、でもその順番じゃなくてまずユーザーが一番ピンとくる、ユーザーの生活に近いところから話をして、「この裏側として実はこういうふうな仕組みで作られているから買うメリットさらにありますよね」と。

伝え方とか別に、広告動画として作ったわけじゃないんですけど、その動画をユーザーさんがSNSに上げるために作ってもらったものなんだけど、その人たちも、それによっていいねとかがつくような感じで作ってくれてるので、すごくクオリティが高いというかユーザー目線だなと思いますね。

神保 ね。会議室で通ってるアイディアじゃないからいいんだろうね。

宮本 ね。そう、会議室でなくて、ユーザーの方が先生だなって思いますね。

神保 そうだよね。うん。

宮本 うん。ただやっぱりコミュニティ運営ってすごくコストがかかるっていうのが、コミュニティやりたくてもなかなかできない、と。

一対一で関係性を作っていったりとか、弁当を用意したりとか、毎月毎月会ったりとか、友達づきあい的な仲良くなるみたいなことをしながら、それをマーケティング成果に繋げていかないといけないと。

コミュニティイベントを行ってもROIをどう社内で説明していいかわからないって声がすごくあったりとか。「社内でお客さんと和気藹々して楽しい」「そうですね」って。「でも効果あるんですかっていつも言われるんです」っていう相談が常にあるっていうのが、コミュニティ運営なんですよね。

神保 厳しいね。

宮本 やっぱり大変。イベントでもそうだしオンラインでやろうってなってもオンラインのシステムを入れるとなると、前段で説明したフォームとか入れようとすると数十万ぐらいシステムを入れるのにかかって、システム利用料がかかる上に運用担当者も必要でみたいな感じだと、なかなか簡単に始められないと。

僕もいろんなところの会社に外付けマーケティングプレイングマネージャーとして関わってて、コミュニティ好きだし、自分の得意領域でもあるので、やりたいんですけど。それを僕の工数をかけてやると他のことができなくなって、結局リターンを作りづらいんですよね。なのでどうしても後回しになりがちっていうところが、やっぱりコミュニティ運営にはあるなと思っているんですよ。

神保 そうだよね。

宮本 なので、コミュニティ運営の課題としては「大変、コストがかかる」というところと、「コストがかかるわりに効果がわかりにくい、影響力はどうなんだ」という話があります。

たとえばイベントを毎月やって、毎月30人来てくれたとすると、年間で大体300人ぐらいですね。でも「うちの顧客数何万人もいるんですけど、300人のLTV上がっても、あんまり意味ないんですけど」っていう形で「運営コストがすごいかかるわりに影響力ってどうなんですか」って言われがちなんですよね。コストと影響力というこの2点を解かないと、コミュニティの活用はマーケティング成果を見づらいなっていうのは、結構ずっと前から思っているところです。

神保 割となんかでかい壁ですよね、この2つって。

宮本 そうそう。関連し合ってるから、コミュニティってそういうもんだからね。大変な手間がかかるからこそ、ユーザーもすごいいろいろ協力してやってくれるし。ただ、協力してくれるけど協力してくれる人が必ずしも影響力があるわけじゃないので。

宮本 例えば、「情報システム部の人向けのSaaSサービスでコミュニティを作ります」という例で考えてみます。情報システム部の人って世の中でそんなに、めっちゃいるわけじゃないし、情報システム部の人同士は繋がっているので、1人の人をファンに変えれば影響力があるんですよね。他の会社の情シスにも伝わっていって、いろんなところでそのSaaSを入れてくれるということが起こるのでBtoBはわかりやすいんです。

だけど、BtoCだと、僕が「未利用魚のサブスクをやってます」っていう話をして、神保さんにその未利用魚のサブスクを買ってもらうことはできるけど、僕の力じゃ、何百人に買ってもらうこととかやっぱできないわけじゃないですか。

神保 はい。

宮本 友達がすごい人数いるわけでもないし、やっぱり影響力出しにくいとコストがかかるっていうのと強力でないものをどう解決するのかっていうのが一つ目。

コミュニティブランド戦略での解決方法として、その影響力が出ない問題については、コミュニティで投稿された画像とか動画を、パネルのあらゆるところで使うことがポイントかなと思ってます。

やっぱりユーザーさんはすごく動画とか投稿してくれるんですよね。さっきのパンをうまく切る動画だったり。「こういう感じでこのサービスを楽しんでます」っていうのをアップしてくれるけど、その辺を見てくれる人の数はやっぱり限られちゃうので。

それをリーチで考えると、もうコミュニティじゃなくて「ブランド側、企業側で作りましょう」というさっきの広告のクリエイティブにするっていうのとかですね。出稿先がInstagramとかだったらすごく親和性が高いので実際、他の自分たちが作るクリエイティブよりもクリエイティブの効果がすごく高かったりっていうのは実際出てます。

あとはCVRって意味でも、LP、ランディングページとかのファーストビューに動画を入れて、LP見た瞬間にその動画が流れるようになってる、と。詳しいランディングページの中身を文章で言わなくても何となく「これを買ったらこんな生活が自分に待ってるんだな」ってことがわかりやすい。

神保 そういう想像ができるといいですよね。

宮本
 結構そのランディングページの中にインスタのユーザーの投稿してくれた画像を入れるとかは定番になってますね。ECとかだと、実際それを入れることでコンバージョンレート上がるので皆さん入れてるところが多いですね。それを入れる用のサービスとかもあったりするので、そういうのを使って入れてたりしますね。

神保 それって、ユーザーさんのアカウントの動画だったり画像だったりを引っ張ってLPに埋め込めるっていう機能っていうこと?

宮本 そうです。ただ、勝手に読み込むと、ユーザーさんが「いや、許諾してないんですけど」という話になるので、許諾を取りに行くんですよね。ユーザーさんにDMとかで「これ使っていいですか?」ってOKをもらって、それを入れていくと。

神保 はい。

宮本 別に、ツール使わなくても自分で全然できるけれども、ツールを使えば10個ぐらいある中の、この3つを選ぼうとできたりとか。また選んでおいたときにどこが一番クリックされたかとかもわかるんですよね。

神保 そうですよね。

宮本 だから、ユーザーが投稿してくれた画像で、良さそうなやつを10個選んでLPに載せておいて「一番クリックされるのはこれなんだ、こういう画像が興味持たれるんだったらどんどんそういう画像に寄せていこう」みたいな感じでPDCAを回してLPのコンバージョンレートを上げていける。

なので、コンバージョンレートと継続率という意味ではCRMのコンテンツにして、「皆さんこういう感じで使ってくれてますよ」と、例えば「魚だったらこういうレシピ使ってくれてますよ」みたいなところを伝えていくと、ただ単に食べるだけじゃなくてこういうレシピにして楽しんでいる人がいるんだったら自分はやってみようという感覚になったりとか、PRをネタにしたりとかという、いろんな使い方があるなと。

神保 ふむふむ。

宮本
 いろんな場面で使うことができれば、仮にコミュニティに参加する人が少なかったりしても、そのコミュニティの投稿は広く伝えることができるので。大体広く伝えようとしたら皆さんインフルエンサーとかに投稿してもらうとかやるんですけど、でも、インフルエンサーの費用ってコンテンツ×リーチで、結構な費用がかかるので。
そこをやるよりは、コンテンツをユーザーに作ってもらって、そのコンテンツを定額で買うか「協力お願いします」って言ったら普通に2次利用許諾でOKもらえたりするので、それをもらって、リーチのところはこっちで広告で作ることはできるかなと思ってます。

なのでコミュニティとブランドがうまく役割を分担するってことですね。インフルエンサーみたいにリーチもコンテンツも両方お願いするんじゃなくて、コミュニティにはコンテンツだけお願いして、リーチのところはブランドで作る、この二つを掛け合わせると別にインフルエンサーに頼らなくても、ちゃんと良いコンテンツを、リーチを取れると。

神保 このリーチはブランドで補完すりゃいいじゃんっていうんだったら、愛があるものを選んでリーチで補完するっていうのが一番合理的な気はするんだよね。

運営が大変なのは参加人数と増えている感が大事だから

宮本 2つ目ですね。次、運営が大変問題っていうのもこれ、ありますと。

コミュニティって、例えばイベントをやるとか、オンラインコミュニティを作ると、やっぱりすごく大変です。BASE FOODとかもコミュニティ施策をやっていたり、Anycaのときもオフラインイベントをやっていましたけど、サービスによってそこまでやるサービスもあると思うんだけれども「いきなりそれをやらないとコミュニティマーケティングができないんです」となると、ちょっと手が出せないスタートアップとか、マーケターも多いだろうなと思うんですよね。

そもそも、オンラインシステムを入れようとすると月数十万かかったりするんですよね。

あと、運営がなぜ大変かっていうと、コミュニティの場を作ると「参加人数が何人いて、ちゃんと増えている感」が大事になってきたりします。

オンラインだったら何百に行ってますかとか、イベントとかもやっぱり開催すると、20〜30人来ないと、3人とか5人とかだと「このコミュニティ盛り上がってないな」ってなるので。やっぱり人数集めなきゃいけないってなって、「何のためにやってるかわかんないけど人数を集めるために、クーポンを配る」みたいなこととか本末転倒になりがちですね。

大事なのは「関係性を作ること」インタビューもその一手

宮本 そういうふうに本末転倒になっちゃうから「そういうコミュニティの場とかを作るのは、もっと先でいい」となりがちなんですよね。最初からそんなことをやる必要はなくて、良質なコンテンツを集めることができればいいので「普通にハッシュタグ投稿をお願いして、ユーザーに投稿してもらう」でいいとなると思うんですよね。

別に特別な場とか、オンラインのコミュニティとかなくても、ハッシュタグ投稿だとかX(旧:Twitter)などでしてもらえるので。ただし、投稿してくれただけだとそれで終わりだし、ユーザーとの関係性とかもできないし「どうやったらもっと投稿してくれるのかな」というのがわからないので、僕は、そのハッシュタグ投稿をしてくれた人にインタビュー依頼をしてインタビューをするんですよ。

神保 なるほど。

宮本 そうすると、それぞれの投稿してくれた人と関係が作れて、いつも使ってて、向こうからも感謝されるしこっちもこういう思いで使ってくれてるんだとか。

あとは、結構、ハッシュタグ投稿はしてくれるけど、「写真の撮り方がうまくできないんですよね。どうやってやったら綺麗に撮れますか?」とかいう話が聞けるから「iPhoneでも写真の中のポートレート機能とかを使って撮るともっと綺麗に撮れますよ」みたいな話とか。あとは「それをコンテンツにしてこういう投稿を作れますよ」っていうのをしていくと、投稿も増えて良いコンテンツは上がってくるので。

新たに場を作るわけじゃなくて関係構築をしていけばいいかなと思うんですよね。今やってる事例だと、食品の事例で、料理講師の方とかで広めてくれてる人とかもいるんですよね。

商品を料理教室の参加者に試食してもらって「買ってみませんか」って言ってくれてる人とかもいたりするので。別に新たにコミュニティとか作らなくてもちゃんと関係を構築して、その人たちの声を聞けると、全然いろんなことができるなというふうに思うので、運営が大変問題っていうところも解決されますよね。

ハッシュタグ投稿みたいな形で楽に運営しながら、インタビューとかで関係を構築して、コンテンツ愛のあるコンテンツを集めて、それを広告とかCRMとか、リピート化でリーチを作っていくことができれば、とてもROIを出しやすいというか、すごく苦労せずにコミュニティをマーケティングに役立たせることができるんじゃないのかなっていうのが、僕が最近気づいたことです。

神保 実践的ですね。

興味で集まるクラスターをいかに見つけるか

宮本 そうなんですよ、本当にね。僕、常に本当はコミュニティをもっとバリバリマーケティングに使えるぐらいやれたらいいと思ってはいるよね。コミュニティが大好きだから。神保さんも僕のコミュニティの講演聞きに来てくれたことはありますけど。

神保 はい。

宮本 ずっと前からやってますからね。もう13年とかコミュニティ系をやってきてるので、本当はもうバリバリバリバリそればっかりやりたいけど、どうしてもROI出ない問題ってのを解かない限り「やってても誰も評価されないし売り上げ上がらないし、ユーザーも別に一部の人しか喜ばないし」となるので、取り組みやすいコミュニティ圏でコミュニティブランド戦略っていうのがいいんじゃないかっていうのは、思ってます。

神保 そういうときにだから、ある種の効率の良いツボを押さえるってことなんだろうな。

宮本 そうそう。

神保 ここで言うと食品で料理教室使ってとかも、料理とか食に関してすごく興味がある人がクラスターとして集まってる場所があって、先生が何かそういうことをすると、先生としても何か売れるじゃん。生徒に対して。

宮本 ね。そうなんだよね。

神保 ネタもできるしね。生徒の人は生徒の人で一緒に学んでいる人たちはコミュニティだから、その中で知り合うだろうし。実際「家族で使ってみて」とかも、割と広めてくれそうな人たちが多そうだ、みたいな。

神保 ね。こういうところをいかにうまくまずは見つけて使っていくかっていうところなんだろうな。

宮本 そうですね。例えば、食品だと料理教室以外だと、栄養士とか栄養管理士とかそういう栄養のアドバイスをする人は「この食品だとダイエットにいい」とか「健康にいいから使ってみたら」みたいなことを言ってくれやすいんですよね。やっぱりそういうところもポイントとなるような、勧めてくれる人になりそうなものかなと思いますね。

ユーザーさんに協力してもらってだとその形だし、それがわかってくると例えばダイエットとかそういうのに関するサブスク商品、筋肉がつくようなサブスク商品だと最近ジムに置いてたりするんですよね。

ジムとタイアップしてジムで売ってくれたら、アフィリエイト的な感じで自分にお金を払うみたいな形にしてたりもするので、それはコミュニティではないですけど、一つの顧客獲得のルートになっていてポイントとなるようなシーンだということに気付けるのも、ユーザーと関係性を築けるところのメリットかなと思いますね。

神保 はい、それでは今日はここまで。みなさんは今回の話を聞いて、どんなことを考えましたか?

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