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悪い芝居「ラスト・ナイト・エンド・ファースト・モーニング」を観てきた。

先日、悪い芝居という劇団の「ラスト・ナイト・アンド・ファースト・モーニング」という公演を観てきました。悪い芝居は2004年に京都で旗揚げされた劇団で、私が高校生の頃から大好きでずっと観させてもらっています。

いつも観る度心の中をかっぽり開けられてぐるぐる掻き回されて劇場を後にするんだけど、今回もまた違った角度から心の中を掻き回され翻弄されて帰ってきました。その感覚は観劇後お客さんみんな同じ感覚だったんだろうなと思うほど、終演後の観客席は静かでずっしりとそしてしっとりとしていて、皆過去に思いを馳せながら散り散りになっていったような気がします。

観劇しながら、あ、私そういえば忘れていたことがいっぱいあったなと記憶が蘇ってきました。記憶力はよくない方だけど、観ていて哀しかった過去を、無意識に忘れていた過去を思い出してしまって帰り道に寄ったたこ焼き屋さんでたこ焼き食べながら泣きそうになったりして。遠い遠い記憶は断片的に覚えてはいるけれど、忘れたいことは意外とすぐに忘れられるような脳の構造になっているらしくてぼーっとしていたらすぐに忘れてしまいます。
何があったかなんて憶えてはいない、けれどたこ焼きを食べながら悲しい感情だけが湧き上がってきて。私はたこ焼きが美味しすぎて泣いてるのか?とか感情を書き換えようともするほど悲しい感情でした。本当にたこ焼きか美味しかったからなのかもしれないけど。記憶はないけれど、感情は忘れられないんだなあと体感したわけです。
そんな時に私は初めてそんなに悲しかったのかと気付いたし、そしてこれから自分の過去をもっと大切にしていけるのかもと考えたのです。

知らなかった過去は、誰かの慈しむ過去であり誰かの悔やまれる過去でもある。本当の私なんてどこにもいないし、むしろ大人ぶってる私も子供ぶってる私も私でなくて私でもある。本当の私はいないし色んな私がいて私がいる感覚。いろんな私と過去と向き合いながらそして忘れながら生きていければいいんだと思います。そんな自分に、もちろん過去の自分にも毎日おはようとおやすみなさいを言ってあげるのもいいのかもしれません。

#コラム #観劇 #悪い芝居 #ラスナイ #おはよう #おやすみ #cakesコンテスト

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