先月、講談社の『週刊現代』編集部より、安井かずみさんの写真借用についての問い合わせがあった。週刊誌のグラビア掲載ということで、スキャンダラスな記事だと困るな、と思ったが（すみません。最近こうした週刊誌を見ていないもので）参考にと送られてきた記事が山口小夜子さんを特集したもので、人物ドキュメントとしての内容だったので、掲載を承諾した。

9月23日号に掲載された記事は「安井かずみを覚えていますか」というタイトルでサブタイトルが「その優雅な詞が昭和歌謡を豊かにした」となっている。写真中心で、8ページにわたり彼女の生涯を紹介しており、写真の扱い方も小夜子さんの時よりすっきりとして見やすい。

安井かずみさんを撮影したのは1979年。女性著者のエッセイ集シリーズ出版に際して、それぞれの著者を何日か追って写真を撮る仕事を引き受けていた時のことだ。当時彼女は40歳。音楽家の加藤和彦さんと結婚して2年目で、
幸せオーラに満ちていた。

ここ数年、安井さんの写真を所望されることが重なっている。聞くところによると、彼女の写真はほとんど見当たらないのだという。そのわけは、安井さん亡き後、写真の大部分が処分されてしまったから。真偽のほどは定かではないが、複雑な事情があったことは確かだろう。