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ホラーと芥川賞

阪元監督の黄龍の村を観た。ストーリーもアクションも役者さんも最高。1時間程度と短いので、元気になりたい時にまた見ようと思う。

黄龍の村Wiki(めちゃくちゃネタバレしてたので気をつけて)に「ホラー専門の動画配信サービス「OSOREZONE (オソレゾーン)」が出資した第1回作品」と書いてあった。そんなサービスがあったのか、とサイトを見に行ってみたら、定額配信サービスは3月末をもって終了予定と書いてあった。この世には私が知らない色んな面白いサービスやコンテンツがあって知らないうちに終わっていく。

芥川賞受賞作の九段理江さん『東京都同情塔』がとても良かった。
ザハ・ハディドの国立競技場が完成し、東京オリンピックが行われ、寛容論が浸透した世界線の東京。犯罪者が心地よく生活するための「トーキョーシンパシータワー」建設にあたる建築家の主人公が、時代の変化による価値観の変化や生成AI的正しさに葛藤する。

そうでもしないと自分を失ってしまうかのようにひたすらに喋り続ける主人公の、言語化への強迫観念が、言葉への異様な執着が、生成AIや商業的アルゴリズムに時々自分を乗っ取られてしまいそうな気がする自分に突き刺さった。

ifの世界の東京も、結局のところよく分からない大きな波に飲み込まれてしまって、具現化したように見える理想も崩れてしまう。それでも自分がここにいたこと、自分がここで考え判断し作ろうとしたものは嘘にしたくないから、ちゃんと言葉にしたい、言語化したものを積み上げていきたいと思った。


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