つめあと

手を繋いだ
あたたかくて 柔らかくて
守られているような
強くなったような
そんな気がした

私の長くて赤い爪が
彼の手を引っ掻いた

彼の手にキズがついた
紅い線が伸びている
「痛い方が忘れないから 大丈夫」
そう言われてから
私たちは分かれた

赤い爪をシンナーの香りの中で
肌色に戻した
コーティングを剥がしたつめは
柔らかくて弱々しい

爪切りでつめをパチパチと切る
まるで拍手のように聴こえる

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