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映画「15時17分、パリ行き」

やっと見に行けた。いろんな意味で革新的な映画。実話をもとに映画化することはよくあるが、実話を撮る際にその本人をキャスティングするとは!?いやぁ、その発想がもはやスゴい。タイトルが表す通り、15時17分アムステルダム発のパリ行きの特急電車の中で起こった無差別銃乱射事件が元となっている。

その銃乱射を身をもって防いだのが今回の3人の主人公たちである。実際に無差別殺人を防いだってことか…。凄い人たちだ。私だったらもちろん何にもできずに立ち尽くすのみだな。あとは無駄にパニックを起こすか…(苦笑)。

その3人の英雄がこちら。右からオレゴン州兵のアレク・スカラトス、空軍兵のスペンサー・ストーン、大学生のアンソニー・サドラー。

3人ともなかなか良い面構えですね。とくにアンソニーがタイプだわ。俳優をやっていてもおかしくない感じ。今後、映画やドラマに出てくるかもねー。期待しちゃうわ♥

さて、私のミーハーな感想は置いておいて、今作は「彼らがどうして無差別テロに立ち向かえたのか?」それを知るために、子供の頃からの生い立ちをたどっていくという映画なのです。

この3人は子供の頃からの幼馴染で友達。スペンサー(真ん中)とアレク(左)は学校になじめず問題児扱いされており、転校を繰り返していた。(多動性障害の疑いもあったりした…)。

その転校先で出会ったのがアンソニー(右)。彼はいつも一人で行動しており、友達がおらず、そのためなのか喧嘩っ早く校長室(要するに先生からの呼び出し)の常連であった。友達がいないのは黒人ゆえだと思われる。その「校長室」の呼び出しで出会った3人。先生たち、いわゆる世間からは「何者にもなれない、成し遂げることはできない」とレッテルを貼られたはみ出しもの同士、仲良くなっていくのである。

その後、アレクの転校があったりなどで3人は別々の進路を行くことになるが3人の友情は続いていた。

スペンサーは「人の役に立ちたい!」と軍人に憧れ、空軍パイロットを目指す。しかし、子供の頃から太っちょの体型であり、何事も続いたことがないスペンサー。アンソニーに空軍パイロットを目指すと告げるも一蹴される始末。しかし、彼は努力を続け、空軍への道を切り開くが、努力ではどうしようもない理由によりパイロットの道を断念しなければならなくなるが、空軍での仕事や訓練は続けていた。

アレクはオレゴン州の兵士になっており中東の戦地に赴いていた。アンソニーは大学生になっていた。

そんな3人は夏のバカンスでヨーロッパを訪れていた。普通の兄ちゃん達なので、ローマやベネチアを観光してナンパしたり、アムステルダムではクラブへ行ってはじけまくりなど、男子としてのバカンスを謳歌していた。

ただ観客は知っているのである。その時が近づいていることを。それは映画の中でも繰り返し示唆されていた。日本語で言うところの「虫の知らせ」が随所に散りばめられていた。

15時17分のパリ行きに乗り込む3人。ついにその時が来るのです。

そして、彼らは勇気を持って成し遂げたのです。「この映画はごく普通のひとに捧げた物語である」とクリント・イーストウッド監督と語っている(ホームページ参照)ように、それはその通りなのです。しかし、なんだかモヤモヤが残る。

彼らが行動できたのは、スペンサーとアレクが軍人だったことが大きい。軍で専門的なトレーニングを積んできたから取れた行動である。もちろん彼らに勇気があり、素晴らしい行動をしたことは間違いない。しかし、一般人だったら立ち尽くすか、逃げることしかできなかったであろう。または無謀に動いてしまって殺されていたかもしれない。それも映画内で示されていた。

戦争があったり各国の格差や宗教対立などにより無差別テロも頻発して起きている。今回のテロ犯もイスラム過激派だったそうだ。テロは絶対に起こしてはいけないことだけど、このテロ犯がなぜ生まれたのかを想像してみると、なんとも言えない気持ちになる。

しかし、「人の役に立ちたい」と子供の頃からの想いを立派に果たすことができたスペンサーたち。これまでの挫折だったり、上手く行かなかったことも、この偉業を成し遂げるために繋がっていたのだと観客にも伝わってきた。本当にどこにでもいそうな兄ちゃん達だったもの。だからこそ「普通の人に捧げた物語である」とイーストウッド監督の言葉はまぁ納得できる。

彼らが今後、どんな大人になっていくのかも興味があるな。いい写真だな~。イーストウッド監督って87歳なんだってね。それでこの作品。人間、やりたいことがあって、それを実現できる人のパワーって本当に凄いなとつくづく思いました。

#映画 #コラム #15時17分パリ行き #0328 #013

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