クラブのイチ客から見る【服装】についての話

女としての世界を終わらせ、もうおっさんのような感じで過ごしています。つきしまです。そんな人でも一応、人生の内の数回はちゃんとしたドレスコードでちゃんとした場所に行った経験もございます。友人の結婚式には着付けを頼んで着物を着て行きましたし、髪も美容室で予約してカラーリングをして巻き上げてセットをして頂いたことがございます。

冠婚葬祭では当たり前、常識だと一言で済ませれます。が、スポーツ、音楽といった娯楽の世界のドレスコードには、あいまいな部分が必ずと言っていい程、多くあります。

例えば、サッカーのドレスコードの役割を果たしているのがユニフォーム、スパイク等ですが、サッカー選手、またはサッカーを趣味とする以外の人が持っていないだろうということはなんとなく思い描けます。ボーリング場やスキー場などにも道具を一式レンタルできるところが大体あり、多くの人に認知されているスポーツであってもレンタルの力を借りないとドレスコードどころか遊ぶことすらできない訳です。

個人の経験ですが、クラシックの世界にもドレスコードはありました。小さい頃ですが、それはそれは普段では着ないようなフォーマルな格好をして、襟元が苦しくていつもより疲れる服だと思いながら母と一緒にクラシックのコンサートに行き、慣れない格好に疲労困憊になって演奏の途中、ぐっすりと寝て怒られた経験がございます。もったいないことをしたかなという面と、最高の演奏を聴いてぐっすりと寝たというかなり贅沢な経験をしたという面があったように今なら思えます。

今でこそカジュアルな格好でクラシックを聴きに行けるようになったところは多々とあります。それだけ多様性が広がったという見方もできるでしょう。最近ではクラシックコンサートのアンコールだけ撮影OKになったり(本来は駄目です)CD以外にも多くの種類の物販が売られていると聞きます。様々なジャンルの音楽に垣根がなくなっているだろうし、自由度も年々増している―その中でクラブは特にそれが顕著に表れているでしょう。

ハードコアテクノ、ハードコアレイヴ共に服装は様々です。物販のTシャツをすぐ着るもの、スーツ、ダボダボのズボン、ジャージ、コスプレ、ロゴが入ったトレーナー、クロスドレッサー、ビキニ、と裸も上げたらキリがありません。男女ともにブランドに凝っているだろう人もいれば、私のように無頓着な人もいるし、仕事が終わって来ただろう人もいるし、出会いを目的とした人もいます。ここがもし学校とか会社だったら普段は絶対にしゃべらない人としゃべる機会もあれば、酒を飲み交わすこともあり、一緒になって盛り上がったり、虫の居所が悪く思った以上にハブられる時もありました。が、良い悪い含めて全てが新鮮だと言えるでしょう。

個人の勝手な思い込みですが…。

また服装には一定の目的を感じることもあります。周りの空気に合わせた格好、踊りたい恰好、モテたい恰好、注目されたい恰好、ありのままでいたい恰好、そして格好に目的を持たない格好…。

クラブは特に十人十色という言葉が当てはまります。なのでもし、初心者だから分からない、正直恰好に自信がない、格好のことで言われるのが怖い、慣れない、空気に馴染んでいないのが気になる等であれば、出演する好きなDJのロゴが入ったTシャツを着ると楽だと言うことを、怠惰なるものの為にあえて伝えます。怠惰仲間を増やすために。

ただ、そこでもし自分がやってみたい恰好があれば挑戦した方が良いと思われます。非日常を体感したいから学校、会社で着れないような服を着る、被り物を被る、似合うような自分になる為に鍛える、クラブはそういうきっかけを選びやすくなる、選びたくなる場所であると思っていただけたら幸いです。

選ぶことは素人でも玄人でも誰でも自由にできる―まずは自分が楽しく過ごせる自分だけの文化を見つけることができたらと願っています。

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