松本路子

写真家、エッセイスト。 ポートレイトを中心に作品を発表。『Portraits 女性アー…

松本路子

写真家、エッセイスト。 ポートレイトを中心に作品を発表。『Portraits 女性アーティストの肖像』などの写真集出版、個展多数。 造形作家ニキ・ド・サンファルのアート・ドキュメンタリー・フィルム制作中。自宅のバルコニーで60鉢のバラを栽培し、フォト&エッセイ集も出版.

マガジン

  • 写真にはドラマがある ~松本路子の撮影ノオト~

    世界各地のアーティストの肖像を撮影する中で、忘れられないエピソード、写真のこと、自宅マンションのバルコニーから、60鉢のバラ・果樹の季節の便りなどを綴ってみたいと思います。本・映画・舞台などの感想はリアルタイムで。

  • ニキ・ド・サンファル ~松本路子の制作ノオト~

    松本路子が監督・撮影する、造形作家ニキ・ド・サンファルのアート・ドキュメンタリー・フィルムの制作ノオトです。10年間にわたるニキとの交流、その作品との出会いの物語、そして現在制作中の映画の、ヨーロッパ各地、アメリカ、国内での撮影現場からのレポートを綴ります。映画は現在、編集作業段階! 製作のサポート、ご意見、よろしくお願いします。

  • 日々の暮らしノオト

    その日出会ったこと、自宅バルコニーの花や果実の収獲、旅や伊豆の思い出など、徒然なるままに、ティータイムにほっとひと息入れる感じで綴っていきます。

最近の記事

ハノーファーの3人のナナたち~映画撮影ノオト

ニキ・ド・サンファルの女性像の総称「ナナ」。ドイツ、ハノーファーのライネ河岸に立つ、カラフルな3体の像は「ハノーファーの3人のナナたち」と呼ばれている。彼女たちは初めて美術館から街に飛び出したナナだ。逆立ちし、踊り、どっしりと構える3人は、かつてのハノーファー王国の王妃や歴史上の人物にちなんで「カロリーネ」「シャルロッテ」「ゾフィー」と名づけられている。 1974年に設置された当時、胸と尻を強調した色鮮やかな作品を、スキャンダラスとする反対派と、おおらかな女性像だとする賛

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    • ニキ・ド・サンファルからの絵手紙

      映画の編集もほぼ終了し、上映の日程を調整中。上映と同時期にシンポジウムを企画。ニキ財団の理事であり、ニキの孫のブルームさんにゲストスピーカーとして来日してもらうことになり、その調整で、予定より公開が少し先になりそうです。決まり次第ご報告させていただきます。 現在、ホームページの制作も進んでいて、そこに掲載する写真をあれこれ思案する中で、思い出したのがニキから届いた絵手紙。額装してしまい込んでいたのを、出してきました。「ブラボーMichiko  素晴らしい写真へ」という嬉しい

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      • わが家のバルコニーの河津桜が満開! ひと足早い春です。

        わが家の北側バルコニーの河津桜、伊豆からの桜便りに少し遅れて満開になりました。20年近く前に、河津の園芸店で求めた苗が、毎年よく咲いてくれます。都心のマンション4階のバルコニーですから、鉢植えで2mほどの高さを保ち、いわばやや大きめの盆栽のような設え。 開花すると毎日メジロがやってきて、夢中になって花の蜜を吸う姿が見られます。そうしたお客様をリヴィングから眺めるのがこのところの楽しみ!メジロは鶯色をしているので、鴬と間違えられることもあるのですが、鴬は虫などを食し、花の蜜を

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        • 石岡瑛子さんの70年代を物語るポートレイト ~撮影ノオト

          先週、あるテレビ番組の制作者から、番組内で石岡瑛子の写真を使用したいというオファーがあった。私が彼女を撮影したのは、1977年。パルコのポスターなどの、アート・ディレクションの仕事の最盛期ともいえる頃だ。 撮影場所は、石岡瑛子デザイン室と渋谷のパルコ館内で、ポスターやパネルと一緒に写真に収まっている。当時のポートレイトはあまり存在しないのか、以前にもNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組や、東京都現代美術館の展示カタログにも採用されている。

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        記事

          映画のナレーションの収録、小泉今日子さんの声が素敵です。

          ニキ・ド・サンファルのドキュメンタリー映画が少しずつ完成に近づいてきました。一時的にAIの声でナレーションを入れていたのですが、それに代え、スタジオ収録した声を映像と組み合わせたところです。 ナレーションを担当してくれたのは、小泉今日子さん。大人の女性の落ち着きと、弾んだトーンをあわせ持った素敵な声で、ニキと作品のことを語ってくれました。彼女のナレーションが加わったことで、今まで見ていた映像が立ち上がった感がします。場面ごとに、言葉が直接心に響いてくるのです。

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          映画のナレーションの収録、小泉今日子さんの声が素敵です…

          ニキ・ド・サンファルの自宅を訪ねて~撮影ノオト

          フランスの造形作家ニキ・ド・サンファル。私がパリ郊外のニキの自宅兼アトリエを訪ねたのは1981年6月だった。当時のパリ、ポンピドゥー・センター館長だったポンテュス・フルテン氏がニキに引き合わせてくれた。 ニキは1963年に、パートナーの彫刻家ジャン・ティンゲリーとともに、この家に移り住んでいる。それまで暮らしていたパリ市内のロンサン袋少路のアトリエが取り壊されることになったのがきっかけだという。かつては「白い馬」という名前のオーベルジュ(レストラン兼宿屋)だった石造りの建物

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          ニキ・ド・サンファルの自宅を訪ねて~撮影ノオト

          映画に付ける音楽についての、あれこれ、進行中!

          今月9日、ピアニスト青柳いづみこさんのレクチャー・コンサートに出かけた。最新刊の『パリの音楽サロン ベルエポックから狂乱の時代まで』(岩波新書)の刊行記念コンサート。ショパン「ノクターン作品9-2」の演奏から始まり、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」まで全8曲。澄んだピアノの音に包まれる至福の時間を味わった。 演奏の合間に、当時の作曲家たちの話や、サロンという場が、どのようにして芸術を生み出していったかを、エスプリあふれる語り口で展開してゆく。青柳さんならではのコンサー

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          ニキ・ド・サンファルとの奇跡的な出会い

          ニキ・ド・サンファルに初めて会ったのは、1981年6月。パリ郊外の彼女の自宅を訪ねた時だった。当時、私は世界各地で女性アーティストに会い、ひとり1枚の肖像を撮影していた。 ニキが1960年代、スウェーデンのストックホルム近代美術館に、2人のアーティストとともに作った巨大な女性像「HON(ホーン)」のことを知り、ぜひこのアーティストに会いたいと思った。結果として10年以上にわたり、ニキを撮影することになったが、今思うと彼女との出会いは、奇跡に近いものだった。 ニキの自宅を訪

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          井津建郎写真展「祈りのかたち」から、オリジナルプリントの醍醐味。

          先週の日曜日、ルーニィ247の井津建郎展「祈りのかたち」を拝見した。映画の編集がなんとか一段落し、編集室からの帰り道に立ち寄った、久しぶりの写真展。 ブータンのポートレイトは折につれ写真集『BHUTAN』を開いているが、超大型カメラで撮影されたプラチナプリントで見る作品は、また格別。そこに在る人々の透明なまなざし。長い時間、祈ることの気配が堆積した空間。人と空間のアウラがそのまま写し込められている。 写真は目に見えるものを写すが、醍醐味は目に見えないものをそこに見出すこと

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          井津建郎写真展「祈りのかたち」から、オリジナルプリント…

          ヨネヤマママコさんのこと ~撮影ノオト

          今年9月のある日、本棚の隅に置いてあったピエロ姿のオルゴールが、突然音楽を奏で始めた。ほんの一瞬だったが、もう何年もネジを巻いていなかったので、ちょっと意外な気がした。そして「ママコさんどうしているかな~」と、パントマイマーのヨネヤマママコさんに思いを馳せた。そのオルゴールは、40年位前、彼女の何かの記念日にいただいたものだった。 それから数日経って、ママコさんが亡くなったというニュースを知った。 88歳だった。最近まで舞台に立っていたような記憶があったので、いつまでもお元

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          ヨネヤマママコさんのこと ~撮影ノオト

          写真をコレクションするということ

          昨年10月から今年の2月にかけて、東京国立近代美術館のコレクション展で、松本路子の写真作品が展示されました。「Portraits 女性アーティストの肖像」シリーズの収蔵作品のうち、14点が一つの部屋にまとめて展示されるという、良い機会を得ることができました。 展示が終了して間もなく、スイス人のコレクターからメールが届きました。近代美術館の展示を見たが、作品を購入することは可能か、というお問い合わせでした。出張で東京に滞在中ということで、ホテルで会うことになりました。

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          ニキ・ド・サンファルの映画、もうすぐ完成です!

          昨年末より再開しましたニキ・ド・サンファルの映画の制作ですが、何とかゴールが見えてきたところです。10月完成予定でしたが、もう少し時間をかけて、ブラッシュアップしたいと思っています。 年内に完成の目標で進めています。写真家として映像にこだわりがあり、秒単位で修正しているのが良いのか悪いのか。付き合ってくれている映像編集者には、感謝、感謝です。 写真はドイツ、ハノーファー市内、ライネ河岸に立つ「ナナ」シリーズのひとつ、シャルロッテと名付けられたポップな女性像です。ニキがこの

          ニキ・ド・サンファルの映画、もうすぐ完成です!

          安井かずみ ~撮影ノオト~

          先月、講談社の『週刊現代』編集部より、安井かずみさんの写真借用についての問い合わせがあった。週刊誌のグラビア掲載ということで、スキャンダラスな記事だと困るな、と思ったが(すみません。最近こうした週刊誌を見ていないもので)参考にと送られてきた記事が山口小夜子さんを特集したもので、人物ドキュメントとしての内容だったので、掲載を承諾した。 9月23日号に掲載された記事は「安井かずみを覚えていますか」というタイトルでサブタイトルが「その優雅な詞が昭和歌謡を豊かにした」となっている。

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          安井かずみ ~撮影ノオト~

          掲載報告『オセロー』の悲劇のヒロイン、デスデモーナに捧げられたバラの物語を書きました。

          久しぶりにWebマガジン『Garden Story』に、「バラの名前の物語」の記事を書きました。今年のわが家のバルコニーのニューフェイスのひとつ’デスデモーナ’についてです。デスデモーナはW.シェイクスピアの四大悲劇のひとつ 『オセロー』のヒロイン。純粋無垢なヒロインがいわれもない陰謀によって死に至る物語は、その過程の心理劇としての巧みさから、初演から400年経った今でも世界各地で上演されています。バラは主人公の面影と重なる清楚な花姿です。

          掲載報告『オセロー』の悲劇のヒロイン、デスデモーナに捧げられたバラの物語を書きました。

          ユサユサ揺れるバナナの葉が心地良い朝!バルコニー便りです。

          夏の日差しの中で、バナナの葉が風にユサユサと揺れている。ここは都心のマンションのバルコニー。4年前に園芸店のカタログで、アイスクリームバナナ(正式名はブルー・ジャヴァ・バナナ)という苗を見つけて、その美味しそうな名前につられて衝動買いをしてしまった木だ。 マンション住まいで、バナナの木を育てられるか考える前に、注文してしまうのが、いつもの私。6月に届いた苗は高さ40センチほどのか細いもので、やや落胆したが、大きめの鉢に植え替えて様子を見ると、8月にはバナナらしい葉が茂ってき

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          ユサユサ揺れるバナナの葉が心地良い朝!バルコニー便りで…

          掲載報告:英国ヴィクトリア女王の名前のバラと出会いました。可愛い!

          ご報告が遅くなりましたが、Webマガジン『Garden Story』の連載記事、「バラの名前、出会いの物語」の最新版が出ましたので、お知らせいたします。コロンとした可愛らしい花姿ですが、とても元気で、ぐんぐんと枝を伸ばしています。昨年秋に植え付けた、わが家のニューフェイス!

          掲載報告:英国ヴィクトリア女王の名前のバラと出会いました。可愛い!