見出し画像

戦略MGに参加してきた話

戦略MGと呼ばれるボードゲームをご存じでしょうか。
先日EXTAGEさん主催の戦略MGの会に参加してきて、翌日知恵熱が出るほどの学びを得たので備忘録的にここで紹介します。

そもそも戦略MGとはなんぞやとなっている方もいるかもしれないので本当に簡単に説明すると「会社の社長となって経営戦略を練りつつ決算書や経理・経営も学べちゃうゲーム」です。
いくつかのパターンがあるようですが、今回は製造業の社長になってきました。

戦略MGのおおまかな概要

雑に「会社の社長となって経営戦略を練りつつ決算書や経理・経営も学べちゃうゲーム」なんて言われてもそれじゃあただのボードゲームですよね。
わかります。
私もちょっと学びのあるボードゲームくらいの感覚で初回無料につられて遊びに行ったらとんでもない。
朝から夜まで脳みそフル回転でアドレナリンだけでその日を過ごし、帰路の電車では燃え尽きてよだれを垂らして眠っていました。(はしたない)

この戦略MGというのは40年以上の歴史のあるゲームで、1日で3期(3年)分の会社経営を体感できるというもの。
会社の研修や大学の授業などでも活用されているそうです。
ソフトバンクの孫正義さんも「俺の後継者になるには100期でも足りない」と研修でお話しされていました。

100期で人間が変わる

戦略MGをやる前に言われたのは
25期で経済がわかり
50期で経営がわかり
75期で戦略がわかり
100期で人間が変わる
ゲームとはいえ、よく考えたら100期会社を経営しているってすごいことですよね。
そもそも1年以内に倒産してしまう会社が多い中で100年会社を続けるってまずありえないことだなって思います。
寿命とか考えたらどんなに天賦の才と運を持ち合わせていても50期くらいが関の山?
そりゃ100年も会社経営してたら仙人みたくもなりますよね。
なんてアホなことを考えながら講義を聞き、ゲームに参加し「なにこれ超楽しい!次いつ参加しょう!」なんて思いながら帰路についたわけです。

ゲームの流れ

ゲーム自体は本当にシンプルです。
数人で卓を囲み、親から順番にカードを引いて、行動を宣言する。
製造業なので必要な材料を購入したり、工場に材料を投入したりして製品をつくり、競りで売りに出す。
市場は札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡の6都市にあり、市場ごとに材料の値段も競りでの売値の上限も、ストックできる品の数も全然違う。
これは需要が都市ごとに異なるからです。
なるべく安く材料を買いたいし、なるべく高く競りでは売りたいですがなかなかうまく行かない…。
工場には機械が必要だし、機械を動かしたり製品を売るためには従業員が必要なので、状況に応じて機械を買ったり人を雇ったりします。
よりよい製品を作るための研究開発なんかも必要だし、時には工場が火事になったり従業員が辞めて行ってしまったりもします。
こうして1期(1年)の会社経営を30-40分ほどで行い、それが終わると今度は決算です。

ゲーム中にせこせこと売買の個数と金額をメモしたり、機械を買ったり人を雇ったりや工場や倉庫への運送費なんかは都度、出納帳に記録しています。
さらに従業員への報酬(そういえば戦略MG内では従業員は年俸制なんだなと今思った)や社会保険料、機械維持費などを期末(ゲーム後)に計算し、これも記入して出納帳を完成させます。
こうして会社に現金がどれだけ残っているのかを把握するのです。

次に仕入れた材料や工場に投入した材料、営業所にあるあとは売るだけの製品の在庫の確認を棚卸をして、今期の原価がだいたいどのくらいなのかを計算します。
従業員や機械なんかの固定費の計算も必要ですね。
こういった細々した計算をして決算書を完成させて、PL表や貸借対照表、CF表を記入して次期の戦略を立てます。

こういったフェーズを何度か繰り返して何期も経営シミュレーションを行うのがこのゲームの目的です。
決算書や経営に必要な経理関係の書類を手書きで書いてゲームを進めていくので嫌でも決算書を作る流れが身につきますし、数字が合わなかった時の間違い探しは大変ですが無事に書類を完成させたときの達成感には脳汁が溢れてとまりません。

決算書の重要性

実は会社を経営して1年以内に倒産する割合は9割以上。
その原因のほとんどが決算書が読めず、資金繰りが出来ないことなんだそうです。

決算書というのはいわば会社の健康診断の結果。
健康診断で体の不調を見つけることで、早期治療ができて、結果的に健康に長生きできますよね。
決算書で会社の経営状況を知り、赤字の原因になりそうなものや原因そのものを取り除くことで会社を円滑に動かせます。

私の大好きな行政書士のお姉さん・りこ先生こと佐々木麻里子先生も「決算書は1年頑張った自分の成績表のようなもの」とInstagramのストーリーで言っていました。
成績表もそうですよね、苦手なところ・得意なことなんかが明確ですし、先生からの客観的なご意見まで書かれていたりして。
(余談ですが私は成績表に社交的だが落ち着きがないと小学校から高校卒業まで12年間書かれ続けました)

決算書が読めなければ会社が傾いていることにも気づけませんし、その原因を取り除くこともできません。
そうして気付いた時にはもう対処できないところまで来てしまって、なすすべなく倒産してしまうのです。
そうならないためにも決算書が読めるというのはとても重要なこと。
なかには「決算書の読めない従業員は要らない」とまで考えている経営者もいるようです。

当日の振り返り

それではここからは私の備忘録を兼ねた当日3期分の振り返りにお付き合いください。

1期目:とりあえずルールを覚える

資本金300万出始めた1期目は最初の数ターンは全員で全く同じ数字で出納帳やメモの取り方、ゲーム自体のルールのデモンストレーションでした。
ですので、とりあえず流れに身を任せてデモンストレーションの後も特に何かを考えるわけでもなく直感で経営の判断を下しました。
結果は105万円の赤字と195万円の純資産。
ここからどうやって赤字を減らし、純資産を増やすかが問題です。

コールした金額が安い人から売れていくルールなので、基本的にみなさんコールが20台と安売り状態。
最安値の20のコールもも多く、期末の決算書によると私の平均的な売り値は23でした。
原価率は53%とまずまずだったので、とりあえず次期の目標としては大きく利益を上げるよりも赤字を減らすこと。
そのためにもなるべく高く売りたいので、2期目は研究開発を積んで安いコールでも高く売れるように商品の単価を上げるように動くと方針を決めました。

2期目:商品単価を上げてなるべく高く売りたい

前期から繰り越した現金の残高はわずか47万。
2期目からは借り入れができるので200万円を借入れて保険や設備に投資をするところからスタート。
まず最初のターンでは予定通り研究開発を行い、2ターン目に工場に残っていた材料を完成。
3ターン目で広告を打ち、4ターン目に再び研究開発行って販売準備を整えます。

研究開発は1つにつきコールを提示額の-2でできるので、20とコールしても実際は24で売れるという強みを持っています。
他の4名も研究開発を積んでいましたが、2つも積んでいたのは私だけだったので競りでは無双状態。
ほぼ確実に安定して売ることが出来ていました。

しかし、決算の時にとんでもないミスに気付きます。
一番最初に買った「材料を-2の価格で買える権利」と「製品を+2の価格で売れる権利」の存在をすっかり忘れていたのです。
今期材料を10個買い、製品を9個売っていていましたし、この2つの権利はそれぞれ10万円なのでざっと58万円の損をしています。なんてもったいない…。

この期末の結果は80万円の赤字と純資産115万円。
58万円の損失が痛いので時期は対策をしないと…。
ちなみに売上単価は28と大幅アップに成功し、原価率も51%に下がっていました。
しかし、研究開発費と広告は今期限りなので次期どう扱うかが悩みどころです。

ここで一息:経営戦略を立てる

2期分の会社経営を終え、3期目突入の前にここまでの経営を踏まえて3期の目標を考える機会が設けられました。

目標利益と固定費から必要経費を割り出し、それを稼ぐためにはどの程度の単価で何個売らなければならないのかを考えます。

2期の時点での私の利益は-80万円。
0でもいいけどできれば黒字化したい…ということで目標利益は50万円に設定。
さらに固定費が1期が165万、2期が205万。
さらに3期は上がると仮定して250万と想定します。
そうすると3期は300万円は売りたい。
ちなみに1期は122万、2期は143万だったので倍以上利益を上げる必要があります。

1個当たりの単価は競合他社(同じテーブルのプレイヤー)に対してわりと高めを維持しているので、これ以上このテーブルで単価を上げるのは難しいと考え、3期は売上個数をこれまでの倍以上である20個を目標にしてみました。

3期目:とにかくたくさん売りたいのでたくさん作る

2期目までは高く売るためにターンを使っていたので、3期は安い時に材料を買ってたくさん作って売れる時に売るようにしました。
倉庫には前期繰り越し分の材料も残っていたので、とにかく作って営業所にストックを作りました。

途中で従業員を1人増やし、売る量も増えたのですがまさかのリスクカードで退職者が出てしまう事態に…
残り時間も少なかったので、営業所のストックも目標販売数分が出来たタイミングで工場の人員を営業所に配置することでとりあえずその場をしのぎました。
というのも、従業員雇用には1ターン消費するが、配置転換ならターン消費しないのです。
なのでとりあえず配置転換してやり過ごしましたが、もっと長い期数でゲームをするなら普通に今期の利益を多少減らしても雇用した方が良いと思います。

結果としては目標販売数には至らず12個の製品を売り、経営利益としては-30万円で赤字のまま。
純資産は80万円にまで減ってしまいましたが研究費用0だったわりに単価は26と大きく下げずに230万円の売上を出すことで赤字を減らすことに成功しました。

3期分やり終えて

結果としては黒字経営にはできなかったのですが、期を重ねるごとに105→80→30と赤字を減らすことには成功しました。
なにより、3年会社をなんとか倒産させずに済んだのは私の中で大きかったです。
3年分をまとめて、このペースの経営なら5年目には黒字化できそうと言っていただけたのも自信になりました。

私がプレイした卓は市場の流れが停滞気味で基本的に売値単価が安かったため、次回違う卓でやったときに同じようにできるかはわかりません。
ですが、何度失敗しても所詮はゲーム。
失うものはなにもないので機会があればまた参加してトライ&エラーを繰り返していつかは黒字経営・莫大な利益を得られるようになりたいなと思いました。

今後の展望

とりあえずは100期を目標に隙あらば戦略MG参加したいなと考えています。
そしてすっかりやみつきになったこのゲームをもっと身近でもっといろんな人とやってみたいなと思いました。

となると、講師なんて大それたことは難しくてもいつかゲームを主催してみたいなと思うのです。
まずはオンサロで希望者募って主催してみたいな、とか。
りこさん、いかがでしょうか?(笑)

まずは25期、2024年中に挑戦して今年の私自身の決算書を読めるようになりたいですね。

ボドゲ好きだし、これで経営学べるの?超手軽じゃん!
え?しかも初回無料なの??これもう当たり前にやるしかないよね!

くらいな気軽な感じで参加した経営MGでしたが、会計知識0・経営なんてしたことないのほほんフリーランスの私でも学びも刺激も盛りだくさんな1日でした。
ゲーム中はとにかくテンポが速くて一瞬で経営判断をしなくてはならず、ゆっくり考えたり電卓打ってる暇もない中で1期を駆け抜け、最後に答え合わせをして次期の準備をする。
そういう思考の仕方を体感できるいい機会となりました。

興味のある方はぜひ戦略MGトライしてみてはいかがでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?