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それぞれの親子関係

私の周りの友人たちは、皆親と仲がよさそうに見える。
Instagramに親が登場してきたり、親とごはんや旅行に行ったり、親と恋バナをしたり...。
「親と子」という関係性を飛び越え、もはや友人同士みたいな親子もいる。そういう親子の形を見るたびに、“凄いなぁ”、“自分の親子関係とは全く違うなぁ”と圧倒される。

私の親子関係はといえば、とてもドライだ。正直親と仲良くする気はない。
というか、分かり合えない関係性だと思っている。
過去に壮絶な経験があったとか毒親だとかそういうわけではないのだが、とにかく私と親はそりが合わないのだ。

そもそも私は親と仲良く過ごした記憶があまりない。
親は仕事で毎日忙しかったため、小学生の時は祖父母の家に入り浸る日々。東日本大震災の時には親が仕事の関係で連絡が取れず、祖父母宅で1か月過ごした思い出もある。
ゆえに私の幼少期の記憶の中にはほとんど親がいないのだ。
このような経験を経て私は親への興味が薄れていき、おじいちゃんおばあちゃんっ子になっていった。

中高生になると、私の帰りも遅くなり親と一緒に過ごす時間が少し増えた。
すると今度は親との対立が表面化していく。
厳格で保守的な親に対し、ガンガン進んでいくタイプの私。
ことあるごとに大喧嘩をしていた。
親は娘のことがとにかく心配なのだろう。私の勉強から友人関係まで様々なことに言及し干渉してくる。ただこちらとしては今まで何もしてこなかったくせに、急に現れて口出ししてくるものだから鬱陶しいなと思っていた。
加えて、親は無意識に私を馬鹿にしたり、下にみたりする癖がある。
しかも親は自分の考えが100%正しいと思っているためこちらの話をあまり聞いていない。
ナチュラルに発せられる暴言や態度の悪さに、私は何度傷つけられたことだろう。

何とか両親の考え方を理解しようと頑張った時期もある。
しかし、どうしても分かり合えない部分が多い。
結局むやみに分かり合おうとせず、そういう考え方をする人もいるんだなぐらいに軽く受け流すようになっていった。

大学入学を機に上京すると、私は色んな人に出会うようになる。
衝撃だったのは、留学生にしろ先輩にしろ後輩にしろ、なぜか周りの友人たちは皆親と仲良しだったことだ。
あれは大学柄なのだろうか。
よくわからないが仲間内で親と不仲だという話を全然聞いたことがない。
とにかく様々なシチュエーションで冒頭に述べたような親子の形を見てきた。
親と仲がいい友人たちにとって親が苦手だという私の気持ちは理解できないのだろう。
私が「親とは仲良くなれないな」と言うと、友人たちは決まって「えー!なんで?理解できない!」と言っていた。

友人たちが親と仲良くしているのは親孝行だと思うし、それはそちらの家庭の都合なので好きにすればよい。
ただ、自分の親子関係を一般的な家族像だと考えて、他人に自分の親子関係の形を押し付けるのは違う気がする。
何度も言っているが、私は親と一緒にいると息がつまるのだ。
1人や友達といた方が断然楽なのである。

こう言うとたまに「親を大切にしないなんて、非情な人だ」みたいな捉え方をされるが、一概にそう決めつけないでほしい。
私は私で、親は親で各々の生き方を尊重し干渉しないだけである。
人によって親子関係は異なる。
大好きならば一緒にいるし、そりが合わないなら離れるという親子関係があってもいいはずだ。
だから会話の途中で親の話題になっても、自分の家族像を押し付けることなく話せたらいいなと思う。

私が言いたいことは一つだけだ。
親と仲良くしている人はそのまま親孝行を続けていればいいし、
親との関係に悩んでいる人は思い切って離れてみるのもありだと思う。
自分が本当に過ごしやすいと感じる人間関係の中で、のびのびと生きる人が増えることを私は心から願っている。