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社会貢献がしたい?

お久しぶりです。お元気ですか?なんつって。
最近はいろんな意味でずいぶん濃い日々を過ごしていて、考えること、学ぶこともたくさんありました。少しダイジェストでお送りします。

1.誰がアクティビスト?
この間授業で、ミニアクティビズムみたいなタイトルの本について議論した。昨今の、もうすぐ世界が崩壊するんじゃないかみたいな空気感のなかで、社会や地球のために何かしたい、というか何かしなきゃいけない、ともはや危機感を超えて義務感のような意識を持っている人は多いと思う。そうは言っても私みたいな一般人が何をできるというのだろう、と思っている人が一歩踏み出すための本。背中を押された気持ちになった、と肯定的にとらえる人もいる一方で、否定的な意見もちらほら。でもその否定的な意見がそれぞれ真逆の方向だったのが興味深い。

一つは、「この本の定義で言ったら私がやってることもミニなんだろうけど、私はミニだとは思っていない。メンタルヘルスとかの表面ではわからない理由でミニみたいにならざるを得ない人もいることをわかってほしい」という意見。日常会話からメンタルヘルスの話題を大切にするアメリカの学生らしい意見だなと思う。そしてもう一つは「そもそもアクティビズムは自分の大切なものとか命をかけてやるもの。そんな保身できる環境に身を置いておいて軽々しくアクティビストを名乗らないでほしい」というもの。パレスチナ人の学生の意見で、ずしっと来るものがあった。

確かに、最近アクティビズムは流行語みたいな感じの扱いになっている。アクティビストはかっこいいし、自分がアクティビストだったら良いこと正しいことをやってる感があってかっこいいから、アクティビストになりたい。社会貢献してるって言いたい。みたいな。でも本当の意味で本当にしっかりした達成したいことや守りたいものがあってそのような主張をしている人の割合は実は全然多くないと思う。
自分の場合も、振り返ってみると前者のあまり好ましくないモチベーションを持っていたことがあるんじゃないかと思う。自分で言うのもなんだけれど、なんだかんだ優等生としてずっと過ごしてきて、ちょっと早いうちから留学とかできる好奇心と勇気とリソースに恵まれていたから、グローバルに活躍するんじゃない?とかなんかすごいことのリーダーになってね、とか周りから言われて育ってきた。それに対してまんざらでもない気持ちと、期待に応えなきゃという気持ちとで、自然と自分はグローバル社会の人々に貢献する何かのリーダーになるんだ、という意識が育っていった。誰のために何をするという具体的な考えがいつまでたっても全然浮かばないまま。

そんな意識で本当に誰かのためになる何かができるはずがない。ああ、これが最近大きな問題として取り上げられるようになってきた、自己満足的な「貢献」に陥るやつだな、と思う。誰かを救ってあげたみたいに思っている人がやったことが実は結構なありがた迷惑、最悪の場合数年後に大きな混乱や争いを引き起こすケース。よく聞くのはアメリカの白人の団体が、地域の歴史とか関係性とか自分の立ち位置を全然把握しないまま中東などに土足で踏み入って「支援」をするケース。これは典型的な例だけれど、いろいろなところでいろいろな人が似たようなことをしている。

リーダーはかっこいいし、自分にそれだけの力量があったら何かの先頭に立って率いたい、という気持ちは持って然りだ。でもそれが本当に最善の策なのかということは立ち止まってよく考えなければならない。誰かが前に、皆が皆リーダーになったら社会は成立しないと言った。その通りだ。優秀な人にはリーダーシップを養わせる、という考えは本当に変わらないといけないと思う。もしくはリーダーシップの定義を広げるか。そして「優秀な人」の定義もどんどん変わっていかないといけない、とも思う。先頭に立つ人もかっこいいけれど、物事を広く観察して、ここは自分は引き下がるべきだなと思える人、さらには、ここはこの別の人の声を引き立てるべきだ、と適材適所が把握できてそれを行動に移せる人、が私の中の今の結論としては目指したい人物像。

この間ある翻訳家の人の講演会に行った。クリエイティビティというのは、自分の中で新しい考えを作り出して発信できる力の他にもう一つ、世界にちらばっている素晴らしい考えを集めて吸収して他者に共有できる力というのがあって、翻訳家の仕事は後者の方だ。と言っていた。いろいろな理由で世の中に、メインストリームに出回っていない素晴らしい考えやアイデアは世界にたくさんある。自分が自分が、となる前に、それらに敏感に反応できる力、そしてなぜそれらが出回っていないのか(多くの場合権力などの関係性)、その状況を変えるためには何ができるのか、を考えられる人が今もっと必要とされているのではないかと思う。

項目1で長々と語ってしまったので次の項目以降はまた今度!


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