見出し画像

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

獲りましたね。アカデミー作品賞&監督賞!! まったく関係ないけど嬉しいねぇ。だって面白かったんだもん。

喋ることができない女性と半魚人のラブストーリー。いつもはラブストーリなんて、まーーーったく興味がなくて見に行く気もしないけど、この広告にやられた。完璧。なんて美しいんだろ。単純だから赤いワンピースとヒールの靴を履きたくなっちゃうよ。ストーリーはベタベタなのに、切なくて美しい。

1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザ(サリー・ホーキンス)は、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。アマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。音楽とダンスに手話、そして熱い眼差しで二人の心が通い始めた時、イライザは“彼”が間もなく国家の威信をかけた実験の犠牲になると知る─。(公式サイトより抜粋)

主人公のイライザは、幼い頃に受けたであろう虐待により、喋ることができない(首に大きな傷がある)。施設で育ち、現在は極秘研究所で掃除婦として働いている独身女性。

見てのとおりラブストーリーのヒロインとは思えないほど地味。そして、若くない。いわゆる年増(こんな言葉使いたくないけど…。撲滅してしまえ!)。

………いい! いいの!! いいのよ、地味であろうが、障害を持っていようが、年を重ねていようが、誰だって恋するのよ。恋は若者だけの専売特許ではないのです(言い回しが古いっ)。しかし、現実は年を重ねた女の恋愛なんて誰にも見向きもされない。ましてや障害を持っていようものなら『感動モノ』へと作り変えられてしまう世の中にあって、そういった区別なく一人の女性の物語としてストーリーは進んでいくのです。

そして、そのヒロインが恋に落ちるのが、南米から捕獲されてきた半魚人。母国では神様として崇められていたのを国家の道具にするために連行され、監禁され、虐待を受けている。この半魚人はおそらく南米からの移民を示唆しているのだろう。

二人が出会うことによって、お互いに変化をもたらしていくのです。

イライザは彼と出会って、淡々とこなすだけだった日常に彩りが生まれてくるのです。彼が何者かもわからない、でも、知りたい。もちろん言葉も通じない。いわゆる異文化コミュニケーションなので、『卵』を使って、言葉があることを認識させ、そこから『私』『あなた』へと発展させていくのです。

彼(半魚人)の方も、突如、知らない場所に連れてこられ、虐待をされる日々。言葉を操ることができないので、意志を伝えることもできない環境の中、食べ物をくれて『言葉』をかけてくれる人が現れ、新しい世界の扉を開いてくれるイライザの存在に惹かれていく。

『誰かとつながりたい』『あなたのことを知りたい』という切実な想いは、様々な障害を乗り越えることができるということを教えてくれる。………そこまで想える人が出てくるとは……なんともうらやましいこっちゃで。

ここで登場してくるのは、日常生活で日の目を見ない人たち。イライザの隣人で偏屈なゲイのおじさん。パイ屋の若者に恋をしている。

同僚で友人の太っちょで旦那の文句ばっかり言っている黒人のおばさん。主な登場人物がみんな世間において口を封じられている人たち。そんな人たちがイライザの『恋』を応援し、世間に歯向かっていく姿がなんとも清々しいし、スカッとする。

人生の中で虐げられ続けてきた妙齢の女性と、半魚人になっているけれど、異国から来た顔や見た目に障害がある男性との恋愛話。どちらも普段、恋愛という舞台に上がることのない二人。これが美男美女のカップルだったら「ケッ!勝手にやってろ!!」と思うけれど、このカップルだと許せてしまう、というか応援してしまう。逆差別的と言われても良いのです。ごく普通のアラフォー女子としては、「こういう映画を待っていました!」と大きな声で言いたいのでした。

#映画 #コラム #シェイプオブウォーター #010 #0301 #2018年度

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?