怪人二十面相(江戸川乱歩)

「怪人二十面相」を読んだよというお話。

もともと江戸川乱歩の作品は好きで色々読んだことはあったのですが、一番有名である「怪人二十面相」は今まで読んだことがありませんでした。

偶然にKindleで発見し、急いでDLして読んだ次第です。

感想

乱歩の作品ってどこかグロテスクでドス黒い、人間の精神的暗部を描き出すようなものが多いイメージでした。

しかし「怪人二十面相」は子供向けに書かれた児童文学の体をとっていて、冒険推理の王道を行くファンタジーのような趣があり、上記のようなおどろおどろしさはありませんでした。

もちろん推理小説ですので、よく練られたトリックや明智探偵のキレの良い推理や行動力、ギリギリで行われる心理戦は胸をドキドキさせる快活さがありました。

明智探偵の頭の良さはもちろん、怪盗を打ちのめそうとして紛争する助手の働きも必見です。

挑発されたり、挑発したり、絶体絶命のピンチに貶められたり…

そのドキドキハラハラの波が高まったり小さくなったり、そのバランスが最高に絶妙だったおかげで、最後まで童心を忘れずに読むことができるのだと思います。

難しい理論や、難しい言葉の使い方はないので、とても読みやすく理解しやすい点も良かったです。

また、人が死なないというのもいいですね。

やっぱり乱歩はいいなあ。読んで正解だったと思えました。

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