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立秋に穀雨を想う

人生に外食は必要だ

stayhomeが日常となるなか、外食は避けられがちで、テイクアウトがたまの贅沢だ。

しかし、お店で食べる出来立てのご飯と店主が選んだであろう拘りの器や内装、店員さんとの他愛のない会話はテイクアウトできない。

私には2歳の息子がいる。
子供が食べている姿はほっぺをふくふくさせて愛らしいのだが、隙あらば、子から見れば創造と破壊、親から見れば遊び食べをするので、普段の食事は流し込むように食べている。
会社の昼食は平日唯一ゆっくり食べられる時間なので、行儀悪くスマホを片手に食べている。

丁寧な食事とはほど遠い。

人の作った美味しいご飯をゆっくり食べたい。
ウイルスとかそういう事を気にしないで食べたい。

今年に入ってから、やれアトピーだの汗疱だのを繰り返していた私を見かねて夫が一人の時間を捻出してくれた。

さてどこで食事をしようか。

私の家庭事情により、下手をすると村八分になりかねない。
予約制の店だとある程度人の流れが予測できるだろう。
あとなんか「丁寧な食事」が食べたい。

穀雨茶房もも

「穀雨茶房もも」さんはこのご時世になる前から予約制になっており、ただこのご時世なので、席数は減らしている。
私が通っていたのは妊娠前~中で、息子の体の一部は穀雨定食と薬膳カレーでできている。
産後は予約制なのがネックで伺えていなかったのだけど、(子供の急な体調変化が怖かった)今回はプラスに働いた。

私が今回頼んだのは7月31日~8月3日までのメニューで、
台湾ごはん 茶房セット  1200円税別 だ。

・台湾風鹹豆漿(しぇんどうじゃん)
・塩味の豆乳スープ)
・油条(ようてぃやお・中国式の細長い揚げパン)
・肉鬆(ろうそん・豚肉のでんぶ)
・人参とたまごの小菜
・きゅうりの蛇腹漬
・紫キャベツのピクルス
・ドリンク(メニューから選ぶ、今回は杉林渓を選んだ)

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 鹹豆漿は台湾の朝食の定番メニューだ。
ランチには軽いと思いきや、結構お腹にたまる。
豆乳が酢で半凝固しているので、おぼろ豆腐のようになっている。

丼に並々と盛られているので飽きそうなものだが、優しい味わいにラー油のアクセントに舌鼓をうち、ザーサイやトッピングの肉鬆の触感の変化を味わい、油条をひたして食べる等としているうちに、私の鹹豆漿は消失していた。

2歳児との食事はそれこそ、「豚汁は汁とついているから飲み物である」と言わんばかりに急いで食べていたので、たまの外食ぐらいゆっくり食べようと思っていたのだが、夢中になって食べていたのでいつの間にかなくなっていたのである。

ランチメニューには+400円税別 でハーフサイズデザートをつけられるので、迷わずつけた。

・豆花(とうふぁ・豆乳を凝固剤で柔らかいゼリー状にしたもの)

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最近メジャーになった豆花。
実は某チェーン店でいただいた時はハーフサイズだったにもかかわらず具材と黒蜜の甘さに飽きてしまったことがあった。

しかしここの豆花はシロップを炭酸水で割って飲みたかったし、煮豆もナッツも餡子も単品で食べても美味しいだろうし、豆花と一緒に浮かべられてさぞ幸せだろうなと思った。

やっぱり人生に外食は必要だ

「丁寧な食事」には条件があると思う。
作り手の余裕と食べ手の余裕だ。
丁寧な食事は強要されて作るものではない。
このご時世で時間が増え、ゆっくり食事を作ったり、食べたりする人もいる。
逆に家族の分の料理をする時間が増え、とてもじゃないがゆったりとした気持ちで料理に向かえない人もいる。

少なくともあの日の「穀雨茶房もも」さんに流れていた空気は「丁寧な食事」だった。

真摯な作り手からのもてなしは明らかに私を元気にさせた。
テイクアウトのご飯は美味しいが、その場の空気やもてなしを持ち帰ることはできなかった。
このご時世が真摯な作り手を蝕むことのないよう願うばかりだ。
一消費者である私は、また自由に外食できるのを夢見て通信販売やテイクアウトも活用しながら応援することしかできない。

8月4日~20日まで店舗休業なので、休みが明けたらまた伺いたいなぁと思った。



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