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開幕と3月後半に読んだ本

東京ドームでの開幕3連戦は1勝2敗で負け越し。3戦目の半ばまでは1点も入らず、テレビの前で寒い寒いと震えていたが、森下の3ランホームランが阪神打線を春眠から目覚めさせたようだった。9回の小幡のホームランで、ようやく私の目の前に「開幕」という文字が浮かび上がった。太字で。

The W優勝のご褒美で始球式に出た紅しょうが。明訓高校のキャップで現れたドカベン好きの熊プロも、チアリーダーの稲田さんもめっちゃ可愛かった。「阪神ファン辻のドリちゃんねる」で始球式の練習してたのを見たので、投げる瞬間は手に汗を握ったし、投げた後すごく悔しそうにした顔にグッと来てしまった。辻さんも見てたかな。

最近読んだ本

3月後半に読んだ本。各所で話題になっていたので気になって読んだ、間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』が素晴らしかった。2123年の日本が舞台のSFで、主人公は九州の山奥にひとりぼっちで暮らす女性。本書は彼女による家族史という形で書かれている。平仮名ばかりの不思議な文章を読み進めるうち、彼女の凄惨な生い立ちや、100年前に受けた「融合」手術によって不老不死になった事実が判明する。淡々と描かれた「家族」と、ラストの彼女の決断のコントラスト、思い出すだけで胸が熱くなる。

「究極のマルチバース小説」という煽り文句で思わず手に取ってしまった佐佐木陸『解答者は走ってください』も、家族(あるいはそれに準ずるもの)の小説だった。記憶がない主人公の玲央鳴門(れおなるど)がたまたま読んだ、自分の過去の物語。次々と呼び覚まされる過去の記憶は、あらゆる階層を行き来して、マルチバースの世界線をトリップしはじめる。疾走する不条理な複数世界のど真ん中に、尊い愛がズドンとブッ刺さっている感じ。すごく良かったし、えらいもんを読んだという感覚があった。

その他にも良い本を読んだけど、今日はこれくらいにします。晩御飯を作る。

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